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1 この世はレベルよ
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「マリー、この世はレベルよ」
「はいっ!お母様」
そう教えられ育ってきた私、マリー・ロンド子爵令嬢はど田舎のロンド領から王立学園に通うべく、王都へ来たのでした。
15歳の歳になったら、知識とマナーを学ぶべしと貴族ならば入学を余儀なくされている王立学園。出来る事なら「レベルアップ」の為に領地にいたかったのですがそれは許されざる事だと言う事で、1ヶ月もかけてこの都会に辿り着いたのでした。
「都会……学園で出来るレベルアップもあるとの事ですし、今日から頑張りますわ!」
何せお母様の口癖は
「レベルが高ければ高いほど幸せになれるわよ!」
ですもの。私も幸せになりたい、レベルを上げたいわ。それにはどんどん修行しなくちゃね。
「頑張ろう!」
私は学園の隣の敷地に立つ女子寮へ辿り着いた。
寮監さんに挨拶をすると、私の部屋を教えてくれる。私達低位貴族の部屋は二人で一部屋を使う。もう同室の人はついているのだそうで、ノックして扉を開け、
「私はマリー・ロンドと言います。よろしくお願いしますね」
そう声をかけると、栗色のロングヘアの女の子が振り返った。
「あなたが同室?よろしくね。私はイザベラ・リールーよ」
「リールー……首都近郊の子爵家でしたね」
「ええ、そうよ。ロンド……どこだったかしら……近くでは無いわよね?」
我が家は田舎ですもの、知らない方も多くて当然だわ。
「首都まで馬車で1ヶ月もかかる田舎なの」
「へえ……成程ねぇ」
イザベラは私を上から下までジロジロ見て一言。
「だからそんな田舎くさい格好してるのね?王都で暮らすならもう少し何とかしなさいよ」
「えっ……田舎くさいですか?」
家にある服で割と良い物を選んだつもりだったけど、そうよね、田舎くさいわよね、都会の流行なんて丸で知らないもの、仕方がないわ。
「ええ、人気の仕立屋、マダムエリンの店にでも行って来たら?レベルアップ出来るかもよ?」
「レベルアップ!」
私が食いついたもので、イザベラはちょっと引いたみたいだけど、レベルアップならばしょうがないわ!
「マダムの店はお高いから私達じゃ買えないかも知れないけど……「住所教えて下さらないかしら?!」え、あ、今、書くわ……」
「じゃあ行って来ます!」
「え?あ、うん。馬車に気をつけて……」
イザベラは呆気に取られていたけど、しっかり住所は教えてくれた、優しい子が同室で良かったわ。
私は地図を見るのは得意な方で、迷子にはあまりならない。マダムエリンのお店にも迷わずつけた。
中の様子が見える窓からは素敵なドレスが見え隠れしている。成程高そう……でも見るだけなら……。
私は少し戸惑いながらも扉を開けた。
中はやっぱり素敵なお店で、人気だと言うのも頷ける。お客様だろう、高位貴族のお嬢様達と接客する店員さんがいる。
その中から、私は話しかけるべき店員さんを吟味する。優しそうで話を聞いてくれて、そしてお店の事をよく分かっていそうな人。
ゆっくり店内を見回すと一人の少し年嵩のご婦人と目があった。あの人だわ、私の直感が告げる。目を合わせてにこりと微笑むと、微笑み返してくれた。
「どうなさいました?お嬢様」
優しく問いかけてくれる。そうよね、ここのお客様は一人で来る人なんていない。メイドや護衛に囲まれた本物のお嬢様が来ている。そこに一人で来た私はとても浮いているんだわ。
でもこのご婦人は話を聞いてくれるのね。
「私は田舎から学園に通う為に今日、やって来ました。そして寮の同室の子に言われてしまったんです。あなたの格好は田舎くさいと」
真実を伝えようと思った。この人なら笑わずに聞いてくれると言う確信があったから。
「あら、まあ」
ご婦人は笑わずに聞いてくれる。
「そしてマダムエリンのお店に行って勉強したら?とアドバイスを貰いました。私のような子爵家の娘では到底買える金額ではないって。でもお勉強したくてこちらに来させて貰いました」
「そうでしたの」
ご婦人は微笑んだ。馬鹿にしたとかそうじゃなくて、来てくれた事に対する純粋な感謝でだと思う。
「マダムのドレスも普段着も素敵ですものね。その同室の子は見る目があるわね」
横から声がかかって、名前も知らないどこかのお嬢様がにこりと笑う。私より3.4つ下でしょうか。それでも貴族令嬢に相応しい品格がある。これは相当レベルが高そうだわ!
「はいっ!お母様」
そう教えられ育ってきた私、マリー・ロンド子爵令嬢はど田舎のロンド領から王立学園に通うべく、王都へ来たのでした。
15歳の歳になったら、知識とマナーを学ぶべしと貴族ならば入学を余儀なくされている王立学園。出来る事なら「レベルアップ」の為に領地にいたかったのですがそれは許されざる事だと言う事で、1ヶ月もかけてこの都会に辿り着いたのでした。
「都会……学園で出来るレベルアップもあるとの事ですし、今日から頑張りますわ!」
何せお母様の口癖は
「レベルが高ければ高いほど幸せになれるわよ!」
ですもの。私も幸せになりたい、レベルを上げたいわ。それにはどんどん修行しなくちゃね。
「頑張ろう!」
私は学園の隣の敷地に立つ女子寮へ辿り着いた。
寮監さんに挨拶をすると、私の部屋を教えてくれる。私達低位貴族の部屋は二人で一部屋を使う。もう同室の人はついているのだそうで、ノックして扉を開け、
「私はマリー・ロンドと言います。よろしくお願いしますね」
そう声をかけると、栗色のロングヘアの女の子が振り返った。
「あなたが同室?よろしくね。私はイザベラ・リールーよ」
「リールー……首都近郊の子爵家でしたね」
「ええ、そうよ。ロンド……どこだったかしら……近くでは無いわよね?」
我が家は田舎ですもの、知らない方も多くて当然だわ。
「首都まで馬車で1ヶ月もかかる田舎なの」
「へえ……成程ねぇ」
イザベラは私を上から下までジロジロ見て一言。
「だからそんな田舎くさい格好してるのね?王都で暮らすならもう少し何とかしなさいよ」
「えっ……田舎くさいですか?」
家にある服で割と良い物を選んだつもりだったけど、そうよね、田舎くさいわよね、都会の流行なんて丸で知らないもの、仕方がないわ。
「ええ、人気の仕立屋、マダムエリンの店にでも行って来たら?レベルアップ出来るかもよ?」
「レベルアップ!」
私が食いついたもので、イザベラはちょっと引いたみたいだけど、レベルアップならばしょうがないわ!
「マダムの店はお高いから私達じゃ買えないかも知れないけど……「住所教えて下さらないかしら?!」え、あ、今、書くわ……」
「じゃあ行って来ます!」
「え?あ、うん。馬車に気をつけて……」
イザベラは呆気に取られていたけど、しっかり住所は教えてくれた、優しい子が同室で良かったわ。
私は地図を見るのは得意な方で、迷子にはあまりならない。マダムエリンのお店にも迷わずつけた。
中の様子が見える窓からは素敵なドレスが見え隠れしている。成程高そう……でも見るだけなら……。
私は少し戸惑いながらも扉を開けた。
中はやっぱり素敵なお店で、人気だと言うのも頷ける。お客様だろう、高位貴族のお嬢様達と接客する店員さんがいる。
その中から、私は話しかけるべき店員さんを吟味する。優しそうで話を聞いてくれて、そしてお店の事をよく分かっていそうな人。
ゆっくり店内を見回すと一人の少し年嵩のご婦人と目があった。あの人だわ、私の直感が告げる。目を合わせてにこりと微笑むと、微笑み返してくれた。
「どうなさいました?お嬢様」
優しく問いかけてくれる。そうよね、ここのお客様は一人で来る人なんていない。メイドや護衛に囲まれた本物のお嬢様が来ている。そこに一人で来た私はとても浮いているんだわ。
でもこのご婦人は話を聞いてくれるのね。
「私は田舎から学園に通う為に今日、やって来ました。そして寮の同室の子に言われてしまったんです。あなたの格好は田舎くさいと」
真実を伝えようと思った。この人なら笑わずに聞いてくれると言う確信があったから。
「あら、まあ」
ご婦人は笑わずに聞いてくれる。
「そしてマダムエリンのお店に行って勉強したら?とアドバイスを貰いました。私のような子爵家の娘では到底買える金額ではないって。でもお勉強したくてこちらに来させて貰いました」
「そうでしたの」
ご婦人は微笑んだ。馬鹿にしたとかそうじゃなくて、来てくれた事に対する純粋な感謝でだと思う。
「マダムのドレスも普段着も素敵ですものね。その同室の子は見る目があるわね」
横から声がかかって、名前も知らないどこかのお嬢様がにこりと笑う。私より3.4つ下でしょうか。それでも貴族令嬢に相応しい品格がある。これは相当レベルが高そうだわ!
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