【完結】悪役令息の祖父のワシが神子をハメたら殿下がおかしくなった。溺愛とかジジィには必要ないです、勘弁してくだされ

鏑木 うりこ

文字の大きさ
上 下
119 / 122
番外編

28 可哀想な平民なんていない7

しおりを挟む
「お祖父様がお嫁に行ってしまいました……」

「そうですね」

 あのクソ元王太子が大旦那様の優しさにつけ込んでほぼ強引に婚約者に据えて、更に結婚までしてしまった!
 あのお優しい大旦那様はきっと自らを犠牲にして私のカレンにあのクソ野郎がまとわりつかないようにしてくださったんだ!!あの野郎が私のカレンを見る目のいやらしさ、私は今でも忘れないぞ!
【アルフォンスの主観による判断。セブスト殿下「カレリオはもう私の孫にしか見えないし!」「殿下、それは些か意味が分かりませんのう」】

「カレン、私が居ますから」

 そっと隣に立てば

「……うん」

 きゅっとカレンの方から抱きしめてくれた。

「ずっと……一緒に居てね。途中でいなくならないで、ずっと私と一緒に」

「ええ、ずっと一緒に。お傍にいつもおります」

「……隣に、居て……欲しいんだけど……えっと……や、病める時も……」

「宜しいのですか?病める時も、健やかなる時も……貴方の隣にいても」

 そんな、プロポーズの言葉を貴方から私が受け取っても、宜しいのですか?

「……う、うん……」

 ああ!なんて事!私の大切な人は私が思っているより格好良くて、私の事を好いていてくださった!

 私は、私に回されたカレンの腕をそっと外す。真っ赤な顔がちょっと歪んで、青ざめて行く……ああ、違うんです、違うんです。大好きな私のカレン。そんな顔をしないでください。

 貴方の前に跪いて、愛を乞おう。

「愛しています、私のカレン。私を貴方の伴侶にしてください。ずっとあなたの隣にいて、貴方を守る栄誉を私に与えてください。愛しい人」

 白いけれど、たくさんの書き物で汚れた指先をそっと引き寄せて口づけをする。ああ、貴方の努力が見え隠れするこの指先さえいとおしい。カレンは私の手を握ったまま、私を立たせる。そう、私は貴方の隣に立つものであることを認めてくれる。

「……はい」

 物凄く恥ずかしそうに俯いたカレンはやっぱりはっきり答えてくれた。



「カレン……ちゅーまでならOKだそうです」

「お祖父様公認なら……良いのでは?」

 そっと目を閉じるカレンの顎を少しだけ持ち上げて、ゆっくり唇を落とす。ああ、可愛い人!ずっと一緒にいてください。






 可哀想な平民なんていない【終】

しおりを挟む
感想 319

あなたにおすすめの小説

異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話

深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?

弟、異世界転移する。

ツキコ
BL
兄依存の弟が突然異世界転移して可愛がられるお話。たぶん。 のんびり進行なゆるBL

光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。

みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。 生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。 何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。

異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします

み馬
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。 わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!? これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。 おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。 ※ 設定ゆるめ、造語、出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。 ★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★ ★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

運悪く放課後に屯してる不良たちと一緒に転移に巻き込まれた俺、到底馴染めそうにないのでソロで無双する事に決めました。~なのに何故かついて来る…

こまの ととと
BL
『申し訳ございませんが、皆様には今からこちらへと来て頂きます。強制となってしまった事、改めて非礼申し上げます』  ある日、教室中に響いた声だ。  ……この言い方には語弊があった。  正確には、頭の中に響いた声だ。何故なら、耳から聞こえて来た感覚は無く、直接頭を揺らされたという感覚に襲われたからだ。  テレパシーというものが実際にあったなら、確かにこういうものなのかも知れない。  問題はいくつかあるが、最大の問題は……俺はただその教室近くの廊下を歩いていただけという事だ。 *当作品はカクヨム様でも掲載しております。

すべてを奪われた英雄は、

さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。 隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。 それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。 すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。

僕がハーブティーを淹れたら、筆頭魔術師様(♂)にプロポーズされました

楠結衣
BL
貴族学園の中庭で、婚約破棄を告げられたエリオット伯爵令息。可愛らしい見た目に加え、ハーブと刺繍を愛する彼は、女よりも女の子らしいと言われていた。女騎士を目指す婚約者に「妹みたい」とバッサリ切り捨てられ、婚約解消されてしまう。 ショックのあまり実家のハーブガーデンに引きこもっていたところ、王宮魔術塔で働く兄から助手に誘われる。 喜ぶ家族を見たら断れなくなったエリオットは筆頭魔術師のジェラール様の執務室へ向かう。そこでエリオットがいつものようにハーブティーを淹れたところ、なぜかプロポーズされてしまい……。   「エリオット・ハワード――俺と結婚しよう」 契約結婚の打診からはじまる男同士の恋模様。 エリオットのハーブティーと刺繍に特別な力があることは、まだ秘密──。

親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話

gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、 立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。 タイトルそのままですみません。

処理中です...