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70 親は親だよなと思う俺
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黒の魔王がいると言う東へ近づけば、辺りは破壊された街が増えていった。
自分達が住んでいた所がいかに平和であったのかと驚いてしまう。
「本当に魔王がいるんですね」
「そうみたいだな」
神様から言われてのこのこやって来たが、こんなにすさんでいるとは思いもしなかった。
「こんなに……?」
壊れた建物の中にひっそり息を潜めて暮らす人々。淀んだ空気が漂っている。魔王がいると言うもっと東は天さえ暗い。
「私達の暮らしていた国は平和だったのですね」
暗い顔でアザルは街を見る。神殿や教会は見当たらず、多分ここに神殿があったんだろうと思われる跡地が残っていた。
「……本当にヴォルフが、こんな事を……」
ふわふわの子犬だったヴォルフの顔が蘇る。
「ジュード!ジュード!」
「ジュードさんだろう!いくつ歳上だと思ってるんだ!」
「知らなーい!」
何度この会話を繰り返したものか。ヴォルフは物覚えが悪くて、計算もなかなか覚えられなかった。
それでも根気よく教えて読み書きもできるようになったっけ。
「なー、ジュード!俺とレリューク、とっちのお嫁さんになるんだ?もちろん俺だよな?!」
「ああ?何言ってんだ?」
「絶対俺!絶対ーー!」
「あーはいはい」
そんなやり取りを何度も飽きずにやったなぁ。そんな子供が、本当にこんな事を?信じられない。
「戻ってきた斥候によると、やはり黒の魔王は元狼獣人で、名前はヴォルフで間違いないらしい」
ゼフが伝えてくれるが、やっぱり信じられない。
「ジュードが知っているヴォルフはまだ子供だったんだろう?今は立派な大人になっている歳だ。そして魔王として君臨している……お前の知っているヴォルフとは別人だと思った方がいい」
「分かって……いるはずなんだけど、どうしても納得出来ないんだ。何かの間違いじゃないか、とか実は全然関係ない人じゃないかだとか色々考えちゃうんだ」
あのヴォルフが人々を苦しめる事をしているのか?そんなはずないって。
「そうか……」
ゼフはそれだけ言うと視線を落とす。
「自分の目で確認しないと納得できない事は世の中にはたくさんあるものな」
こぼすような呟きには何か思う所がありそうだが、今はそれを尋ねるときではない気がする。頭をぽんぽんされた。
「何とかなるさ、その為に俺達がいる」
子供扱いか!とは思ったが、ゼフは頼もしいなとちょっと感心した。親がアレでも子供は違うよな、俺が言うのもなんだけどね。
自分達が住んでいた所がいかに平和であったのかと驚いてしまう。
「本当に魔王がいるんですね」
「そうみたいだな」
神様から言われてのこのこやって来たが、こんなにすさんでいるとは思いもしなかった。
「こんなに……?」
壊れた建物の中にひっそり息を潜めて暮らす人々。淀んだ空気が漂っている。魔王がいると言うもっと東は天さえ暗い。
「私達の暮らしていた国は平和だったのですね」
暗い顔でアザルは街を見る。神殿や教会は見当たらず、多分ここに神殿があったんだろうと思われる跡地が残っていた。
「……本当にヴォルフが、こんな事を……」
ふわふわの子犬だったヴォルフの顔が蘇る。
「ジュード!ジュード!」
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それでも根気よく教えて読み書きもできるようになったっけ。
「なー、ジュード!俺とレリューク、とっちのお嫁さんになるんだ?もちろん俺だよな?!」
「ああ?何言ってんだ?」
「絶対俺!絶対ーー!」
「あーはいはい」
そんなやり取りを何度も飽きずにやったなぁ。そんな子供が、本当にこんな事を?信じられない。
「戻ってきた斥候によると、やはり黒の魔王は元狼獣人で、名前はヴォルフで間違いないらしい」
ゼフが伝えてくれるが、やっぱり信じられない。
「ジュードが知っているヴォルフはまだ子供だったんだろう?今は立派な大人になっている歳だ。そして魔王として君臨している……お前の知っているヴォルフとは別人だと思った方がいい」
「分かって……いるはずなんだけど、どうしても納得出来ないんだ。何かの間違いじゃないか、とか実は全然関係ない人じゃないかだとか色々考えちゃうんだ」
あのヴォルフが人々を苦しめる事をしているのか?そんなはずないって。
「そうか……」
ゼフはそれだけ言うと視線を落とす。
「自分の目で確認しないと納得できない事は世の中にはたくさんあるものな」
こぼすような呟きには何か思う所がありそうだが、今はそれを尋ねるときではない気がする。頭をぽんぽんされた。
「何とかなるさ、その為に俺達がいる」
子供扱いか!とは思ったが、ゼフは頼もしいなとちょっと感心した。親がアレでも子供は違うよな、俺が言うのもなんだけどね。
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