38 / 41
38 私の両親
しおりを挟む
「もう私の事は忘れたのかしら?この樽親父は!」
「な、何者だっ……!」
「ジョージ・ロンドの妻。そしてさっき王太子殿下が呼んだマリー・ロンドの母よ……それよりこういった方が良いかしらね?結婚前はマルグリット・タスバルと呼ばれていたわ」
会場はざわざわとさざめいたけれどそれだけだった。だって入って来た時からお母様は皆さんの視線を集めていらしたから、ほとんどの方がお母様の存在に気が付いていたんですもの。まあセルウィッチ公爵は気づいていなかった……というか巧妙に隠されていたようですけど。
「タスバル……タスバル帝国……マルグリットとは……」
「あら?ほんの15.6年前の事だったけど、忘れたのかしら?あの騒ぎの時は貴方、人影に隠れて出て来なかったものねえ?そうですわよね、国王様」
お母様が相当悪いお顔で国王様を見れば、国王様はとても苦い顔をして
「ああ……あの時、セルウィッチ公爵からはなんの助言もなかったな……」
若干目を反らしながら同意してくださった。
「面倒ごとから目を反らし、自分の利益だけ走るから忘れてしまうのよ。まあ私の娘だと振りかざさないようにと注意をして学園へは行かせてもらったけれど、親が出てくる諍いが起こってはねえ?まあ言い出したのはそちらが先らしいし?仕方がないわよねえ?」
「っ……へ、陛下の婚約破棄事件のマルグリット様か!」
「そうよーあの時、ジョージが動かなかったら今頃この国は地図上から消えていた、そんな事件の当事者のマルグリットは私よ?ふふ、残念だったわね?まあそんな私の娘だから王子妃なんになる資格は有り余るくらい持っていてよ?マリーはお兄様のお気に入りだしね?」
お兄様……?という事は伯父様、ですか?えーと?
「ギース殿だよ、マリー。ギース殿の名前はキルギース。タスバル帝国の皇帝陛下だ」
「え……」
あの私にお土産で毎回毎回剣をくれるあのギース伯父様が皇帝陛下ですって??小さい頃ならいざ知らず、去年も私に剣を一振りくださった伯父様が?そんなに剣ばかり要らないとお断りしても、やっぱり剣を持ってくる伯父様が??お父様にそう言われてもピンと来ないわ。
「ギース殿は鍛冶が趣味だからねえ。小さな頃からマギーが試し切りしてたみたいだよ」
そんなどうでもいい情報はどうでもいいですわ、お父様。あれ?もしかしてお母様って凄い人だったの……?もしかしてお父様も?
「私はごく普通の子爵家の長男だよ。たまたまマギー好みの顔だっただけさ」
でも心を読める特殊能力はあるのかもしれませんね、お父様ですし。
「な、何者だっ……!」
「ジョージ・ロンドの妻。そしてさっき王太子殿下が呼んだマリー・ロンドの母よ……それよりこういった方が良いかしらね?結婚前はマルグリット・タスバルと呼ばれていたわ」
会場はざわざわとさざめいたけれどそれだけだった。だって入って来た時からお母様は皆さんの視線を集めていらしたから、ほとんどの方がお母様の存在に気が付いていたんですもの。まあセルウィッチ公爵は気づいていなかった……というか巧妙に隠されていたようですけど。
「タスバル……タスバル帝国……マルグリットとは……」
「あら?ほんの15.6年前の事だったけど、忘れたのかしら?あの騒ぎの時は貴方、人影に隠れて出て来なかったものねえ?そうですわよね、国王様」
お母様が相当悪いお顔で国王様を見れば、国王様はとても苦い顔をして
「ああ……あの時、セルウィッチ公爵からはなんの助言もなかったな……」
若干目を反らしながら同意してくださった。
「面倒ごとから目を反らし、自分の利益だけ走るから忘れてしまうのよ。まあ私の娘だと振りかざさないようにと注意をして学園へは行かせてもらったけれど、親が出てくる諍いが起こってはねえ?まあ言い出したのはそちらが先らしいし?仕方がないわよねえ?」
「っ……へ、陛下の婚約破棄事件のマルグリット様か!」
「そうよーあの時、ジョージが動かなかったら今頃この国は地図上から消えていた、そんな事件の当事者のマルグリットは私よ?ふふ、残念だったわね?まあそんな私の娘だから王子妃なんになる資格は有り余るくらい持っていてよ?マリーはお兄様のお気に入りだしね?」
お兄様……?という事は伯父様、ですか?えーと?
「ギース殿だよ、マリー。ギース殿の名前はキルギース。タスバル帝国の皇帝陛下だ」
「え……」
あの私にお土産で毎回毎回剣をくれるあのギース伯父様が皇帝陛下ですって??小さい頃ならいざ知らず、去年も私に剣を一振りくださった伯父様が?そんなに剣ばかり要らないとお断りしても、やっぱり剣を持ってくる伯父様が??お父様にそう言われてもピンと来ないわ。
「ギース殿は鍛冶が趣味だからねえ。小さな頃からマギーが試し切りしてたみたいだよ」
そんなどうでもいい情報はどうでもいいですわ、お父様。あれ?もしかしてお母様って凄い人だったの……?もしかしてお父様も?
「私はごく普通の子爵家の長男だよ。たまたまマギー好みの顔だっただけさ」
でも心を読める特殊能力はあるのかもしれませんね、お父様ですし。
3
お気に入りに追加
485
あなたにおすすめの小説
あなたがそう望んだから
まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」
思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。
確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。
喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。
○○○○○○○○○○
誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。
閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*)
何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?
愛しの婚約者に「学園では距離を置こう」と言われたので、婚約破棄を画策してみた
迦陵 れん
恋愛
「学園にいる間は、君と距離をおこうと思う」
待ちに待った定例茶会のその席で、私の大好きな婚約者は唐突にその言葉を口にした。
「え……あの、どうし……て?」
あまりの衝撃に、上手く言葉が紡げない。
彼にそんなことを言われるなんて、夢にも思っていなかったから。
ーーーーーーーーーーーーー
侯爵令嬢ユリアの婚約は、仲の良い親同士によって、幼い頃に結ばれたものだった。
吊り目でキツい雰囲気を持つユリアと、女性からの憧れの的である婚約者。
自分たちが不似合いであることなど、とうに分かっていることだった。
だから──学園にいる間と言わず、彼を自分から解放してあげようと思ったのだ。
婚約者への淡い恋心は、心の奥底へとしまいこんで……。
※基本的にゆるふわ設定です。
※プロット苦手派なので、話が右往左往するかもしれません。→故に、タグは徐々に追加していきます
※感想に返信してると執筆が進まないという鈍足仕様のため、返事は期待しないで貰えるとありがたいです。
※仕事が休みの日のみの執筆になるため、毎日は更新できません……(書きだめできた時だけします)ご了承くださいませ。
私を裏切った相手とは関わるつもりはありません
みちこ
ファンタジー
幼なじみに嵌められて処刑された主人公、気が付いたら8年前に戻っていた。
未来を変えるために行動をする
1度裏切った相手とは関わらないように過ごす
【完結】ふしだらな母親の娘は、私なのでしょうか?
イチモンジ・ルル
恋愛
奪われ続けた少女に届いた未知の熱が、すべてを変える――
「ふしだら」と汚名を着せられた母。
その罪を背負わされ、虐げられてきた少女ノンナ。幼い頃から政略結婚に縛られ、美貌も才能も奪われ、父の愛すら失った彼女。だが、ある日奪われた魔法の力を取り戻し、信じられる仲間と共に立ち上がる。
歪められた世界で、隠された真実を暴き、奪われた人生を新たな未来に変えていく。
――これは、過去の呪縛に立ち向かい、愛と希望を掴み、自らの手で未来を切り開く少女の戦いと成長の物語――
旧タイトル ふしだらと言われた母親の娘は、実は私ではありません
他サイトにも投稿。
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位
アレク・プランタン
かえるまる
ファンタジー
長く辛い闘病が終わった
と‥‥転生となった
剣と魔法が織りなす世界へ
チートも特典も何もないまま
ただ前世の記憶だけを頼りに
俺は精一杯やってみる
毎日更新中!
婚約破棄騒動に巻き込まれたモブですが……
こうじ
ファンタジー
『あ、終わった……』王太子の取り巻きの1人であるシューラは人生が詰んだのを感じた。王太子と公爵令嬢の婚約破棄騒動に巻き込まれた結果、全てを失う事になってしまったシューラ、これは元貴族令息のやり直しの物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる