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猫になった
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「魔術師殿!この呪いのドレスをいつになったら解呪してくださるのですか!」
「魔術師殿!どちらの教団に属するか決めていただけましたでしょうか!」
「えー……」
一晩明けてもトライスとレガリアは変わらなかった。白いウエディングドレスのまま、悠里にどちらにするのかと迫ってくる。
「お前らもう帰れよ」
睦月が追い払ってみても
「この格好で帰れますかッ!」「全くです!」
と、逆に言いくるめられる始末だ。
「ぜ、全然仲良くなってないんだけど!?」
「おっかしいなあ……?」
脳筋は頭を捻るが、脳筋ゆえにいい案など浮かんでこない。
「好き合ってない同士を結婚しろってくっつけてみても仲良くはならないってことだ。当然だよな」
レイリーは呆れ気味に言うがまあ、それが正しい答えだろう。
「そんな時はぁ~」「可愛い双子の僕達にお任せ★」
ポン!そんな音が鳴りそうな勢いでセリンとナリンは飛び出してきた。そしていたずら小悪魔はこんな顔かもしれないという顔でにやりと笑う。
「睦月、レイリー。二人を捕まえて。大丈夫でしょ?トライスもレガリアも知能派だもん。筋力で二人には勝てない」
「そうだな~」
睦月は近くにいたトライスの腕をぐっと掴み、レイリーもレガリアを羽交い絞めにした。
「何をする!離せ!」「このおバカ共!離せと言っている!」
そして、セリンとナリンはそれぞれトライスとレガリアの前に立つ。
「ユーリ。本当は神獣はその階級にあった技を数個使うことができるんだよ」
「ユーリみたいに無限にありえない魔術錬成はできないんだよ?」
そして二人は同じセリフを唱え始める。
「「その身の内より、湧きし愛。愛はその心、その胸の内より来たり」」
「くそ!離せ!やめろ!恋人!」
トライスが身を捻っても、睦月がしっかりと押さえつけてしまっては動けなかった。セリンの指先が心臓の上に触れる。
「ま、まさか!冗談でしょう!恋人!」
青い顔でレガリアが首を振るが、レイリーも離すつもりがない。ナリンの指先が心臓の上に触れる。
「「さあ、紡ごう!その心、その愛。心臓より湧き出し、愛の矢を!」」
とん、胸の上に触れた指先が、持ち上がるとそこからまるで吸い上げられるように一本の短い矢が現れる。セリンの指先にはトライスの心臓から抜き取った矢が、ナリンの指先にはレガリアの心臓から抜き取った矢が。
「「二人の愛を永久に!『愛神の矢!!」」
二人はお互いの矢を小さな弓につがえ、そしてトライスの矢をレガリアの心臓に向けて、レガリアの矢をトライスの心臓に向けて放った。
「うっ!」「ぐっ!」
音はなく、小さな矢はしゅるりとお互いの胸の中に吸い込まれていく。そして最後まで吸い込まれ消えてしまうのを見届けて二人は成功~!とにっこり笑った。
「もー離していいよ」
ナリンが言うので睦月もレイリーも二人を解放する。矢に打たれたと言え怪我の一つもなさそうなのに、二人はぐったりと床に膝をついた。
「な、ナリン?セリン?何をしたの?」
慌てて悠里は二人に尋ねる。すると二人はなんの悪気もなく
「愛の矢を打ち込んだんだよ。これで二人はラブラブだよ!」
「お互いの矢が心臓に刺さってるからね、もう相手の事が好きで好きでたまらないはずさ!」
「え……本当に……?」
ゆっくり顔を上げたトライスとレガリアは確かに見つめあっていた。
「魔術師殿!どちらの教団に属するか決めていただけましたでしょうか!」
「えー……」
一晩明けてもトライスとレガリアは変わらなかった。白いウエディングドレスのまま、悠里にどちらにするのかと迫ってくる。
「お前らもう帰れよ」
睦月が追い払ってみても
「この格好で帰れますかッ!」「全くです!」
と、逆に言いくるめられる始末だ。
「ぜ、全然仲良くなってないんだけど!?」
「おっかしいなあ……?」
脳筋は頭を捻るが、脳筋ゆえにいい案など浮かんでこない。
「好き合ってない同士を結婚しろってくっつけてみても仲良くはならないってことだ。当然だよな」
レイリーは呆れ気味に言うがまあ、それが正しい答えだろう。
「そんな時はぁ~」「可愛い双子の僕達にお任せ★」
ポン!そんな音が鳴りそうな勢いでセリンとナリンは飛び出してきた。そしていたずら小悪魔はこんな顔かもしれないという顔でにやりと笑う。
「睦月、レイリー。二人を捕まえて。大丈夫でしょ?トライスもレガリアも知能派だもん。筋力で二人には勝てない」
「そうだな~」
睦月は近くにいたトライスの腕をぐっと掴み、レイリーもレガリアを羽交い絞めにした。
「何をする!離せ!」「このおバカ共!離せと言っている!」
そして、セリンとナリンはそれぞれトライスとレガリアの前に立つ。
「ユーリ。本当は神獣はその階級にあった技を数個使うことができるんだよ」
「ユーリみたいに無限にありえない魔術錬成はできないんだよ?」
そして二人は同じセリフを唱え始める。
「「その身の内より、湧きし愛。愛はその心、その胸の内より来たり」」
「くそ!離せ!やめろ!恋人!」
トライスが身を捻っても、睦月がしっかりと押さえつけてしまっては動けなかった。セリンの指先が心臓の上に触れる。
「ま、まさか!冗談でしょう!恋人!」
青い顔でレガリアが首を振るが、レイリーも離すつもりがない。ナリンの指先が心臓の上に触れる。
「「さあ、紡ごう!その心、その愛。心臓より湧き出し、愛の矢を!」」
とん、胸の上に触れた指先が、持ち上がるとそこからまるで吸い上げられるように一本の短い矢が現れる。セリンの指先にはトライスの心臓から抜き取った矢が、ナリンの指先にはレガリアの心臓から抜き取った矢が。
「「二人の愛を永久に!『愛神の矢!!」」
二人はお互いの矢を小さな弓につがえ、そしてトライスの矢をレガリアの心臓に向けて、レガリアの矢をトライスの心臓に向けて放った。
「うっ!」「ぐっ!」
音はなく、小さな矢はしゅるりとお互いの胸の中に吸い込まれていく。そして最後まで吸い込まれ消えてしまうのを見届けて二人は成功~!とにっこり笑った。
「もー離していいよ」
ナリンが言うので睦月もレイリーも二人を解放する。矢に打たれたと言え怪我の一つもなさそうなのに、二人はぐったりと床に膝をついた。
「な、ナリン?セリン?何をしたの?」
慌てて悠里は二人に尋ねる。すると二人はなんの悪気もなく
「愛の矢を打ち込んだんだよ。これで二人はラブラブだよ!」
「お互いの矢が心臓に刺さってるからね、もう相手の事が好きで好きでたまらないはずさ!」
「え……本当に……?」
ゆっくり顔を上げたトライスとレガリアは確かに見つめあっていた。
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