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猫になった
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「あ」
セライスをお姫様抱っこで出てきたレガリアを3日振りに見て、俺は思い出した。
居たんだ……。
「おお、魔術師殿!そろそろ私たちはお暇させていただきますね。続きは我が家でゆっくり」
「ふふ、私の家でも良いですよ」
「どちらにしましょうね?」
「もう新しい二人の家でも買いましょう?」
「ああ!良い考えですね」
ペタペタ、いちゃいちゃ。少し前までいがみ合っていたのが嘘のようだ。
「重くないです?」
「全然」
二人は真に付き合いたてのカップルらしくハートマークを飛ばし合っている。
「良いんですよ、私は少し体重がありますからね、代わりましょう。私の方が手足は太い」
抱き抱えられているのはトライセの方で抱いているのはレガリアだ。どうやらナンバリングのせいでこうなったようだ。
「えっと、女教皇が2番で教皇が5番だっけ……」
教えて貰った並びを思い出して、悠里はなるほどと頷いた。
雪豹は雪に乗るために手足は太い。セライスはにこやかに言うが
「ふふ、大丈夫ですよ!我が愛しの君。何せ私の方が背が高い」
豹は木登りをする為、手足が長い。そのせいで少しレガリアの方が背が高い。
「いえいえ!私だって愛するあなたを抱きしめたい!」
「ははは!私の腕の中で問題ないじゃないですか!」
「そう言わずに、さ!私を下ろしてください。交代しましょう!」
「いやいや!このままで結構!」
ぐぬぬぬぬ!と睨み合う二人を見て
「……なるほど、根っこは変わってないんだ……」
と、妙に納得する。
「相手の事が好きで好きで堪らなくなるようだからね、恋人のスキルは。本当に悪戯好きの子供達だ」
いつの間にか隣に立っていたアウグストに悠里は話しかけられる。
「じゃあこの先、ケンカしてどうしようもなくなっちゃう事もあるのかな?」
元々合わない二人を無理矢理くっつけたんだ。あの時はしょうがなかったんだ……もう限界だったんだもの……。
猫的には深刻だったんだ!
「それでも毎夜肌を寄せ合い、頬を触り合っていれば違う感情も芽生えるだろう。だとしても、どちらかの気まぐれで合わなくなってもそれはそれで仕方がない事だ」
何せ私達は猫だからね、とアウグストは柔らかく笑う。普段は忙しく、威厳に飾られた冷たい顔が綻ぶと、なんだか心臓が跳ねてしまう。
「えー、う、は、はい」
余裕のある大人ぶりに、悠里は少し戸惑うが
「ほら、出来あがっちゃってる二人に当てられておいで?私達も仲良くしようじゃないか」
と、言われて
「お断りします!」
と、さっと逃げたした。危ない危ない。
「レガリアが赤ちゃんを産んでくれても良いんですけど?!」
「そういうのはセライスに任せる!」
「なんですって?!それは譲れませんけど?!」
「ならば勝負で決めようじゃないか!」
「ぬ!順位三つくらいひっくり返してやりますよ!」
ギャーギャーイチャイチャうるさい神殿関係者が帰るまで、グランベルの王宮は賑やかだった。
後に二人の神殿のちょうど中間に共同の大神殿を建設する事になったので、便利になったらしい。
「ふたつに分かれてて面倒くさいかったんだ。これも悠里の偉業に加えておこう」
アウグストは本に書き加える事にした。
セライスをお姫様抱っこで出てきたレガリアを3日振りに見て、俺は思い出した。
居たんだ……。
「おお、魔術師殿!そろそろ私たちはお暇させていただきますね。続きは我が家でゆっくり」
「ふふ、私の家でも良いですよ」
「どちらにしましょうね?」
「もう新しい二人の家でも買いましょう?」
「ああ!良い考えですね」
ペタペタ、いちゃいちゃ。少し前までいがみ合っていたのが嘘のようだ。
「重くないです?」
「全然」
二人は真に付き合いたてのカップルらしくハートマークを飛ばし合っている。
「良いんですよ、私は少し体重がありますからね、代わりましょう。私の方が手足は太い」
抱き抱えられているのはトライセの方で抱いているのはレガリアだ。どうやらナンバリングのせいでこうなったようだ。
「えっと、女教皇が2番で教皇が5番だっけ……」
教えて貰った並びを思い出して、悠里はなるほどと頷いた。
雪豹は雪に乗るために手足は太い。セライスはにこやかに言うが
「ふふ、大丈夫ですよ!我が愛しの君。何せ私の方が背が高い」
豹は木登りをする為、手足が長い。そのせいで少しレガリアの方が背が高い。
「いえいえ!私だって愛するあなたを抱きしめたい!」
「ははは!私の腕の中で問題ないじゃないですか!」
「そう言わずに、さ!私を下ろしてください。交代しましょう!」
「いやいや!このままで結構!」
ぐぬぬぬぬ!と睨み合う二人を見て
「……なるほど、根っこは変わってないんだ……」
と、妙に納得する。
「相手の事が好きで好きで堪らなくなるようだからね、恋人のスキルは。本当に悪戯好きの子供達だ」
いつの間にか隣に立っていたアウグストに悠里は話しかけられる。
「じゃあこの先、ケンカしてどうしようもなくなっちゃう事もあるのかな?」
元々合わない二人を無理矢理くっつけたんだ。あの時はしょうがなかったんだ……もう限界だったんだもの……。
猫的には深刻だったんだ!
「それでも毎夜肌を寄せ合い、頬を触り合っていれば違う感情も芽生えるだろう。だとしても、どちらかの気まぐれで合わなくなってもそれはそれで仕方がない事だ」
何せ私達は猫だからね、とアウグストは柔らかく笑う。普段は忙しく、威厳に飾られた冷たい顔が綻ぶと、なんだか心臓が跳ねてしまう。
「えー、う、は、はい」
余裕のある大人ぶりに、悠里は少し戸惑うが
「ほら、出来あがっちゃってる二人に当てられておいで?私達も仲良くしようじゃないか」
と、言われて
「お断りします!」
と、さっと逃げたした。危ない危ない。
「レガリアが赤ちゃんを産んでくれても良いんですけど?!」
「そういうのはセライスに任せる!」
「なんですって?!それは譲れませんけど?!」
「ならば勝負で決めようじゃないか!」
「ぬ!順位三つくらいひっくり返してやりますよ!」
ギャーギャーイチャイチャうるさい神殿関係者が帰るまで、グランベルの王宮は賑やかだった。
後に二人の神殿のちょうど中間に共同の大神殿を建設する事になったので、便利になったらしい。
「ふたつに分かれてて面倒くさいかったんだ。これも悠里の偉業に加えておこう」
アウグストは本に書き加える事にした。
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