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31 その凶行の訳とは
しおりを挟むほとんど市場に出回らない特級ポーションを一気に飲んでやっと一息つけた。ポーション代はフロウライトに請求しよう、絶対だ!これ、すごく高いんだから。
平気な顔をしていたけれど、物凄く痛かった肋骨の痛みが引いていく。絶対2.3本じゃない、全部折れたかヒビが入っていたと思う。まだ痛みが残っているが、脂汗は引っ込んだ。訓練すれば顔だけ汗をかかずにいられるものなんだなぁとそこら辺は驚いた。
「マーク……いや、今はマラカイト・リンリーか」
「どちらでも構わない」
ただどうしても怒りで殺気が治らないからこの状態でマークだというのは無理があり過ぎる。多分俺のおでこには交差点印が4.5個は出てると思う!
「フロウライト・アイアンメイデン。何故こんなことをしたか洗いざらい吐いて貰おうか」
「そ、それは……リンリー、怒っているのか?」
全身バキバキにされて怒らない奴がいるか?! いねーよな?! ただここで怒鳴りつけても理由の解明に時間がかかるだけだ。冷静に対応しよう。
「何故だ」
「そ、それは……その。わ、私もき、君のことをあ、愛してしまったから、なんだが」
「……」
愛……?何で聖騎士・極があんなくだらない噂に惑わされるんだ、意味が分からん。あまりのくだらなさに目の前がくらくらと歪んだが、もしかしたら真の理由があるかも知れない。眉間を押さえて精神を立て直す。
「続けて」
「い、以前からマークのことは知っていた。我々、聖騎士を治療してくれたこともあっただろう? それに街の人達からも信頼が厚い。毎日毎日人々を癒して回る、なんて素晴らしい人物だと」
はあ、それはありがとうございます?
「ぜ、前回の会議で君は私のことを見ていた……今までそんな事、なかった、のに」
「ああ」
アメジストから身を守る盾にしようとしたからな。
「そ、こでマラカイト・リンリーが、あのマークだと知った……その、笑顔が凄く……良いなと」
「……」
おい、あの場でお前に笑いかけたか? 笑いかけたな、ていうかマークは誰に対してもああだ、お前だけ特別じゃないっ!
そこまで話したフロウライトの顔は真っ赤だ。何だそれ、恋する男子みたいな反応は。
「自分でも、よく分からなくて……団員に相談した……マークが気になると。そ、そしたら、それは恋、だと。わ、私は知らず君をあ、愛していたんだと」
「……」
う、嘘だろ?フロウライト・アイアンメイデン。何騙されてんだ。お前が俺を好きになる要素が薄過ぎる、どうしてそうなった?! それならまだアメジストが俺を抱きたいっていう方が納得できるぞ? お前、勘違いも甚だしいだろ!
あと聖騎士共っ何嘘情報をフロウライトに与えてんだよ!こいつのカッチコッチの石頭に妙な情報がインプットされてしまってそのまま凝り固まってるじゃねーか!
「だ、団員も街の人達もみんな応援してくれて……だから、私も、頑張らなければ、君を幸せにしなければと!」
凶行に及んだ訳ね、とんでもねーな!おいっ!
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