上 下
18 / 117

18 衝撃の事実達

しおりを挟む

「リン?」
「徹! やっと繋がったんだ。向こうにナルミがいるよ」
「まじか、谷口か?」

 鏡の中の俺の横に同期の間島がぬっと現れた。本当に間島だ……気になるのは俺であり今は凛莉師匠が入っている俺とペアルックのスウェットを着て寛いでいる感じがするところだが……ま、まさか?

「谷口、大丈夫か? リンは中々連絡が取れないから谷口も何とかなっているんじゃないのかって言ってたけど、どうなんだ、困ったことはあるか?」
「困った事だらけだけど、一体どうなってるんだ? そして間島、凛莉師匠を誑かすな!」
「誑かされてないよ、私は」
「その台詞は誑かされた人が言う奴です! 凛莉師匠!」
「違う! 私と徹は愛し合っているんだ、本当に!」
「愛ぃ~~~~~っ!?」

 そこら辺も問題じゃないかああああっ!!

「谷口は全然まったく完璧に何にも気が付いていなかっただろうけど、俺は入社当時からお前のことが好きだった」
「初耳すぎて何もついてこない」

 凛莉師匠と間島は並んで座って話を始めた。間島が俺のことを好きだった、と告白した時、中身凛莉師匠、外見俺の人はぷくっとほっぺたを膨らませた。おいおい可愛いな。もしかして嫉妬してるんですか?

「俺はあの手この手とお前の気を引きたくて色々やってみたが駄目だった……お前は口では彼女が欲しいとか恋人がほしいとか言ってたけれど、実際はゲームしかしない馬鹿だった」
「黙れ、とっかえひっかえのお前よりマシだ」
「実際、お前のことを忘れられるかと思って付き合った女もいた……駄目だった。大体はお前の気を引きたくて彼女が出来たとか言ってみたんだが、報告した時、お前は一瞬反応を返すけど、その後何も言わない! 凄く、悔しかった」
「知らんし」

 本当に知らんし、って感想しか出ない。俺は間島のことを同期としか見たことがないんだから。おれを好きだったぁ? 嘘だろ、絶対嘘だ。

「そしたら突然お前がおかしくなった……リンとお前が入れ替わったんだって。リンは泣いてずっとお前に謝ってたよ、自分のせいで何の瑕疵もないお前に迷惑と苦労をかけているってね……リンだってこっちの世界のことが何も分からず怖かったろうに」
「……本当の事だもの。でも、すぐ徹が助けてくれた……嬉しかった」
「リン……」

 鏡の向こうで間島と俺の体がいちゃついてる……どうしたらいいんだこれ?

「でもどうなんだ? リンはきっとあの箱を谷口がすぐに見つけて会おうとするはず、戻ろうと考えるはずだと言ってたんだけど、中々つながらなかったんだが」
「そ、それは……凛莉師匠の恋人を探してて……」
「私に恋人はいないけど?」
「まさかオモチャで自分の尻を弄ってたなんて誰か気づくっていうんだ!! ケツがムズムズして大変だったんだからな!! このエロ師匠ッ」

 思わず大声。鏡の向こうで俺がびっくりして間島に抱きついてる。やめて欲しいです、気持ちの悪い絵面過ぎる。

「ひいんっ!徹ぅ~ナルミが意地悪をいう~」
「谷口! 俺のリンを虐めるな! エロくてどこが悪い! 最高だろう馬鹿野郎! リンが入ったお前はもう、もう、もう……凄いんだからな!!」
「何が凄いか絶対に聞かないからな!!」
「ケツの締まりに決まってるだろう! 毎日何回ヤってると思ってんだ!」
「もういいやめろーーっ!」

 更に大声を張り上げた俺の美声が部屋に響く。本当に、本当に近くに人がいなくて良かった……。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

そばかす糸目はのんびりしたい

楢山幕府
BL
由緒ある名家の末っ子として生まれたユージン。 母親が後妻で、眉目秀麗な直系の遺伝を受け継がなかったことから、一族からは空気として扱われていた。 ただ一人、溺愛してくる老いた父親を除いて。 ユージンは、のんびりするのが好きだった。 いつでも、のんびりしたいと思っている。 でも何故か忙しい。 ひとたび出張へ出れば、冒険者に囲まれる始末。 いつになったら、のんびりできるのか。もう開き直って、のんびりしていいのか。 果たして、そばかす糸目はのんびりできるのか。 懐かれ体質が好きな方向けです。今のところ主人公は、のんびり重視の恋愛未満です。 全17話、約6万文字。

転生令息は冒険者を目指す!?

葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。  救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。  再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。  異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!  とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A

その男、有能につき……

大和撫子
BL
 俺はその日最高に落ち込んでいた。このまま死んで異世界に転生。チート能力を手に入れて最高にリア充な人生を……なんてことが現実に起こる筈もなく。奇しくもその日は俺の二十歳の誕生日だった。初めて飲む酒はヤケ酒で。簡単に酒に呑まれちまった俺はフラフラと渋谷の繁華街を彷徨い歩いた。ふと気づいたら、全く知らない路地(?)に立っていたんだ。そうだな、辺りの建物や雰囲気でいったら……ビクトリア調時代風? て、まさかなぁ。俺、さっきいつもの道を歩いていた筈だよな? どこだよ、ここ。酔いつぶれて寝ちまったのか? 「君、どうかしたのかい?」  その時、背後にフルートみたいに澄んだ柔らかい声が響いた。突然、そう話しかけてくる声に振り向いた。そこにいたのは……。  黄金の髪、真珠の肌、ピンクサファイアの唇、そして光の加減によって深紅からロイヤルブルーに変化する瞳を持った、まるで全身が宝石で出来ているような超絶美形男子だった。えーと、確か電気の光と太陽光で色が変わって見える宝石、あったような……。後で聞いたら、そんな風に光によって赤から青に変化する宝石は『ベキリーブルーガーネット』と言うらしい。何でも、翠から赤に変化するアレキサンドライトよりも非常に希少な代物だそうだ。  彼は|Radius《ラディウス》~ラテン語で「光源」の意味を持つ、|Eternal《エターナル》王家の次男らしい。何だか分からない内に彼に気に入られた俺は、エターナル王家第二王子の専属侍従として仕える事になっちまったんだ! しかもゆくゆくは執事になって欲しいんだとか。  だけど彼は第二王子。専属についている秘書を始め護衛役や美容師、マッサージ師などなど。数多く王子と密に接する男たちは沢山いる。そんな訳で、まずは見習いから、と彼らの指導のもと、仕事を覚えていく訳だけど……。皆、王子の寵愛を独占しようと日々蹴落としあって熾烈な争いは日常茶飯事だった。そんな中、得体の知れない俺が王子直々で専属侍従にする、なんていうもんだから、そいつらから様々な嫌がらせを受けたりするようになっちまって。それは日増しにエスカレートしていく。  大丈夫か? こんな「ムササビの五能」な俺……果たしてこのまま皇子の寵愛を受け続ける事が出来るんだろうか?  更には、第一王子も登場。まるで第二王子に対抗するかのように俺を引き抜こうとしてみたり、波乱の予感しかしない。どうなる? 俺?!

謎の死を遂げる予定の我儘悪役令息ですが、義兄が離してくれません

柴傘
BL
ミーシャ・ルリアン、4歳。 父が連れてきた僕の義兄になる人を見た瞬間、突然前世の記憶を思い出した。 あれ、僕ってばBL小説の悪役令息じゃない? 前世での愛読書だったBL小説の悪役令息であるミーシャは、義兄である主人公を出会った頃から蛇蝎のように嫌いイジメを繰り返し最終的には謎の死を遂げる。 そんなの絶対に嫌だ!そう思ったけれど、なぜか僕は理性が非常によわよわで直ぐにキレてしまう困った体質だった。 「おまえもクビ!おまえもだ!あしたから顔をみせるなー!」 今日も今日とて理不尽な理由で使用人を解雇しまくり。けれどそんな僕を見ても、主人公はずっとニコニコしている。 「おはようミーシャ、今日も元気だね」 あまつさえ僕を抱き上げ頬擦りして、可愛い可愛いと連呼する。あれれ?お兄様、全然キャラ違くない? 義弟が色々な意味で可愛くて仕方ない溺愛執着攻め×怒りの沸点ド底辺理性よわよわショタ受け 9/2以降不定期更新

使い捨ての元神子ですが、二回目はのんびり暮らしたい

夜乃すてら
BL
 一度目、支倉翠は異世界人を使い捨ての電池扱いしていた国に召喚された。双子の妹と信頼していた騎士の死を聞いて激怒した翠は、命と引き換えにその国を水没させたはずだった。  しかし、日本に舞い戻ってしまう。そこでは妹は行方不明になっていた。  病院を退院した帰り、事故で再び異世界へ。  二度目の国では、親切な猫獣人夫婦のエドアとシュシュに助けられ、コフィ屋で雑用をしながら、のんびり暮らし始めるが……どうやらこの国では魔法士狩りをしているようで……?  ※なんかよくわからんな…と没にしてた小説なんですが、案外いいかも…?と思って、試しにのせてみますが、続きはちゃんと考えてないので、その時の雰囲気で書く予定。  ※主人公が受けです。   元々は騎士ヒーローもので考えてたけど、ちょっと迷ってるから決めないでおきます。  ※猫獣人がひどい目にもあいません。 (※R指定、後から付け足すかもしれません。まだわからん。)  ※試し置きなので、急に消したらすみません。

運命を変えるために良い子を目指したら、ハイスペ従者に溺愛されました

十夜 篁
BL
 初めて会った家族や使用人に『バケモノ』として扱われ、傷ついたユーリ(5歳)は、階段から落ちたことがきっかけで神様に出会った。 そして、神様から教えてもらった未来はとんでもないものだった…。 「えぇ!僕、16歳で死んじゃうの!? しかも、死ぬまでずっと1人ぼっちだなんて…」 ユーリは神様からもらったチートスキルを活かして未来を変えることを決意! 「いい子になってみんなに愛してもらえるように頑張ります!」  まずユーリは、1番近くにいてくれる従者のアルバートと仲良くなろうとするが…? 「ユーリ様を害する者は、すべて私が排除しましょう」 「うぇ!?は、排除はしなくていいよ!!」 健気に頑張るご主人様に、ハイスペ従者の溺愛が急成長中!? そんなユーリの周りにはいつの間にか人が集まり…。 《これは、1人ぼっちになった少年が、温かい居場所を見つけ、運命を変えるまでの物語》

瞳の代償 〜片目を失ったらイケメンたちと同居生活が始まりました〜

Kei
BL
昨年の春から上京して都内の大学に通い一人暮らしを始めた大学2年生の黒崎水樹(男です)。無事試験が終わり夏休みに突入したばかりの頃、水樹は同じ大学に通う親友の斎藤大貴にバンドの地下ライブに誘われる。熱狂的なライブは無事に終了したかに思えたが、…… 「え!?そんな物までファンサで投げるの!?」 この物語は何処にでもいる(いや、アイドル並みの可愛さの)男子大学生が流れに流されいつのまにかイケメンの男性たちと同居生活を送る話です。 流血表現がありますが苦手な人はご遠慮ください。また、男性同士の恋愛シーンも含まれます。こちらも苦手な方は今すぐにホームボタンを押して逃げてください。 もし、もしかしたらR18が入る、可能性がないこともないかもしれません。 誤字脱字の指摘ありがとうございます

異世界に召喚されて失明したけど幸せです。

るて
BL
僕はシノ。 なんでか異世界に召喚されたみたいです! でも、声は聴こえるのに目の前が真っ暗なんだろう あ、失明したらしいっす うん。まー、別にいーや。 なんかチヤホヤしてもらえて嬉しい! あと、めっちゃ耳が良くなってたよ( ˘꒳˘) 目が見えなくても僕は戦えます(`✧ω✧´)

処理中です...