45 / 91
45 頑張るぞ、と意気込む俺
しおりを挟む
「ジュード、待たせたね」
待ってねぇし。俺の黒猫ノワールのブラッシングタイムは最悪な奴の登場で終わりを告げてしまった。
「あ、お、お父様……もう来客はお済みで?」
「もちろんだとも。一人で寂しかったろう?さあ、私と一緒に遊ぼうか?」
嫌だと言いたいが言えない所が辛い。黒猫のノワールはかなり前から姿を隠してしまった。きっとアデレードの足音を聞きつけたんだろう。
俺もできる事なら消えたい。そしてもふもふに埋もれて眠りたい。さっき知ったシルキーもふもふのケチャの羽に包まれて眠りたい。もういないけど。
と言うか遊びたいってなんだよ!もっと小さいうちなら、それもあったかもしれないけど、13過ぎてんだぞ?そんな息子が親父と遊ぶ訳ないだろ!
俺が前世でそれくらいの頃は……勉強漬けだったな。なんせ公爵家の跡取り息子だったんだ。父親と母親の顔なんてほとんど見た覚えないぞ。そんなもんだぞ!貴族なんだからな!
「いえ……あの……」
くそっ!どうしたら良いんだ!何が正解なのか分からん。下手な事を言ってアデレードを刺激したくないし、かと言って無言で大丈夫なものか??
「さあ……大丈夫だ、優しくするし……怪我などさせないから……」
ジリジリと迫ってくるアデレードと、後ずさる俺。背中にトンと壁が当たる。これ以上逃げ場がない。助けて……誰か、助けて!
コンコン、と扉がノックされアデレードは振り返った。
「なんだ」
「旦那様、そろそろお食事の準備が整いました」
チッ!と大きく舌打ちをして
「分かった、行こうジュード」
「はい」
助かった……この一刻だけだけど、助かった。大人しくアデレードについて行く。食堂につくと珍しくセリカお母様がいた。
アデレードと顔を合わせたくないセリカお母様は別に食事を取る。でもアデレードが家にいて、俺がマークとライラに会えない日が続くとこうやって出てきてくれる。
もちろん会話などほとんどないが、その日は違った。
「本日、どなたかおいでのようでしたが?」
セリカお母様が意味もなく話を振る訳がない。何か俺に聞かせたい事があるんだ
「ああ、神殿の使いという神官が来た。近々また来るらしい」
「そうでしたか」
神殿の人がまた来る。何だろうこの悪霊みたいな闇を祓うんだろうか?俺の救出……ではなさそうな?
急いでもふもふ達を助けた方がいいな。神殿の浄化魔法になんて当てられたら俺の可愛いもふもふ達が一瞬で強制退場させられてしまう。
特に小さい子なんか消滅してしまうかもしれない。小さくても大切なもふもふ。どのもふもふにも魂あり、大切に!
「頑張ろう!」
がんばって!ジュード!
無理するんじゃないわよ?
マークとライラがセリカお母様の足元から応援してくれる。うん、頑張るよ!
「何をがんばるのかな?ジュード」
やばい口に出していた!
「えっと、あの、私も勉強などを……」
適当な事を言ってみたが、アデレードの目が鋭いので疑われていそうだ。
「学園から戻ってから一度も教科書は開いていないようだが?」
馬鹿野郎!もふもふ救出が忙しくて勉強なんてしてらんねぇんだよ!
「これから、やろうかと思いまして」
「なるほどな」
ううっ!絶対疑われてる。
待ってねぇし。俺の黒猫ノワールのブラッシングタイムは最悪な奴の登場で終わりを告げてしまった。
「あ、お、お父様……もう来客はお済みで?」
「もちろんだとも。一人で寂しかったろう?さあ、私と一緒に遊ぼうか?」
嫌だと言いたいが言えない所が辛い。黒猫のノワールはかなり前から姿を隠してしまった。きっとアデレードの足音を聞きつけたんだろう。
俺もできる事なら消えたい。そしてもふもふに埋もれて眠りたい。さっき知ったシルキーもふもふのケチャの羽に包まれて眠りたい。もういないけど。
と言うか遊びたいってなんだよ!もっと小さいうちなら、それもあったかもしれないけど、13過ぎてんだぞ?そんな息子が親父と遊ぶ訳ないだろ!
俺が前世でそれくらいの頃は……勉強漬けだったな。なんせ公爵家の跡取り息子だったんだ。父親と母親の顔なんてほとんど見た覚えないぞ。そんなもんだぞ!貴族なんだからな!
「いえ……あの……」
くそっ!どうしたら良いんだ!何が正解なのか分からん。下手な事を言ってアデレードを刺激したくないし、かと言って無言で大丈夫なものか??
「さあ……大丈夫だ、優しくするし……怪我などさせないから……」
ジリジリと迫ってくるアデレードと、後ずさる俺。背中にトンと壁が当たる。これ以上逃げ場がない。助けて……誰か、助けて!
コンコン、と扉がノックされアデレードは振り返った。
「なんだ」
「旦那様、そろそろお食事の準備が整いました」
チッ!と大きく舌打ちをして
「分かった、行こうジュード」
「はい」
助かった……この一刻だけだけど、助かった。大人しくアデレードについて行く。食堂につくと珍しくセリカお母様がいた。
アデレードと顔を合わせたくないセリカお母様は別に食事を取る。でもアデレードが家にいて、俺がマークとライラに会えない日が続くとこうやって出てきてくれる。
もちろん会話などほとんどないが、その日は違った。
「本日、どなたかおいでのようでしたが?」
セリカお母様が意味もなく話を振る訳がない。何か俺に聞かせたい事があるんだ
「ああ、神殿の使いという神官が来た。近々また来るらしい」
「そうでしたか」
神殿の人がまた来る。何だろうこの悪霊みたいな闇を祓うんだろうか?俺の救出……ではなさそうな?
急いでもふもふ達を助けた方がいいな。神殿の浄化魔法になんて当てられたら俺の可愛いもふもふ達が一瞬で強制退場させられてしまう。
特に小さい子なんか消滅してしまうかもしれない。小さくても大切なもふもふ。どのもふもふにも魂あり、大切に!
「頑張ろう!」
がんばって!ジュード!
無理するんじゃないわよ?
マークとライラがセリカお母様の足元から応援してくれる。うん、頑張るよ!
「何をがんばるのかな?ジュード」
やばい口に出していた!
「えっと、あの、私も勉強などを……」
適当な事を言ってみたが、アデレードの目が鋭いので疑われていそうだ。
「学園から戻ってから一度も教科書は開いていないようだが?」
馬鹿野郎!もふもふ救出が忙しくて勉強なんてしてらんねぇんだよ!
「これから、やろうかと思いまして」
「なるほどな」
ううっ!絶対疑われてる。
31
お気に入りに追加
2,219
あなたにおすすめの小説
ある日、人気俳優の弟になりました。2
樹 ゆき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。穏やかで真面目で王子様のような人……と噂の直柾は「俺の命は、君のものだよ」と蕩けるような笑顔で言い出し、大学の先輩である隆晴も優斗を好きだと言い出して……。
平凡に生きたい(のに無理だった)19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の、更に溺愛生活が始まる――。
勇者パーティーハーレム!…の荷物番の俺の話
バナナ男さん
BL
突然異世界に召喚された普通の平凡アラサーおじさん< 山野 石郎 >改め【 イシ 】
世界を救う勇者とそれを支えし美少女戦士達の勇者パーティーの中・・俺の能力、ゼロ!あるのは訳の分からない< 覗く >という能力だけ。
これは、ちょっとしたおじさんイジメを受けながらもマイペースに旅に同行する荷物番のおじさんと、世界最強の力を持った勇者様のお話。
無気力、性格破綻勇者様 ✕ 平凡荷物番のおじさんのBLです。
不憫受けが書きたくて書いてみたのですが、少々意地悪な場面がありますので、どうかそういった表現が苦手なお方はご注意ください_○/|_ 土下座!
【完】ゲームの世界で美人すぎる兄が狙われているが
咲
BL
俺には大好きな兄がいる。3つ年上の高校生の兄。美人で優しいけどおっちょこちょいな可愛い兄だ。
ある日、そんな兄に話題のゲームを進めるとありえない事が起こった。
「あれ?ここってまさか……ゲームの中!?」
モンスターが闊歩する森の中で出会った警備隊に保護されたが、そいつは兄を狙っていたようで………?
重度のブラコン弟が兄を守ろうとしたり、壊れたブラコンの兄が一線越えちゃったりします。高確率でえろです。
※近親相姦です。バッチリ血の繋がった兄弟です。
※第三者×兄(弟)描写があります。
※ヤンデレの闇属性でビッチです。
※兄の方が優位です。
※男性向けの表現を含みます。
※左右非固定なのでコロコロ変わります。固定厨の方は推奨しません。
お気に入り登録、感想などはお気軽にしていただけると嬉しいです!
ヒロイン不在の異世界ハーレム
藤雪たすく
BL
男にからまれていた女の子を助けに入っただけなのに……手違いで異世界へ飛ばされてしまった。
神様からの謝罪のスキルは別の勇者へ授けた後の残り物。
飛ばされたのは神がいなくなった混沌の世界。
ハーレムもチート無双も期待薄な世界で俺は幸せを掴めるのか?
美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
やめて抱っこしないで!過保護なメンズに囲まれる!?〜異世界転生した俺は死にそうな最弱プリンスだけど最強冒険者〜
ゆきぶた
BL
異世界転生したからハーレムだ!と、思ったら男のハーレムが出来上がるBLです。主人公総受ですがエロなしのギャグ寄りです。
短編用に登場人物紹介を追加します。
✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎
あらすじ
前世を思い出した第5王子のイルレイン(通称イル)はある日、謎の呪いで倒れてしまう。
20歳までに死ぬと言われたイルは禁呪に手を出し、呪いを解く素材を集めるため、セイと名乗り冒険者になる。
そして気がつけば、最強の冒険者の一人になっていた。
普段は病弱ながらも執事(スライム)に甘やかされ、冒険者として仲間達に甘やかされ、たまに兄達にも甘やかされる。
そして思ったハーレムとは違うハーレムを作りつつも、最強冒険者なのにいつも抱っこされてしまうイルは、自分の呪いを解くことが出来るのか??
✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎
お相手は人外(人型スライム)、冒険者(鍛冶屋)、錬金術師、兄王子達など。なにより皆、過保護です。
前半はギャグ多め、後半は恋愛思考が始まりラストはシリアスになります。
文章能力が低いので読みにくかったらすみません。
※一瞬でもhotランキング10位まで行けたのは皆様のおかげでございます。お気に入り1000嬉しいです。ありがとうございました!
本編は完結しましたが、暫く不定期ですがオマケを更新します!
俺にはラブラブな超絶イケメンのスパダリ彼氏がいるので、王道学園とやらに無理やり巻き込まないでくださいっ!!
しおりんごん
BL
俺の名前は 笹島 小太郎
高校2年生のちょっと激しめの甘党
顔は可もなく不可もなく、、、と思いたい
身長は170、、、行ってる、、、し
ウルセェ!本人が言ってるんだからほんとなんだよ!
そんな比較的どこにでもいそうな人柄の俺だが少し周りと違うことがあって、、、
それは、、、
俺には超絶ラブラブなイケメン彼氏がいるのだ!!!
容姿端麗、文武両道
金髪碧眼(ロシアの血が多く入ってるかららしい)
一つ下の学年で、通ってる高校は違うけど、一週間に一度は放課後デートを欠かさないそんなスパダリ完璧彼氏!
名前を堂坂レオンくん!
俺はレオンが大好きだし、レオンも俺が大好きで
(自己肯定感が高すぎるって?
実は付き合いたての時に、なんで俺なんか、、、って1人で考えて喧嘩して
結局レオンからわからせという名のおしお、(re
、、、ま、まぁレオンからわかりやすすぎる愛情を一思いに受けてたらそりゃ自身も出るわなっていうこと!)
ちょうどこの春レオンが高校に上がって、それでも変わりないラブラブな生活を送っていたんだけど
なんとある日空から人が降って来て!
※ファンタジーでもなんでもなく、物理的に降って来たんだ
信じられるか?いや、信じろ
腐ってる姉さんたちが言うには、そいつはみんな大好き王道転校生!
、、、ってなんだ?
兎にも角にも、そいつが現れてから俺の高校がおかしくなってる?
いやなんだよ平凡巻き込まれ役って!
あーもう!そんな睨むな!牽制するな!
俺には超絶ラブラブな彼氏がいるからそっちのいざこざに巻き込まないでくださいっ!!!
※主人公は固定カプ、、、というか、初っ端から2人でイチャイチャしてるし、ずっと変わりません
※同姓同士の婚姻が認められている世界線での話です
※王道学園とはなんぞや?という人のために一応説明を載せていますが、私には文才が圧倒的に足りないのでわからないままでしたら、他の方の作品を参照していただきたいです🙇♀️
※シリアスは皆無です
終始ドタバタイチャイチャラブコメディでおとどけします
オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる
クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる