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猫になった
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「リックは手紙も好きじゃなかったからね。恨み言を聞くこともなかった。そして生まれた時から傍にいてあの頃からリックに心酔していたムイが神獣に転身したって聞いてね、安心したよ……間違った安心だったけれど」
一人じゃなくて、神獣としての仲間が出来たと思ったら、仲間ではなくて甘やかし付き従うだけの存在だった。
「誰一人としてリックに苦言を呈すものがいなかったとか……。私とスーが神獣に転身し、それぞれ節制と星をいただいた時に、これは神からの罰と采配なんだと思ったよ」
節制のシェザラさんの視界には、リックさんとスーティオさんが入っている。
「すまんね、本当に。ユーリとレイリーにはなんの落ち度もないのに、こんな茶番に付き合わせて。同じ神獣として少しだけアイツの矯正に付き合ってもらえないかい?」
「あれ?気が付いてました?」
「私達の頭は飾りじゃないからね。気が付かないあの4人の方がおかしいんだよ。多分なんだけど魔術師と戦車で間違いない?リッツェルトまでリックを捨てに行ったのはレイリーさんでしょう?連れ帰るの面倒だったよ」
「ハハハ、ごめんよ~」
レイリーはポリポリと頭をかいているが、全然悪いと思ってないでしょ!
「リックは自分のしている事が正しいと本気で思っている。だからタチが悪い。何とかしてみます」
「ホントに何とか出来んの?正義より低いあんたらが」
空気の温度が1.2度下がるような声がレイリーから漏れる。そりゃ俺たちだって少しくらい怒るよ?
「何度でも言ってやるが正義の嫌われ度は半端ない。何とか出来るんだろうね?」
「やってみせます」
レイリーの威圧にも怯む事なく、シェザラさんは答えた。そうかなら応援してあげたいな。
「頼みますよ」
俺は声をかける。俺がこう言えばレイリーも折れるしかない。
「ユウリは甘いなぁ~!あの勘違いおデブ猫がなんとかなると思ってるの?」
「そうなれば良いと思ってるけど……」
最後には誰かがでっかいゲンコツを落としてやらなきゃいけないかも知れない。
「ま、神獣同士の戦いは命を落とした方が負けだからね。望まぬ代替わりが起こらなきゃ良いけど」
レイリーの言葉は俺の心に暗い隙間風を送り込んだ。そうか、戦えばどちらかが命を落とす事もあるか……。
そうならなければ良いけれど。
俺の頭の中にはマヌルネコがライオンのでっかい手に潰されているイメージしか浮かんで来なかった。
一人じゃなくて、神獣としての仲間が出来たと思ったら、仲間ではなくて甘やかし付き従うだけの存在だった。
「誰一人としてリックに苦言を呈すものがいなかったとか……。私とスーが神獣に転身し、それぞれ節制と星をいただいた時に、これは神からの罰と采配なんだと思ったよ」
節制のシェザラさんの視界には、リックさんとスーティオさんが入っている。
「すまんね、本当に。ユーリとレイリーにはなんの落ち度もないのに、こんな茶番に付き合わせて。同じ神獣として少しだけアイツの矯正に付き合ってもらえないかい?」
「あれ?気が付いてました?」
「私達の頭は飾りじゃないからね。気が付かないあの4人の方がおかしいんだよ。多分なんだけど魔術師と戦車で間違いない?リッツェルトまでリックを捨てに行ったのはレイリーさんでしょう?連れ帰るの面倒だったよ」
「ハハハ、ごめんよ~」
レイリーはポリポリと頭をかいているが、全然悪いと思ってないでしょ!
「リックは自分のしている事が正しいと本気で思っている。だからタチが悪い。何とかしてみます」
「ホントに何とか出来んの?正義より低いあんたらが」
空気の温度が1.2度下がるような声がレイリーから漏れる。そりゃ俺たちだって少しくらい怒るよ?
「何度でも言ってやるが正義の嫌われ度は半端ない。何とか出来るんだろうね?」
「やってみせます」
レイリーの威圧にも怯む事なく、シェザラさんは答えた。そうかなら応援してあげたいな。
「頼みますよ」
俺は声をかける。俺がこう言えばレイリーも折れるしかない。
「ユウリは甘いなぁ~!あの勘違いおデブ猫がなんとかなると思ってるの?」
「そうなれば良いと思ってるけど……」
最後には誰かがでっかいゲンコツを落としてやらなきゃいけないかも知れない。
「ま、神獣同士の戦いは命を落とした方が負けだからね。望まぬ代替わりが起こらなきゃ良いけど」
レイリーの言葉は俺の心に暗い隙間風を送り込んだ。そうか、戦えばどちらかが命を落とす事もあるか……。
そうならなければ良いけれど。
俺の頭の中にはマヌルネコがライオンのでっかい手に潰されているイメージしか浮かんで来なかった。
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