69 / 117
69 起こされちゃった
しおりを挟む頭がぼんやりする。闇の世界に足を踏み入れてからこんな失態したことないのに。今自分がどこで何をしているかも思い出せないなんていくらブラック企業勤めだってそりゃないよなぁ。
あれ?なんだか色んな記憶がごちゃ混ぜだけれど……別に気持ち悪くないぞ。あり得ない二つが入り混じったのに、ピッタリ嵌ったようなフィット感が清々しい。
いや、最近は結構こんな事がある気がする。嫌だっていってるのにもう一回、もう一回と強請るやつがいるんだ……でもまあ、そいつの隣にいるなら、きっと守ってくれる。だから安心して気を失えるんだけど……。
「って、あれ? 朝……?いや、昼……?」
俺は斜めになったベッドの上で目を覚ました。そうだ、とうとう昨日の夜ベッドの足が折れたんだった。慌てて適当なモノを挟んだけど当然ながらがたつく……。
「くるるー!」
「どういう事だ?」
「や、今日から聖騎士団長だといってアイアンメイデン家の三男がやって来たんですけど、フィンに摘まれて噴水に投げ捨てられまして」
「ハンスか。当然だな。あいつは腕も悪いし、素行も悪い。騎士の称号も父が金で買った。そんな奴にフィンが従うわけが無い」
「くるっ!」
扉が開きっぱなしになっているせいか、入り口で話をしている内容が全て聞こえてくる。
多分だが、機嫌が悪くなったフィンは俺かフロウライトに遊んで貰おうと俺の家の前まで来たんだな。そして街の人がびっくりして聖騎士団に駆け込んだか、フィンの後をついて来たのか。
フィンが俺の家から離れないからやって来た聖騎士がドアをノックして……そしてフロウライトが対応している、そんなところかな?
「どうしたらいいでしょう?」
「放置して構わない」
「分かりました」
おいおい、フロウライト。お前昨日無職になったっていったよな?なんでまだ聖騎士に指示出してるんだ……ってまあ分かってる。この国で聖騎士団長が務まるのはお前だけだもん。そのうち国王も神殿もお前の父親も頭を下げるしかないんだよね。
「団長、仲直りしましたよね?」
「ああ、もう大丈夫だ」
「良かったです!国最強の盾が萎びたゴボウみたいでは国家の安全に関わりますから! もう喧嘩しないで下さいよ」
「そのつもりなのだが、どうも私はすぐに怒らせてしまうようで」
相変わらず部下に何でも喋る奴だ! 多分信頼し合ってのことなんだろうけれど、俺は色々バラされたくないよ?!何で二人だけ知っていれば良いことまで喋るかな?!もうっ。
早く止めに行かないとそのうち何回ヤったかも喋りかねん!怠い体を何とか起こしてベッドサイドの机の上にある眼鏡に手を伸ばした。この家に住んでいるのはマークであってマラカイト・凛莉ではないんだから!
75
お気に入りに追加
1,442
あなたにおすすめの小説
転移したらなぜかコワモテ騎士団長に俺だけ子供扱いされてる
塩チーズ
BL
平々凡々が似合うちょっと中性的で童顔なだけの成人男性。転移して拾ってもらった家の息子がコワモテ騎士団長だった!
特に何も無く平凡な日常を過ごすが、騎士団長の妙な噂を耳にしてある悩みが出来てしまう。
最強S級冒険者が俺にだけ過保護すぎる!
天宮叶
BL
前世の世界で亡くなった主人公は、突然知らない世界で知らない人物、クリスの身体へと転生してしまう。クリスが眠っていた屋敷の主であるダリウスに、思い切って事情を説明した主人公。しかし事情を聞いたダリウスは突然「結婚しようか」と主人公に求婚してくる。
なんとかその求婚を断り、ダリウスと共に屋敷の外へと出た主人公は、自分が転生した世界が魔法やモンスターの存在するファンタジー世界だと気がつき冒険者を目指すことにするが____
過保護すぎる大型犬系最強S級冒険者攻めに振り回されていると思いきや、自由奔放で強気な性格を発揮して無自覚に振り回し返す元気な受けのドタバタオメガバースラブコメディの予定
要所要所シリアスが入ります。
異世界召喚に巻き込まれ転移中に魔法陣から押し出され、ボッチで泣いてたらイケメン幼馴染が追いかけてきた件<改定版>
緒沢 利乃
BL
僕、桜川凛は高校の卒業式の日に、教室に突然現れた魔法陣のせいで同級生の数人と一緒に異世界に転移することになった。しかも、転移の途中に同級生の誰かに魔法陣から押し出されてしまう。
えーっ、そんな、僕どうなっちゃうの?
目覚めると森らしきところに一人ボッチでした。
小柄でやせ型で学校でも地味で目立たない特技なしの僕。
冒険者初心者でも楽勝の小型魔獣でさえ倒すこともできず泣きながら逃げ回り、それでもなんとか異世界で生き延びれるよう四苦八苦しながら頑張っていたら……。
幼稚園のときからの幼馴染、橘悠真が現れた。
あれ? 一緒に異世界転移したけれど、悠真は召喚された場所にみんなといたはずでしょ? なんで、ここにいるの?
小学校高学年から言葉も交わさず、視線も合わさず、完全に避けられていたのに、急に優しくされて、守ってくれて……ちょっとドキドキしちゃう。
えっ、どこ触ってるの? いや、大丈夫だから、撫でないで、ギュッとしないで、チュッてしちゃダメー!
※R18は予告なしで入ります。
この作品は別名義で掲載していましたが、今回「緒沢利乃」名義で改定しました。
どうぞ、よろしくお願いします。
※更新は不定期です。
愛され奴隷の幸福論
東雲
BL
両親の死により、伯父一家に当主の座を奪われ、妹と共に屋敷を追い出されてしまったダニエル。
伯爵家の跡継ぎとして、懸命に勉学に励み、やがて貴族学園を卒業する日を間近に迎えるも、妹を守る為にダニエルは借金を背負い、奴隷となってしまう──……
◇◇◇◇◇
*本編完結済みです*
筋肉男前が美形元同級生に性奴隷として買われて溺愛されるお話です(ざっくり)
無表情でツンツンしているけれど、内心は受けちゃん大好きで過保護溺愛する美形攻め×純粋培養された健気素直故に苦労もするけれど、皆から愛される筋肉男前受け。
体が大っきくて優しくて素直で真面目で健気で妹想いで男前だけど可愛いという受けちゃんを、不器用ながらもひたすらに愛して甘やかして溺愛する攻めくんという作者が大好きな作風となっております!
麗しの眠り姫は義兄の腕で惰眠を貪る
黒木 鳴
BL
妖精のように愛らしく、深窓の姫君のように美しいセレナードのあだ名は「眠り姫」。学園祭で主役を演じたことが由来だが……皮肉にもそのあだ名はぴったりだった。公爵家の出と学年一位の学力、そしてなによりその美貌に周囲はいいように勘違いしているが、セレナードの中身はアホの子……もとい睡眠欲求高めの不思議ちゃん系(自由人なお子さま)。惰眠とおかしを貪りたいセレナードと、そんなセレナードが可愛くて仕方がない義兄のギルバート、なんやかんやで振り回される従兄のエリオットたちのお話し。
安易に異世界を選んだ結果、食われました。
野鳥
BL
気がつけば白い空間。目の前には金髪碧眼の美形が座っており、役所のような空間が広がっていた。
どうやら俺は死んだようだ。
天国に行きますか?地獄に行きますか?それとも異世界転生しますか?
俺は異世界に転生してみることにした。
そこは男女比が9対1の世界であった。
幼なじみ2人の美形男子に迫られる毎日。
流されるままに溺愛される主人公。
安易に異世界を選んだ俺は性的に即行食われました…。
※不定期投稿です。気が向いたら投稿する形なので、話のストックはないです。
山もオチもないエロを書きたいだけのお話です。ただただ溺愛されるだけの主人公をお楽しみください。
※すみませんまだ人物紹介上げる気無かったのに間違って投稿してました(笑)
たいした情報無かったですが下げましたー( 人˘ω˘ )ごめんなさい
(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。
キノア9g
BL
完結済。騎士エリオット視点を含め全10話(エリオット視点2話と主人公視点8話構成)
エロなし。騎士×妖精
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。
気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。
木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。
色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。
ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。
捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。
彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。
少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──?
いいねありがとうございます!励みになります。
召喚聖女が十歳だったので、古株の男聖女はまだ陛下の閨に呼ばれるようです
月歌(ツキウタ)
BL
十代半ばで異世界に聖女召喚されたセツ(♂)。聖女として陛下の閨の相手を務めながら、信頼を得て親友の立場を得たセツ。三十代になり寝所に呼ばれることも減ったセツは、自由気ままに異世界ライフを堪能していた。
なのだけれど、陛下は新たに聖女召喚を行ったらしい。もしかして、俺って陛下に捨てられるのかな?
★表紙絵はAIピカソで作成しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる