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社畜と入れ替わった闇暗殺者の私と同期の話
11 犯罪、ダメ絶対
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「転職、引越し……うん」
この部屋にもお金がかかっている。会社から貰えているがいつまで出るのか私には分からない。
「引越しにもお金がかかる……荷物は」
ナルミの両親のところに送りつければ良い……かな?今、この部屋にモノは少ない。私がかなり片付けたからスッキリしたものだ。勿論ナルミの持っていた本なんかは置いたままだ。それでもきちんと収納するとナルミ自身そんなにモノを溜め込む方ではなかったらしい。
「それにしても……」
まさか自分がゲームに出てくる人物だとは思ってもみなかった。怖くてゲーム内に入れるというヘッドセットはつけることができないけれど、何冊かあった雑誌には特集記事が載っていた。
「……闇暗殺者を極めた男、マラカイト・凛莉……ね」
私だ、顔も背格好もすべて私。ただ、経歴は謎に包まれているのみだったのでその辺は助かる。
「実はって……こんなことまで」
私の表の顔がマークだということを匂わせることまで書かれている……なんてことだ、他人に隠しておきたいことがここまで堂々と書かれるなんて恐ろしい……!勘のいいものなら気づくのではないか?
「ナルミは……ナルミは大丈夫なのか?」
身長体重スリーサイズ、靴の大きさまで書かれている……これでは完全に私の表の顔であるマークがばれてしまう。嫌だ、マークの生活は私にとってとても大切なものだったのに、白日の元に晒されてしまうのはあまりに辛い。
「それでも……ごめん、ナルミ」
私の載っていたページをぱたんと閉じて本を重ね、箱にしまった……見ていたくなくて目に触れないようにしたのだ。私生活についても色々知られていそうだ……ナルミはきっと不便な生活を強いられている。私はこんなに自由に伸び伸びと暮らしているのに……申し訳なさで俯いてしまう、でも私は戻りたくない!
「……!」
誰かに探られている、そんな気配がする。こちらに来てから鈍りまくっている気配を読む力、そんな鋭さを失った感覚でも首の後ろにピリリと感じる危機感。嫌な気配。
一体どこから?なるべく自然にいつも通りに動きながら気配の元を探る……あった、あれは……コンセントに差しっぱなしの徹が置いていった電源タップ?持って帰ってくれと言ったのにまだささったままだ……。
こいつだ。でも何故?
このコンセントにささっている奴から不穏な気配を感じる。こいつのそばで物音を立ててはいけない気がする……。
そっと手を伸ばし、コンセントから引き抜く。そうすると気配は薄くなる。
「……まさか」
部屋中のコンセントを確認すると同じ物が何個も付いていることに気がついた。全部引き抜いてやっと気配が消えた……。これは一体何なんだ?徹が全部つけていったのか?私には分からないことが多過ぎる。
しかも徹に確認して良いものなのか……こんな不穏な気配がするものをわざと置いていったとすると言わない方がいいのではないだろうか。
「スマホ……これで調べたら何か分かるかな……」
顔認証とかいうので、ナルミのスマホは何の支障もなく使える。まだ慣れないが何とかキーワードを打ち込む。
「電源タップ……怪しい……。盗聴機……?」
出てきた内容に少しだけ驚き、そして納得した。成程、誰かが私の生活を探っていたんだ。不穏な気配ひそのせいだと腑に落ちる。
「コレを置いていったのは徹。徹はナルミに戻って欲しいんだよな」
駄目だ、あの場所に私は戻りたくない。
「……徹は、敵だ」
間島徹に心を許してはいけない。私はこの場所を離れる決心を固めた。
この部屋にもお金がかかっている。会社から貰えているがいつまで出るのか私には分からない。
「引越しにもお金がかかる……荷物は」
ナルミの両親のところに送りつければ良い……かな?今、この部屋にモノは少ない。私がかなり片付けたからスッキリしたものだ。勿論ナルミの持っていた本なんかは置いたままだ。それでもきちんと収納するとナルミ自身そんなにモノを溜め込む方ではなかったらしい。
「それにしても……」
まさか自分がゲームに出てくる人物だとは思ってもみなかった。怖くてゲーム内に入れるというヘッドセットはつけることができないけれど、何冊かあった雑誌には特集記事が載っていた。
「……闇暗殺者を極めた男、マラカイト・凛莉……ね」
私だ、顔も背格好もすべて私。ただ、経歴は謎に包まれているのみだったのでその辺は助かる。
「実はって……こんなことまで」
私の表の顔がマークだということを匂わせることまで書かれている……なんてことだ、他人に隠しておきたいことがここまで堂々と書かれるなんて恐ろしい……!勘のいいものなら気づくのではないか?
「ナルミは……ナルミは大丈夫なのか?」
身長体重スリーサイズ、靴の大きさまで書かれている……これでは完全に私の表の顔であるマークがばれてしまう。嫌だ、マークの生活は私にとってとても大切なものだったのに、白日の元に晒されてしまうのはあまりに辛い。
「それでも……ごめん、ナルミ」
私の載っていたページをぱたんと閉じて本を重ね、箱にしまった……見ていたくなくて目に触れないようにしたのだ。私生活についても色々知られていそうだ……ナルミはきっと不便な生活を強いられている。私はこんなに自由に伸び伸びと暮らしているのに……申し訳なさで俯いてしまう、でも私は戻りたくない!
「……!」
誰かに探られている、そんな気配がする。こちらに来てから鈍りまくっている気配を読む力、そんな鋭さを失った感覚でも首の後ろにピリリと感じる危機感。嫌な気配。
一体どこから?なるべく自然にいつも通りに動きながら気配の元を探る……あった、あれは……コンセントに差しっぱなしの徹が置いていった電源タップ?持って帰ってくれと言ったのにまだささったままだ……。
こいつだ。でも何故?
このコンセントにささっている奴から不穏な気配を感じる。こいつのそばで物音を立ててはいけない気がする……。
そっと手を伸ばし、コンセントから引き抜く。そうすると気配は薄くなる。
「……まさか」
部屋中のコンセントを確認すると同じ物が何個も付いていることに気がついた。全部引き抜いてやっと気配が消えた……。これは一体何なんだ?徹が全部つけていったのか?私には分からないことが多過ぎる。
しかも徹に確認して良いものなのか……こんな不穏な気配がするものをわざと置いていったとすると言わない方がいいのではないだろうか。
「スマホ……これで調べたら何か分かるかな……」
顔認証とかいうので、ナルミのスマホは何の支障もなく使える。まだ慣れないが何とかキーワードを打ち込む。
「電源タップ……怪しい……。盗聴機……?」
出てきた内容に少しだけ驚き、そして納得した。成程、誰かが私の生活を探っていたんだ。不穏な気配ひそのせいだと腑に落ちる。
「コレを置いていったのは徹。徹はナルミに戻って欲しいんだよな」
駄目だ、あの場所に私は戻りたくない。
「……徹は、敵だ」
間島徹に心を許してはいけない。私はこの場所を離れる決心を固めた。
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