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猫になった

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「にゃふ……」

 とろんとした目の悠里を、レイリーは奪い取った。

「ご、ご褒美だーーーーーー!」

「あっ!あの野郎!」

 慌てて睦月は追うが、王宮の廊下でもやはりレイリーは早い。

「ダレン、恋人ラヴァーズを頼む」

「仕方がありませんな、分かりました」

 足早に前の二人を追うアウスグストを宰相ダレンはため息をついて見送る。

「さて、ナリン様、セリン様。グランベルンに所属ということで宜しいのですな?」

「負けちゃったからね~、それにあのお兄ちゃんの事気に入ったんだ!」

「可愛いお兄ちゃんだね~!階級クラスは何?すんごい魔術使うみたいだけど」

 ナリンとセリンは互いに抱き合いながら、宰相に気安く声を掛ける。負けたとは言え神獣と人間では強さのレベルが違う。

「あの方は 香山悠里殿。階級クラス魔術師マジシャンで猫でございます」

「猫お!?」「道理で強い訳だ!」

 ダレンは二人に尋ねる。

「お二人は……その、良いのですか?つがいの……」

 悠里は今頃、レイリーの部屋にでも連れ込まれているだろう。後でまた助けに行かなければと思うが、そのつがい選定にナリンとセリンは行かなくていいのかと。

「つがいはね、恋人ラヴァーズは良いの」

「僕達は二人で恋人ラヴァーズだからね。絶対に浮気はしないんだよ」

 うふふ、と笑いながらそっくりな双子はお互いを愛している。

「それより、おっかないお兄ちゃん達に媚びを売るのが大変だったの~」

「そうそう!みてよ~可愛いお耳のチャームポイントがおハゲなのよ~」

 ぷくっと膨れて見せる。双子の可愛い様子にダレンは少し絆されてしまう。これが双子のやり口なのだが

「あとで悠里様に毛生え薬でも頼んでみたら宜しいかと。あの方なら何とかしてくれますよ」

 え!ホント!?と喜ぶ二人に

「だからあんまりご無体なことをしてあげないで下さいね」

 と、くぎを刺しておいた。

「そっか!皇帝エンペラーに頼むより、魔術師マジシャンに頼む方が良いのか!」

「ユーリ?ユウリ……んー悠里、お兄ちゃんが最強って事ね」

「そういうことでございます。ではこちらで書類を仕上げてしまいましょう」

 これでリッツェルトにも神獣がいなくなり、グランベルンに5人。完全にこの辺りの国のバランスは崩れ、グランベルンの一人勝ち状態だ。

「神獣は気紛れとはいえ、火種となりそうですね」

 宰相はため息をつく。また仕事が増えそうだと。
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感想 52

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