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78 ジュードを俺のものにする方法を探る俺(ヴォルフ視点)

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「ジュード!ジュード!」

「仕方がないなあ、ヴォルフは!」 

 俺はとりあえずジュードの横を絶対に離れない。あの時とは違う、ジュードが俺たちを庇って殺されたあの時とは違う。

「ジュード!ジュード!血が!血が!」

「……だい、じょうぶ、だ……いいか、すぐ……逃げるんだ……」

「ジューードぉ!!」

 目を見開いて俺達を心配したまま、あの時ジュードは死んだ。

「ハッ!す、素直に金の在処を吐けばいいものを……!」

 ジュードの息子だと名乗った全然似てないヤツは震えながらそう言った。殺す気はなかったのに、ジュードが死んでしまったから、恐ろしくなったんだろう。

「ここだ!急げ!」

 屋敷の外にはやっぱり知らない人間がたくさん来ていて、ジュードを殺した犯人も、ジュードもどこかへ連れて行ってしまって、帰ってはこなかった。

「じーちゃん、俺、俺達悔しい!どうして俺達は弱いんだ!ジュードを守ってやれなかったんだ!」

 俺もレリュークもじーちゃんに泣きついた。

「ヴォルフもレリュークもまだ小さかった。お前たちに出来ることはなかったんじゃ……」

 俺達は村を出て、ジュードを捜しに行った。遺体でもいい、最後に挨拶をしたかったんだ。でも人間はどこかにジュードを隠してしまった。俺達の、俺達のジュードを!

《人間が憎いか……?獣の子供らよ。我が力を得よ。さすればまたそなたらのつがいにあわせてやろう》

 その甘い囁きに俺とレリュークは乗った。そして俺達は魔王となったんだ。


 幾人の人間を殺したかは知らない。勇者と名乗る者たちを葬ったか分からない。その中の一人に「ジュード」と名乗る奴がいると聞いて、俺は憎しみが燃え上がる。その名前を名乗っていいのは一人だけだ。その偽ジュードを殺して俺達の唯一のつがいだった者を守らねばならない。
 
 俺は魔王城を出て、その偽物を殺しに出かけた。


 なんか、とっても可愛いのがいた。まるでジュードを小っちゃくしたようなとっても可愛いのだった。あ、持って帰るしかない。そんでお菓子とか食べさせるんだ。

 と、思って近寄ったらその可愛い人間はにこっと笑ってこう言ったんだ。

「あ、ヴォルフじゃん。デカくなったなー」

 へ?

「ジュード?」

 その可愛いのは偉そうにため息までついて、やれやれ仕方がないなあ、といったあのおじさんだったジュードと同じ表情と身振り手振りで言うんだ。

「はぁ、なんだよ。俺は一発で分かったのに、お前は分かんないんだな。まあ、良いけどよ。じーちゃんもすぐ分かったけど、お前はそんなもんか。気を使ってお前に先に会いにきたけど、レリュークの方行けば良かったなぁ」

「ダメ!俺が先!!」

 きゃん!と子犬のように鳴いてしまった!くっ!俺、魔王だぞ!?周りに部下がいっぱいいるんだぞ!でも、この可愛いヤツは続けるんだ。

「だってお前、分かんないじゃん。それに何だよ、その手入れしてない毛は!ちゃんともふもふしとけっていっつもいってたろ!
 ったく魔王なんてゴワゴワした物になるから、毛もゴワゴワになるんだ!魔王なんて辞めちまえ!」

 か、完全にジュードだ。小っちゃいジュードだ!ど、どうしよう!心臓がバクバクする、ジュードが!ジュードが目の前にいて、魔王をやめろって言った!やめる!すぐやめる!

「うう……ジュードが言うなら辞める……だから怒らないで欲しいぃ」

「どうすっかなー」

「うわーん!ジュード許してーー!」

 ジュードが怒った!ど、どどどどどどうしたらいい!?俺、ジュードに嫌われたくない!絶対嫌われたくない!!!思わず飛びついてしまう、許して!許してくれ!

「どわっ!」

「ごめんーごめんってばーーー!」

「わ、分かったからやめろーー!」

 あー!良かった!やっぱりジュードは優しい!好き、大好き!べろりと舐めるとジュードの味がする、美味い!美味すぎる!頭から全部食べちゃいたい!

「うわーい!ジュードだ!ジュードだ!ジュードの匂いがするー!ジュードの味がするー!」

「味はやめろよ!なんか怖いー!」

「美味しいーー!」

 
 と、感動の再会をしたのはいいが、これからどうしたらいいのか。ジュードはレリュークにも会いに行くって言っている。俺の転移魔法を使えばレリュークの城までパチンでつく。だが、レリュークに会えばジュードの半分はレリュークに持っていかれる。
 ……レリュークの城につくまでに、俺はジュードを俺のものにしたい!俺だけのものに!レリュークとの半分この約束はあるけれど、ジュードが俺だけがいいって言ってくれたら問題ないはずだ。

 小さくて可愛いジュードは俺をまだガキの頃の俺だと思っている。はっきり言って押し倒してぶち込めば簡単にやれるだろう。でも俺は毛の先もジュードに嫌われたくない。いやでもヤりたい、凄くヤりたい!あの可愛いジュードが俺の下でどんな声で啼くのか考えただけでもう噴射しそうだ。鼻血とかいろんなものを。
 でも……。

「ヴォルフ?どうした。腹でも痛いのか?」

「なんでもないよ~!」
 
 心配してくるジュードに阿呆のふりして抱きつく。小っちゃいジュードより俺の方が随分重いから

「わわっ!」

 ジュードは俺に押し倒される。それでも仕方のない奴だなあ。って笑うんだ。ああ、可愛い、可愛いジュード。股間が熱くなるぜ。俺はどうやったら嫌われずにジュードとヤれて、しかも好かれる方法をずっと考えていたけど、上手い方法はなかなか見つからなかった……。
 
 うーーーそろそろ我慢も限界だ。犯して犯して犯しつくしたら、ジュードは俺しか見えなくなるかな?でもそんなことをしたら

「ヴォルフ、ほらブラシだぞ、逃げるんじゃない!」

 なんて優しくしてくれなくなる……俺は、俺はどうしたらいいんだーーー!

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