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69 起こされちゃった

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 頭がぼんやりする。闇の世界に足を踏み入れてからこんな失態したことないのに。今自分がどこで何をしているかも思い出せないなんていくらブラック企業勤めだってそりゃないよなぁ。
 あれ?なんだか色んな記憶がごちゃ混ぜだけれど……別に気持ち悪くないぞ。あり得ない二つが入り混じったのに、ピッタリ嵌ったようなフィット感が清々しい。
 いや、最近は結構こんな事がある気がする。嫌だっていってるのにもう一回、もう一回と強請るやつがいるんだ……でもまあ、そいつの隣にいるなら、きっと守ってくれる。だから安心して気を失えるんだけど……。

「って、あれ? 朝……?いや、昼……?」

 俺は斜めになったベッドの上で目を覚ました。そうだ、とうとう昨日の夜ベッドの足が折れたんだった。慌てて適当なモノを挟んだけど当然ながらがたつく……。

「くるるー!」
「どういう事だ?」
「や、今日から聖騎士団長だといってアイアンメイデン家の三男がやって来たんですけど、フィンに摘まれて噴水に投げ捨てられまして」
「ハンスか。当然だな。あいつは腕も悪いし、素行も悪い。騎士の称号も父が金で買った。そんな奴にフィンが従うわけが無い」
「くるっ!」

 扉が開きっぱなしになっているせいか、入り口で話をしている内容が全て聞こえてくる。
 多分だが、機嫌が悪くなったフィンは俺かフロウライトに遊んで貰おうと俺の家の前まで来たんだな。そして街の人がびっくりして聖騎士団に駆け込んだか、フィンの後をついて来たのか。
 フィンが俺の家から離れないからやって来た聖騎士がドアをノックして……そしてフロウライトが対応している、そんなところかな?

「どうしたらいいでしょう?」
「放置して構わない」
「分かりました」

 おいおい、フロウライト。お前昨日無職になったっていったよな?なんでまだ聖騎士に指示出してるんだ……ってまあ分かってる。この国で聖騎士団長が務まるのはお前だけだもん。そのうち国王も神殿もお前の父親も頭を下げるしかないんだよね。

「団長、仲直りしましたよね?」
「ああ、もう大丈夫だ」
「良かったです!国最強の盾が萎びたゴボウみたいでは国家の安全に関わりますから! もう喧嘩しないで下さいよ」
「そのつもりなのだが、どうも私はすぐに怒らせてしまうようで」

 相変わらず部下に何でも喋る奴だ! 多分信頼し合ってのことなんだろうけれど、俺は色々バラされたくないよ?!何で二人だけ知っていれば良いことまで喋るかな?!もうっ。
 早く止めに行かないとそのうち何回ヤったかも喋りかねん!怠い体を何とか起こしてベッドサイドの机の上にある眼鏡に手を伸ばした。この家に住んでいるのはマークであってマラカイト・凛莉ではないんだから!





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