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番外編

14 50年位昔の話をしようと思う2

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「ふん、このつまらない面子と毎日顔を合わせるのか?」

「はは、全くだ。相変わらず威勢だけはいいな、ダグラス」

「どうだぁ?お前のタコ踊り剣は少しは上達してるんだろうな?」

「体を動かすのは嫌いなんだ!私の脳みそはお前と違って筋肉ではないからな、レイモンド!」

「どう思う?ダスティン……ダスティン?」

「……なんだあの生き物は……可憐だ、可愛い。よし私の物にしよう」

(((可哀想……確かメルクリーアとか言ったっけ?)))

 私達の学園生活はこうして普通に幕を開けた。ダスティンは家の権力と容赦ないやり口ですぐに鬼畜眼鏡の名をほしいままにしたし、レイモンドは

「あーーーはっはっは!ぬるいぬるいー!」

「ぐっ……」

 学園の剣術の教師を這いつくばらせる実力を持っていた。

「勉強ですか?良いですよ、一緒にやりましょう」

 愛想良く同級生どころか上級生とも笑いあうダグラスはちゃっかりしている。良く見れば、金持ちか自分以上の身分の高いいわゆる「使える人々」とばかり友好を深めているようだ。

 私は……魔法が楽しいのでそちらを強化していこうと思う。若干引き籠り気味になるが、社交界の顔見せなどではダグラスやダスティンに借りを作って繋いでもらっている。


 先日の夜会ではそれをダシに色々無茶を吹っかけられた。

「どうだ?ケンウッド。こないだ頼んだ幻惑系の魔法を閉じ込めるのは?」

「……悪用するな……いや、私に迷惑になる形では使うなよ?ダスティン」

「証拠など残すものか」

 なんて安心できる答えだろうか。悪用しても犯罪に使っても(それはどうかな……)私に迷惑がかからねばいいや。

「他人の筆跡をまねるのって楽しいな。なあ、ケニー。真偽を惑わすような攪乱魔法を組み込んだペンって作れないか?」

「ダグラス……お前もか」

「いつもは使わんよ?ただ、必要になると思う……こないだ何を書かされたと思う……?」

「メルクリーアだろ」

「あたり。ダスティンのあの執着は何なんだろうなぁ……性格かな?」

 私達の輪から外れて、メルクリーアに声をかけに行ったダスティン。メルクリーアが婚約者と楽しそうに話しているのが気に入らなかったんだろう。あー怖い怖い。
 少ししてメルクリーアを奪って涼しい顔をしてダスティンは戻ってくる。

「ダグラス、ケンウッド。こんばんは」

「メルクリーアも来てたんだね、良い夜だ、こんばんは」

 流石ダグラス。顔色はコロッと変えて今知りました~いやあ偶然だね!を完璧に演じている。

「仲良し4人組にお邪魔するのは悪い気もするけど……」

 というか、自分の婚約者が気になっているんだろう……メルクリーアの婚約者は壁の花になってしまっている。

「はは、そんなに仲良しと言うわけでもないよ、私達は同じクラスの仲間じゃないか」

 いけしゃあしゃあとダグラスはメルクリーアに心にもない事を話しかける。ダグラスにとってメルクリーアは「ダスティンへの貢ぎ物」でしかない事は私ですら気が付いている。まあその流れに乗せてもらおう、長い物には巻かれねばならんからね。

「本当さ、レイモンドだっていないだろう?あいつの夜会嫌いは病気みたいなものだから、どこかへ逃げ出してるんだ」

 私にとってもメルクリーアは「ダスティンへの貢ぎ物」だし、それ以上親しくなれば逆にダスティンから牙を剥かれる。ホントあいつは好きな物に関しては狭量だ……。

「本当だな、所でメルク。前に話した件なんだけど」

「ああ……ダスティン。あれはちょっと父上が……」

 ダスティンとメルクリーアが話を始めた所で、私とダグラスは気配をスーっと消して移動だ。ホントこんな事ばかり上手になる。ダスティンはメルクリーアと距離を詰めただろうし、我々は他の貴族達との人脈を作らなければならない。人のつてなどいくらあっても良い物だから。





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