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48 さて、問題です
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ふわふわの金髪をナデナデしてやりたい欲求に駆られたがマークはそんな事はしない、自重自重。上げかけた腕を元に戻す。
「聖騎士団長!」
「なんでしょう?」
って言いつつ俺の横にピッタリくっついて上着ををかけてくれた。あったかーい。風邪はひかないだろうけど濡れた服はやっぱり冷たいからなぁ。
「用がないので我々はここで失礼致します。私の可愛い人をもうこんな所に置いておけない」
そうだな、俺らに用はないもんね。
「せ、聖騎士団長っ! 頼む、力を貸してくれ! そちらの治癒術師の方も、頼む!」
「お断り致します。王宮騎士団の警備の元に私が顔を出せば混乱が生じる。王宮騎士団長はそれを嫌がる方なのはご存知でしょう」
そいやそんな確執があったな。聖騎士と王宮騎士は仲が悪い。ま、王宮騎士団のその上に竜騎士がいてそのトップがアメジストなんだから当然か。
「それではあの男が死んでしまう! 私はまだ準備が足りない。もう少しあの男の命を長らえさせてくれ!」
「うわぁお」
王太子の本音につい口調が崩れてしまった、失敗失敗。王太子の本音は続く。
「君達の婚姻を後押しする、私の名において君達を保護する! 二度とそちらの方に危害を加えないと誓う!」
はぁ、別に誓ってくれなくても良いんだけど?王太子、本当に優秀だなぁ。自分の地盤固めが終わってないからまだ現王を生かしておけなんて中々出る台詞じゃないぞ。
しかも何もしていないように見えて着々と力をつけている? 本当に凄いな、この王太子は。
チラリとフロウライトを見上げる。俺はどっちでも良いって視線を投げ掛ければ意思は伝わったようだ。
一つ頷いてからフロウライトは俺の肩を後ろから軽く掴んで、王太子の方を向かせた、何?
「では王太子殿下、問題です。私の伴侶の名前をご存知ですか?」
ほう?なかなか意地悪な問題だなぁ。王太子が平民の名前なんて知ってるかな?どうかなぁ~~?
王城についてすぐ、俺はフロウライトと引き離され、あちこちに連れ回され、誰にも挨拶することなく離れた部屋にポツンと置かれた。そういう粗末な扱いだろうとは思っていたけれど、本当にそのまんまで少し笑ったくらいだった。
フロウライトは何人か賛同してくれるのではないか、と淡い期待を持っていたようだがなかった訳だ。これがもし、俺が王様にきちんと御目通りをして挨拶も出来ていたらまだ話は違ってくるだろうが、そんなこともなかった。
国に忠義立てして良く働いたフロウライトのたっての頼みも王様は聞き入れなかったんだろう。だから助けに行く気も起こらないということだ。
さて、王太子殿下どうする?
「そ、そんなことをしている場合ではっ……いや、聖騎士団長、君には大切な問題なんだな……少し、少しだけ時間をくれ……確か、平民の……治癒術師、お人好し、皆に好かれて……メグお婆ちゃんがよく言ってたな、マークちゃんが膝を、うむそうだマークちゃんだ。目が青くて眼鏡で髪が黒い」
へえ、王太子、メグ婆ちゃんと知り合いか?やっぱり見所のある奴だ。そりゃ仲良くしておかなきゃならねーな。
「治癒術師にしておくにゃ勿体無い体の子だよって……だからマークだ。間違いない」
「正解です。お忍びで街歩きしてたんですね」
「そりゃ王太子たるもの街の視察も必要だろう」
ほっと溜息をつく王太子殿下と苦笑いするフロウライト。王太子殿下のお忍びは聖騎士団では把握してなかったらしい。
「メグ婆ちゃんのお気に入りなら仕方ない、サファイア君、服」
「はいっ!師匠ー。今日もいい感じの仕立てておきましたー!」
近くの茂みからサファイア君がにこにこ笑顔で飛び出して来た。え、何?君が縫ってるの??
舌をぺろん、と出したからサファイア君の表の職業は仕立て屋さんなのかもしれない。
「聖騎士団長!」
「なんでしょう?」
って言いつつ俺の横にピッタリくっついて上着ををかけてくれた。あったかーい。風邪はひかないだろうけど濡れた服はやっぱり冷たいからなぁ。
「用がないので我々はここで失礼致します。私の可愛い人をもうこんな所に置いておけない」
そうだな、俺らに用はないもんね。
「せ、聖騎士団長っ! 頼む、力を貸してくれ! そちらの治癒術師の方も、頼む!」
「お断り致します。王宮騎士団の警備の元に私が顔を出せば混乱が生じる。王宮騎士団長はそれを嫌がる方なのはご存知でしょう」
そいやそんな確執があったな。聖騎士と王宮騎士は仲が悪い。ま、王宮騎士団のその上に竜騎士がいてそのトップがアメジストなんだから当然か。
「それではあの男が死んでしまう! 私はまだ準備が足りない。もう少しあの男の命を長らえさせてくれ!」
「うわぁお」
王太子の本音につい口調が崩れてしまった、失敗失敗。王太子の本音は続く。
「君達の婚姻を後押しする、私の名において君達を保護する! 二度とそちらの方に危害を加えないと誓う!」
はぁ、別に誓ってくれなくても良いんだけど?王太子、本当に優秀だなぁ。自分の地盤固めが終わってないからまだ現王を生かしておけなんて中々出る台詞じゃないぞ。
しかも何もしていないように見えて着々と力をつけている? 本当に凄いな、この王太子は。
チラリとフロウライトを見上げる。俺はどっちでも良いって視線を投げ掛ければ意思は伝わったようだ。
一つ頷いてからフロウライトは俺の肩を後ろから軽く掴んで、王太子の方を向かせた、何?
「では王太子殿下、問題です。私の伴侶の名前をご存知ですか?」
ほう?なかなか意地悪な問題だなぁ。王太子が平民の名前なんて知ってるかな?どうかなぁ~~?
王城についてすぐ、俺はフロウライトと引き離され、あちこちに連れ回され、誰にも挨拶することなく離れた部屋にポツンと置かれた。そういう粗末な扱いだろうとは思っていたけれど、本当にそのまんまで少し笑ったくらいだった。
フロウライトは何人か賛同してくれるのではないか、と淡い期待を持っていたようだがなかった訳だ。これがもし、俺が王様にきちんと御目通りをして挨拶も出来ていたらまだ話は違ってくるだろうが、そんなこともなかった。
国に忠義立てして良く働いたフロウライトのたっての頼みも王様は聞き入れなかったんだろう。だから助けに行く気も起こらないということだ。
さて、王太子殿下どうする?
「そ、そんなことをしている場合ではっ……いや、聖騎士団長、君には大切な問題なんだな……少し、少しだけ時間をくれ……確か、平民の……治癒術師、お人好し、皆に好かれて……メグお婆ちゃんがよく言ってたな、マークちゃんが膝を、うむそうだマークちゃんだ。目が青くて眼鏡で髪が黒い」
へえ、王太子、メグ婆ちゃんと知り合いか?やっぱり見所のある奴だ。そりゃ仲良くしておかなきゃならねーな。
「治癒術師にしておくにゃ勿体無い体の子だよって……だからマークだ。間違いない」
「正解です。お忍びで街歩きしてたんですね」
「そりゃ王太子たるもの街の視察も必要だろう」
ほっと溜息をつく王太子殿下と苦笑いするフロウライト。王太子殿下のお忍びは聖騎士団では把握してなかったらしい。
「メグ婆ちゃんのお気に入りなら仕方ない、サファイア君、服」
「はいっ!師匠ー。今日もいい感じの仕立てておきましたー!」
近くの茂みからサファイア君がにこにこ笑顔で飛び出して来た。え、何?君が縫ってるの??
舌をぺろん、と出したからサファイア君の表の職業は仕立て屋さんなのかもしれない。
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