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38 私の両親

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「もう私の事は忘れたのかしら?この樽親父は!」

「な、何者だっ……!」

「ジョージ・ロンドの妻。そしてさっき王太子殿下が呼んだマリー・ロンドの母よ……それよりこういった方が良いかしらね?結婚前はマルグリット・タスバルと呼ばれていたわ」

 会場はざわざわとさざめいたけれどそれだけだった。だって入って来た時からお母様は皆さんの視線を集めていらしたから、ほとんどの方がお母様の存在に気が付いていたんですもの。まあセルウィッチ公爵は気づいていなかった……というか巧妙に隠されていたようですけど。

「タスバル……タスバル帝国……マルグリットとは……」

「あら?ほんの15.6年前の事だったけど、忘れたのかしら?あの騒ぎの時は貴方、人影に隠れて出て来なかったものねえ?そうですわよね、国王様」

 お母様が相当悪いお顔で国王様を見れば、国王様はとても苦い顔をして

「ああ……あの時、セルウィッチ公爵からはなんの助言もなかったな……」

 若干目を反らしながら同意してくださった。

「面倒ごとから目を反らし、自分の利益だけ走るから忘れてしまうのよ。まあ私の娘だと振りかざさないようにと注意をして学園へは行かせてもらったけれど、親が出てくる諍いが起こってはねえ?まあ言い出したのはそちらが先らしいし?仕方がないわよねえ?」

「っ……へ、陛下の婚約破棄事件のマルグリット様か!」

「そうよーあの時、ジョージが動かなかったら今頃この国は地図上から消えていた、そんな事件の当事者のマルグリットは私よ?ふふ、残念だったわね?まあそんな私の娘だから王子妃なんになる資格は有り余るくらい持っていてよ?マリーはお兄様のお気に入りだしね?」

 お兄様……?という事は伯父様、ですか?えーと?

「ギース殿だよ、マリー。ギース殿の名前はキルギース。タスバル帝国の皇帝陛下だ」

「え……」

 あの私にお土産で毎回毎回剣をくれるあのギース伯父様が皇帝陛下ですって??小さい頃ならいざ知らず、去年も私に剣を一振りくださった伯父様が?そんなに剣ばかり要らないとお断りしても、やっぱり剣を持ってくる伯父様が??お父様にそう言われてもピンと来ないわ。

「ギース殿は鍛冶が趣味だからねえ。小さな頃からマギーが試し切りしてたみたいだよ」

 そんなどうでもいい情報はどうでもいいですわ、お父様。あれ?もしかしてお母様って凄い人だったの……?もしかしてお父様も?

「私はごく普通の子爵家の長男だよ。たまたまマギー好みの顔だっただけさ」

 でも心を読める特殊能力はあるのかもしれませんね、お父様ですし。
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