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ミザリー・サウラ侯爵令嬢はコリアンナの大体左側にいる。何故そこにいるかは分からないけれど、彼女の定位置は何故か左だ。そのミザリーは父親であるサウラ侯爵に呼び出されていた。
「ミザリー。学園出良からぬ噂が流行っているようだが、お前は知らぬし関与などしておらぬよな?」
「ど、どんな噂でございますか?お父様」
父親の視線は厳しく、ミザリーを責めているようにしか見えない。
「クラスでいじめを行う女生徒がいるらしい。何の罪もない令嬢にほぼクラスのもの全員が加担し、一人の女生徒をあげつらうのだという……王太子殿下が憤慨するほどだというがお前はそれに加担しておらぬよな?」
「ひっ」
これは知っているのだ、お父様は。とミザリーは言い逃れが出来ない。しかも相当怒っているという事は多分王宮や人が大勢いる所で、何か言われ、貶められたという事だ。
「ミザリー、お前はミドラスの、兄の足まで引っ張りおって……。明日から暫く学園にはいかなくて良い。反省するまで部屋で謹慎しておれ」
「お、お父様……でも」
「なんだ?」
「わ、わたくしではなく……あの、コリアンナ様が……」
ミザリーの父親は可愛い娘に向けるべきではないほど冷たく見下ろした。
「セルウィッチ公爵令嬢が言えばお前は何でもやるのか?セルウィッチ公爵令嬢が娼婦になれと言えばお前はなるのか?むしろ間違った事をしているのを止めるのが侯爵令嬢としての務めであろう!それを加担して見苦しく汚い真似を!私がどれほど恥を掻いたかお前には分かるまい!」
「も、申し訳、申し訳ございませんっ!お父様っ!!」
ミザリーはとぼとぼと自室へ戻るしかなかった。
サリナ・ブロング侯爵令嬢はコリアンナの大体右側にいる。何故そこにいるかはわからないけれど、彼女の定位置は何故か右だ。そのサリナも父親であるブロング侯爵に呼び出されていた。
「サリナ……お前は婚約解消されるかもしれん。身から出た錆びとはいえ何という事をしてくれたんだ」
「お、お父様!?まさかイレイン様がそのような事を??何故で……何故でございますか!?」
ブロング侯爵は自分の豪華な執務机でがっくりと項垂れる。
「サリナ、お前の婚約者であるイレイン殿は一体なんだ?」
「え……法務大臣モデウス公爵の長男で……王太子殿下の側近として……」
「そうだ。犯罪や不正に厳しいモデウス公爵の嫡男だ。その婚約者がか弱い子爵令嬢を大勢で虐めるのに加担して良いと思っているのか?」
「……ま、まさか」
「モデウス家では皆がっかりしていたそうだ。例えクラス全員を敵に回すようなことがあってもサリナ嬢はそんな不正義は従わないと信じて下さっていたらしい。ここまでいえば分かるな?」
「うそ……」
サリナはがっくりと膝をつく。しかしもう取り返しはつかない。
「王太子殿下自ら調べた結果だ。誰も異論は唱えんし、これが事実なのだろう……一体お前達は学園へ何をしに行っているんだ?しかもお前が虐めた相手はマリー・ロンドだというではないか。ロンド子爵家がどんな家か聞いたことはないのか……」
「し、知りません……ロンド子爵家が何だというのです。ただの子爵ではありませんか」
ブロング侯爵はもう一度大きくため息をつく。順調に育っていたはずの娘がまさかここまで無能を晒すとは。これでは恥ずかしくてどこにも嫁に出せなどしない。
「ロンド子爵の夫人の名前をマルグリッド様という。マルグリッド様は隣のタスバル帝国皇帝ジーニアス帝の妹姫だ。我が国の陛下がやらかして国が存亡の危機に陥ったのを救ったのがロンド子爵だぞ。事が事だけに大声で語る者はおらぬがな」
「え……」
「ミザリー。学園出良からぬ噂が流行っているようだが、お前は知らぬし関与などしておらぬよな?」
「ど、どんな噂でございますか?お父様」
父親の視線は厳しく、ミザリーを責めているようにしか見えない。
「クラスでいじめを行う女生徒がいるらしい。何の罪もない令嬢にほぼクラスのもの全員が加担し、一人の女生徒をあげつらうのだという……王太子殿下が憤慨するほどだというがお前はそれに加担しておらぬよな?」
「ひっ」
これは知っているのだ、お父様は。とミザリーは言い逃れが出来ない。しかも相当怒っているという事は多分王宮や人が大勢いる所で、何か言われ、貶められたという事だ。
「ミザリー、お前はミドラスの、兄の足まで引っ張りおって……。明日から暫く学園にはいかなくて良い。反省するまで部屋で謹慎しておれ」
「お、お父様……でも」
「なんだ?」
「わ、わたくしではなく……あの、コリアンナ様が……」
ミザリーの父親は可愛い娘に向けるべきではないほど冷たく見下ろした。
「セルウィッチ公爵令嬢が言えばお前は何でもやるのか?セルウィッチ公爵令嬢が娼婦になれと言えばお前はなるのか?むしろ間違った事をしているのを止めるのが侯爵令嬢としての務めであろう!それを加担して見苦しく汚い真似を!私がどれほど恥を掻いたかお前には分かるまい!」
「も、申し訳、申し訳ございませんっ!お父様っ!!」
ミザリーはとぼとぼと自室へ戻るしかなかった。
サリナ・ブロング侯爵令嬢はコリアンナの大体右側にいる。何故そこにいるかはわからないけれど、彼女の定位置は何故か右だ。そのサリナも父親であるブロング侯爵に呼び出されていた。
「サリナ……お前は婚約解消されるかもしれん。身から出た錆びとはいえ何という事をしてくれたんだ」
「お、お父様!?まさかイレイン様がそのような事を??何故で……何故でございますか!?」
ブロング侯爵は自分の豪華な執務机でがっくりと項垂れる。
「サリナ、お前の婚約者であるイレイン殿は一体なんだ?」
「え……法務大臣モデウス公爵の長男で……王太子殿下の側近として……」
「そうだ。犯罪や不正に厳しいモデウス公爵の嫡男だ。その婚約者がか弱い子爵令嬢を大勢で虐めるのに加担して良いと思っているのか?」
「……ま、まさか」
「モデウス家では皆がっかりしていたそうだ。例えクラス全員を敵に回すようなことがあってもサリナ嬢はそんな不正義は従わないと信じて下さっていたらしい。ここまでいえば分かるな?」
「うそ……」
サリナはがっくりと膝をつく。しかしもう取り返しはつかない。
「王太子殿下自ら調べた結果だ。誰も異論は唱えんし、これが事実なのだろう……一体お前達は学園へ何をしに行っているんだ?しかもお前が虐めた相手はマリー・ロンドだというではないか。ロンド子爵家がどんな家か聞いたことはないのか……」
「し、知りません……ロンド子爵家が何だというのです。ただの子爵ではありませんか」
ブロング侯爵はもう一度大きくため息をつく。順調に育っていたはずの娘がまさかここまで無能を晒すとは。これでは恥ずかしくてどこにも嫁に出せなどしない。
「ロンド子爵の夫人の名前をマルグリッド様という。マルグリッド様は隣のタスバル帝国皇帝ジーニアス帝の妹姫だ。我が国の陛下がやらかして国が存亡の危機に陥ったのを救ったのがロンド子爵だぞ。事が事だけに大声で語る者はおらぬがな」
「え……」
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