上 下
86 / 117

86 川がまた見えた*

しおりを挟む

「川がまた見えた」
「死んだばーちゃんが杖でいっぱい叩いて追い返してくれました」
「ひぃぃいん! ごめんってばぁ~凛莉ちゃぁん、サファイアちゃあん」
「ごめんですんだら神様は要らないぞ、シトリン」
「ぴぇぇえ~~」

 俺の、凛莉師匠の結構筋張った大きなゲンコツでこめかみをぐりぐりされたシトリンは泣いていたが、根性で「もうしません」はいわなかった……あいつめ。
 次にあった極会議で一番に取っ捕まえて、をたっぷりしてやった。

「何度逃げ出そうとしても足を掴まれベッドに引き戻される恐怖……ううっ恐ろしい」
「時間差で効いてくるとは思わなかった」

 シトリンの作ったとどのつまり、催淫剤は非常によく効いた。毒物劇薬を嗅ぎ分ける能力を鍛えて上げた闇暗殺者の俺達にも錬金術師極の薬は劇的な効果を速攻でもたらした。
 吸った瞬間からあまり記憶がないが、多分自分から誘っている気がする。何を口走ったか覚えていないし、思い出したくもないが相当相手を興奮させるようなことをいったんだとは思う。
 そして俺達から薬の効果が切れて正気に戻る頃、時間差でお相手が絶好調に盛り上がっているというとんでもなく計算し尽くされた状況になったのだ。

「フ、フロウ……フロウライトさん!? お、俺が誰だか、わ、分かりますかぁ……っ?!」
「凛莉……凛莉……もっと、したい」
「いや、俺はもう良いかなぁーーって」
「駄目だ、もっと、もっと君の中に!」
「ひぃっ!」

 頭は冴えてきたけれど、それまでに散々善がり狂った身体はいうことを聞かず、グッとのし掛かられたらひとたまりもない。

「あふっ……っんっ! 深いぃ……っ」
「ああ、凛莉……最高だ、気持ち良い」
「ぅうん……あ、そんな、奥っしたら、やっイくぅーっ!」

 吸っただけなのに、頭の中に作用する何かが含まれているのか、感覚が鋭敏になっている。何度も突き上げられた場所をもう一度なぞられただけで腹の奥がぶるりと震えて、快楽物質を放出する。

「凛莉っ」
「欲しい、ナカにぃ……気持ちよくしてぇ!」

 収縮を繰り返す腸内に吐精されるのが一番気持ち良い。もしかしたら間違っているかもしれないけれど、この身体はそれが一番だと思い込まされている……少し悔しいが、フロウライトにそういう風に躾けられてしまった。
 この馬鹿みたいにデカいのに貫かれて奥の奥まで味わい尽くされるのが最高に良い物なんだって身体が覚えてしまった。

「ん……ぁは、すごい……」

 狭い腸内が白濁に塗れているのが分かる……抜いたら後ろから音を立てながら溢れるんじゃないかな……。

「フロウ……抜いて……フロウ……?」
「ふーっふーっ」
「フロウ……?……一度、抜いて……ちょっ!」

 異変に気がついたけれど、上に乗られて突っ込まれたままでは碌な抵抗はできなかった。一度出せば少しはスッキリして話でもできるかと思ったら、ナカのモノはガッチガチに固いまま、寧ろさっきより激しく主張している気がする。

「あーーっ!」
「フロウ! フロウライトっ! うぐぅっ!」

 星が飛ぶ所の話じゃなかった。あまりに激しく腰を打ちつけられて、内臓が押されて吐き気がする。ばちゅん、ばちゅんと肉と肉が激しくぶつかる音と、粘液と精液が混じった液が飛び散る淫猥な音。

「ひっ! 苦し、っあぅ!」

 それなのに「これは気持ちが良いこと」だと教え込まれた身体は悦んで悶える。

「フロウ……っ、あっ!やぁーーっ」

 もう獣みたいな息遣いしか聞こえない。これはあの薬の作用だと気がついてもどうしようもない。俺達は早く効いたが抜けるのも早かった。でも薬物への耐性が低いフロウライトへは効果も高く、効いている時間も長いだろう……!

「フロウっフロウ! あぅっ」

 何とか話しかけてみたけれど、全然聞こえていないようで何の効果も得られなかった……。

 そうして気がついたらまた凛莉師匠のご両親に追い返して貰い、ぐっちゃぐちゃでどろどろの俺をまだ揺さぶっているフロウライトに遭遇した訳だった。

「おまえぇ……まだぁ……?」
「りんりぃ……わたしの、りんりぃ……あいしてる……」

 やっとそこで体力が尽きて落ちた。どさりと力が抜けた体が覆い被さってきて、つい背中をぽんぽんと叩いてしまった。

「お疲れさん……」

 それでもまだ突っ込まれたままだったのにはかなり呆れてしまったけれど。

 まあ、そんなこんなで俺もサファイア君も三途の川をギリギリ渡らずに済んだので、シトリンに教育的指導を敢行しているのだった。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

そばかす糸目はのんびりしたい

楢山幕府
BL
由緒ある名家の末っ子として生まれたユージン。 母親が後妻で、眉目秀麗な直系の遺伝を受け継がなかったことから、一族からは空気として扱われていた。 ただ一人、溺愛してくる老いた父親を除いて。 ユージンは、のんびりするのが好きだった。 いつでも、のんびりしたいと思っている。 でも何故か忙しい。 ひとたび出張へ出れば、冒険者に囲まれる始末。 いつになったら、のんびりできるのか。もう開き直って、のんびりしていいのか。 果たして、そばかす糸目はのんびりできるのか。 懐かれ体質が好きな方向けです。今のところ主人公は、のんびり重視の恋愛未満です。 全17話、約6万文字。

転生令息は冒険者を目指す!?

葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。  救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。  再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。  異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!  とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A

その男、有能につき……

大和撫子
BL
 俺はその日最高に落ち込んでいた。このまま死んで異世界に転生。チート能力を手に入れて最高にリア充な人生を……なんてことが現実に起こる筈もなく。奇しくもその日は俺の二十歳の誕生日だった。初めて飲む酒はヤケ酒で。簡単に酒に呑まれちまった俺はフラフラと渋谷の繁華街を彷徨い歩いた。ふと気づいたら、全く知らない路地(?)に立っていたんだ。そうだな、辺りの建物や雰囲気でいったら……ビクトリア調時代風? て、まさかなぁ。俺、さっきいつもの道を歩いていた筈だよな? どこだよ、ここ。酔いつぶれて寝ちまったのか? 「君、どうかしたのかい?」  その時、背後にフルートみたいに澄んだ柔らかい声が響いた。突然、そう話しかけてくる声に振り向いた。そこにいたのは……。  黄金の髪、真珠の肌、ピンクサファイアの唇、そして光の加減によって深紅からロイヤルブルーに変化する瞳を持った、まるで全身が宝石で出来ているような超絶美形男子だった。えーと、確か電気の光と太陽光で色が変わって見える宝石、あったような……。後で聞いたら、そんな風に光によって赤から青に変化する宝石は『ベキリーブルーガーネット』と言うらしい。何でも、翠から赤に変化するアレキサンドライトよりも非常に希少な代物だそうだ。  彼は|Radius《ラディウス》~ラテン語で「光源」の意味を持つ、|Eternal《エターナル》王家の次男らしい。何だか分からない内に彼に気に入られた俺は、エターナル王家第二王子の専属侍従として仕える事になっちまったんだ! しかもゆくゆくは執事になって欲しいんだとか。  だけど彼は第二王子。専属についている秘書を始め護衛役や美容師、マッサージ師などなど。数多く王子と密に接する男たちは沢山いる。そんな訳で、まずは見習いから、と彼らの指導のもと、仕事を覚えていく訳だけど……。皆、王子の寵愛を独占しようと日々蹴落としあって熾烈な争いは日常茶飯事だった。そんな中、得体の知れない俺が王子直々で専属侍従にする、なんていうもんだから、そいつらから様々な嫌がらせを受けたりするようになっちまって。それは日増しにエスカレートしていく。  大丈夫か? こんな「ムササビの五能」な俺……果たしてこのまま皇子の寵愛を受け続ける事が出来るんだろうか?  更には、第一王子も登場。まるで第二王子に対抗するかのように俺を引き抜こうとしてみたり、波乱の予感しかしない。どうなる? 俺?!

謎の死を遂げる予定の我儘悪役令息ですが、義兄が離してくれません

柴傘
BL
ミーシャ・ルリアン、4歳。 父が連れてきた僕の義兄になる人を見た瞬間、突然前世の記憶を思い出した。 あれ、僕ってばBL小説の悪役令息じゃない? 前世での愛読書だったBL小説の悪役令息であるミーシャは、義兄である主人公を出会った頃から蛇蝎のように嫌いイジメを繰り返し最終的には謎の死を遂げる。 そんなの絶対に嫌だ!そう思ったけれど、なぜか僕は理性が非常によわよわで直ぐにキレてしまう困った体質だった。 「おまえもクビ!おまえもだ!あしたから顔をみせるなー!」 今日も今日とて理不尽な理由で使用人を解雇しまくり。けれどそんな僕を見ても、主人公はずっとニコニコしている。 「おはようミーシャ、今日も元気だね」 あまつさえ僕を抱き上げ頬擦りして、可愛い可愛いと連呼する。あれれ?お兄様、全然キャラ違くない? 義弟が色々な意味で可愛くて仕方ない溺愛執着攻め×怒りの沸点ド底辺理性よわよわショタ受け 9/2以降不定期更新

使い捨ての元神子ですが、二回目はのんびり暮らしたい

夜乃すてら
BL
 一度目、支倉翠は異世界人を使い捨ての電池扱いしていた国に召喚された。双子の妹と信頼していた騎士の死を聞いて激怒した翠は、命と引き換えにその国を水没させたはずだった。  しかし、日本に舞い戻ってしまう。そこでは妹は行方不明になっていた。  病院を退院した帰り、事故で再び異世界へ。  二度目の国では、親切な猫獣人夫婦のエドアとシュシュに助けられ、コフィ屋で雑用をしながら、のんびり暮らし始めるが……どうやらこの国では魔法士狩りをしているようで……?  ※なんかよくわからんな…と没にしてた小説なんですが、案外いいかも…?と思って、試しにのせてみますが、続きはちゃんと考えてないので、その時の雰囲気で書く予定。  ※主人公が受けです。   元々は騎士ヒーローもので考えてたけど、ちょっと迷ってるから決めないでおきます。  ※猫獣人がひどい目にもあいません。 (※R指定、後から付け足すかもしれません。まだわからん。)  ※試し置きなので、急に消したらすみません。

運命を変えるために良い子を目指したら、ハイスペ従者に溺愛されました

十夜 篁
BL
 初めて会った家族や使用人に『バケモノ』として扱われ、傷ついたユーリ(5歳)は、階段から落ちたことがきっかけで神様に出会った。 そして、神様から教えてもらった未来はとんでもないものだった…。 「えぇ!僕、16歳で死んじゃうの!? しかも、死ぬまでずっと1人ぼっちだなんて…」 ユーリは神様からもらったチートスキルを活かして未来を変えることを決意! 「いい子になってみんなに愛してもらえるように頑張ります!」  まずユーリは、1番近くにいてくれる従者のアルバートと仲良くなろうとするが…? 「ユーリ様を害する者は、すべて私が排除しましょう」 「うぇ!?は、排除はしなくていいよ!!」 健気に頑張るご主人様に、ハイスペ従者の溺愛が急成長中!? そんなユーリの周りにはいつの間にか人が集まり…。 《これは、1人ぼっちになった少年が、温かい居場所を見つけ、運命を変えるまでの物語》

瞳の代償 〜片目を失ったらイケメンたちと同居生活が始まりました〜

Kei
BL
昨年の春から上京して都内の大学に通い一人暮らしを始めた大学2年生の黒崎水樹(男です)。無事試験が終わり夏休みに突入したばかりの頃、水樹は同じ大学に通う親友の斎藤大貴にバンドの地下ライブに誘われる。熱狂的なライブは無事に終了したかに思えたが、…… 「え!?そんな物までファンサで投げるの!?」 この物語は何処にでもいる(いや、アイドル並みの可愛さの)男子大学生が流れに流されいつのまにかイケメンの男性たちと同居生活を送る話です。 流血表現がありますが苦手な人はご遠慮ください。また、男性同士の恋愛シーンも含まれます。こちらも苦手な方は今すぐにホームボタンを押して逃げてください。 もし、もしかしたらR18が入る、可能性がないこともないかもしれません。 誤字脱字の指摘ありがとうございます

異世界に召喚されて失明したけど幸せです。

るて
BL
僕はシノ。 なんでか異世界に召喚されたみたいです! でも、声は聴こえるのに目の前が真っ暗なんだろう あ、失明したらしいっす うん。まー、別にいーや。 なんかチヤホヤしてもらえて嬉しい! あと、めっちゃ耳が良くなってたよ( ˘꒳˘) 目が見えなくても僕は戦えます(`✧ω✧´)

処理中です...