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6 初級治癒術師マークの日常
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「凄い、全然別人やん」
俺は眼鏡をかけてまじまじと鏡を見つめた。そこには平平凡凡を絵に描いたような初級のどこにでも良そうな町民一歩手前のギリギリNPCマークが立っていた。
黒くて長い髪の毛を後ろで一つ縛りにして、どこにでもいそうな青い目にあまり目立たない眼鏡。服は僧侶かな?って感じの裾が長いタイプで色は黒っぽい。肩から掛けて首に巻いているマフラー的なものに十字架マークが小さくついているどこからどうみても回復職のお兄さん。
「凄く、お人好しっぽい……でも騙されてもお金持ってなくて、悪者にさっさと行け! って追い出されそうな感じするやつ!」
眼鏡一つでこうも変わるのかと思ったけれど、この眼鏡、高度闇魔法が組み込まれている。通常の鑑定じゃ絶対分からない、暗殺スキル闇スキルそして更に高度鑑定スキルと複雑怪奇なスキル取りをしたあとで、じっくり外しているものを手に取って10分くらい鑑定したらなんとか違和感に気づけるかも? ってものだ。
「神話級……神具だ……絶対分からないよなあこれ」
まさかマークがねえって俺も思ったもんね。最近アップデートされて、上位職「極」が追加された。その転職NPCは全員まだ解明されてなくて、マークがマラカイト・凛莉だったように、今までその辺にいたNPCが真の姿を見せた者もいるし、新規で追加された物。人外色々だった。っていうのをチラ見せ宣伝動画でみた。本物は見た事がない!
「そっちの方に恋人はいない気がするんだよなあ……よし、とりあえず街に出てみよう」
マークは街にいる。しっかり眼鏡をかけて、家の扉を開けた。途端に足取りがマークになっていた。ぺたん、ぺたんと無意識に足音を立て、たまによろけたり、飛んでいる蝶を見てぼんやりしていたり。意識しないと本当にマークっぽい動きが完全に再現できている。これが体に馴染んだ動きってヤツなんだろうな。
「マークさん、おはようございます!」
「あっおはようございます。風邪はどうですか?」
「もうばっちりです、ありがとうございました!」
「いえいえ~お役に立ててうれしいです~」
2.3日連続で治癒魔法をかけた花屋のお姉さんが明るく声をかけてくれた。名前はローズだったかな?うん、その辺の記憶はちゃんと思い出せた。
「マークちゃん」
「おばあちゃん、無理しないで」
「ありがとうねえ、膝の痛みが取れたよう」
御年82歳のメグおばあちゃんに会いに行くのは日課になっているし、体もちゃんと動いてくれるし、魔法もきちんと発動する。マークとしての動きは完璧だった。
「マーク、お願い~」
「無理はしちゃいけませんよう」
自分より遥かに年下だろうプレイヤー達に呼び捨てにされてもニコニコと対応する。もちろんマナーが悪い奴らに絡まれる。
「たった20じゃなくてもっと回復しろよ、この下手くそ!」
「……すいません」
ただで回復して貰ってその言い草。大抵はこのくらいで済むけれど、もっとひどいプレイヤーもいる。
「なあ、金持ってんだろ? 寄越せ」
「な、ないです……」
NPCから金をせびるようなクソ腐ってるプレイヤーもたまに現れる。
「使えねえなぁ! なら殴って良いよな!?」
「や、やめてください!」
これは運営にバレたらアカウント凍結案件だけれど、バレなければどうということはない。そんな軽い気持ちでNPCに手を上げる馬鹿がいるんだ……こいつもそうだろう。多分殴られても痛くない、マラカイト・凛莉のレベルは2000だ……プレイヤーは今は255が最高値でそれ以上上がらない。NPC故の上限突破具合なんだけど、こいつらの攻撃なんて痛みも感じないんだろうけど……。
「あうっ」
「へっざまーみろ!」
痛そうな顔をしてパタリと地面に倒れる……演技なんだけど演技に見えない、凄い!本当は頬に傷一つ付かないのに……意志の力で頬が赤く腫れてくる、そこまで肉体って操作できるんだ、凄い。あと倒れた時隠し持っていた化粧品でちょっと派手目に赤い色を引いておくと更にそれっぽく見えちゃう。これも全部無意識にできる、凄いよ!凛莉師匠!
俺は眼鏡をかけてまじまじと鏡を見つめた。そこには平平凡凡を絵に描いたような初級のどこにでも良そうな町民一歩手前のギリギリNPCマークが立っていた。
黒くて長い髪の毛を後ろで一つ縛りにして、どこにでもいそうな青い目にあまり目立たない眼鏡。服は僧侶かな?って感じの裾が長いタイプで色は黒っぽい。肩から掛けて首に巻いているマフラー的なものに十字架マークが小さくついているどこからどうみても回復職のお兄さん。
「凄く、お人好しっぽい……でも騙されてもお金持ってなくて、悪者にさっさと行け! って追い出されそうな感じするやつ!」
眼鏡一つでこうも変わるのかと思ったけれど、この眼鏡、高度闇魔法が組み込まれている。通常の鑑定じゃ絶対分からない、暗殺スキル闇スキルそして更に高度鑑定スキルと複雑怪奇なスキル取りをしたあとで、じっくり外しているものを手に取って10分くらい鑑定したらなんとか違和感に気づけるかも? ってものだ。
「神話級……神具だ……絶対分からないよなあこれ」
まさかマークがねえって俺も思ったもんね。最近アップデートされて、上位職「極」が追加された。その転職NPCは全員まだ解明されてなくて、マークがマラカイト・凛莉だったように、今までその辺にいたNPCが真の姿を見せた者もいるし、新規で追加された物。人外色々だった。っていうのをチラ見せ宣伝動画でみた。本物は見た事がない!
「そっちの方に恋人はいない気がするんだよなあ……よし、とりあえず街に出てみよう」
マークは街にいる。しっかり眼鏡をかけて、家の扉を開けた。途端に足取りがマークになっていた。ぺたん、ぺたんと無意識に足音を立て、たまによろけたり、飛んでいる蝶を見てぼんやりしていたり。意識しないと本当にマークっぽい動きが完全に再現できている。これが体に馴染んだ動きってヤツなんだろうな。
「マークさん、おはようございます!」
「あっおはようございます。風邪はどうですか?」
「もうばっちりです、ありがとうございました!」
「いえいえ~お役に立ててうれしいです~」
2.3日連続で治癒魔法をかけた花屋のお姉さんが明るく声をかけてくれた。名前はローズだったかな?うん、その辺の記憶はちゃんと思い出せた。
「マークちゃん」
「おばあちゃん、無理しないで」
「ありがとうねえ、膝の痛みが取れたよう」
御年82歳のメグおばあちゃんに会いに行くのは日課になっているし、体もちゃんと動いてくれるし、魔法もきちんと発動する。マークとしての動きは完璧だった。
「マーク、お願い~」
「無理はしちゃいけませんよう」
自分より遥かに年下だろうプレイヤー達に呼び捨てにされてもニコニコと対応する。もちろんマナーが悪い奴らに絡まれる。
「たった20じゃなくてもっと回復しろよ、この下手くそ!」
「……すいません」
ただで回復して貰ってその言い草。大抵はこのくらいで済むけれど、もっとひどいプレイヤーもいる。
「なあ、金持ってんだろ? 寄越せ」
「な、ないです……」
NPCから金をせびるようなクソ腐ってるプレイヤーもたまに現れる。
「使えねえなぁ! なら殴って良いよな!?」
「や、やめてください!」
これは運営にバレたらアカウント凍結案件だけれど、バレなければどうということはない。そんな軽い気持ちでNPCに手を上げる馬鹿がいるんだ……こいつもそうだろう。多分殴られても痛くない、マラカイト・凛莉のレベルは2000だ……プレイヤーは今は255が最高値でそれ以上上がらない。NPC故の上限突破具合なんだけど、こいつらの攻撃なんて痛みも感じないんだろうけど……。
「あうっ」
「へっざまーみろ!」
痛そうな顔をしてパタリと地面に倒れる……演技なんだけど演技に見えない、凄い!本当は頬に傷一つ付かないのに……意志の力で頬が赤く腫れてくる、そこまで肉体って操作できるんだ、凄い。あと倒れた時隠し持っていた化粧品でちょっと派手目に赤い色を引いておくと更にそれっぽく見えちゃう。これも全部無意識にできる、凄いよ!凛莉師匠!
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