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番外編
11 私は悪役令息をやめました2
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「任せておけ」
王宮に行ったお祖父様は有言実行の人で、しばらくするとお祖父様の護衛のリドリーが帰ってきた。
「カレリオ様!大旦那様がお約束を果たしましたよ」
セブスト殿下との婚約解消の書類だった。
「お祖父様……ありがとうございます!」
私は解き放たれた!とても爽快な気分になったが、もう一度リドリーがお祖父様を迎えに王宮に行ったのに中々戻らず……戻って来たお祖父様はぐったり気を失っているし、酷い有様だった。
「お、お祖父様に一体何が?!」
リドリーはとても言いづらいそうにしたが、言わない訳には行かないからと真相を教えてくれた。
「え……私との婚約解消に焦ったセブスト殿下が……私と間違えてお祖父様を、お、襲った……え……?」
襲った……それは間違いなく性的に乱暴したと言う事だ。私は目の前が真っ暗になり、倒れそうになる。後ろにいたアルフォンスが支えてくれなかったら床に転がっていただろう。
「わ、私の、か、代わりに……」
「大旦那様なら、カレリオ様が無事で良かったと言ってくださるはずです!」
いつもお祖父様に「能天気」と揶揄われているリドリーが青い顔で必死に言う。分かる、分かっている……あの優しい近頃のお祖父様なら間違いなくそう言う。でも……でも……!
「お怪我の方は大した事はありません。ゆっくりお休みいただきましょう……」
「……はい」
次の日にセブスト殿下が屋敷に見えられたが、リドリーは追い返した。流石の私も殿下と顔を合わせたくない。
夕方くらいに意識を取り戻したお祖父様だったけれど、
「カレリオ、良かったのう」
「お、お祖父様……」
優しく私の頭を撫でてくれた。しかし、すぐに熱を出して寝込まれてしまった。
「セブスト殿下、我が家に何用ですか」
「……あの、カレリオ。まずは色々済まなかった……お前には酷い態度を取り続けた。謝りたい」
本当に毎日毎日我が家に来るセブスト殿下に会わぬわけにはいかない。お祖父様は寝込まれているし、父上は駄目だ。
父上は殿下に言われたら何でも頷いてしまいそうだ。私が対応するしかなかった。
「……その事はもう良いです。ご用件を」
「あ、あの……ダグラス様は……会わせてもらえないか……?」
この人は何を言っているんだ?!自分で酷い目に合わせたのに会いたいなんて!
「お祖父様は寝込まれておいでです。お会いする事は出来ません」
「……そうか……まだご回復しないか……また明日来てもいいだろうか」
「駄目に決まってるでしょう!」
「……すまない、カレリオ。でも、どうしても気になるんだ……ダグラス様にも謝りたい……」
「お帰りください!」
リドリーを呼んで追い返して貰った。しかし殿下は毎日お祖父様に会わせろとやって来る。しまいにはメイド達に箒で追い返されている。
「なあ、アルフォンス。お前も少し鍛えろよ。そんなんじゃカレリオ様を護れないぞ」
「……私もその必要性を感じていた所だ。リドリー、相手を頼んでも良いか?」
「うん。良いぜ」
アルフォンスとリドリーの会話は私は聞いていなかった。何せ、どうやって殿下を追い払おうか考えるのに忙しかったからだ。
王宮に行ったお祖父様は有言実行の人で、しばらくするとお祖父様の護衛のリドリーが帰ってきた。
「カレリオ様!大旦那様がお約束を果たしましたよ」
セブスト殿下との婚約解消の書類だった。
「お祖父様……ありがとうございます!」
私は解き放たれた!とても爽快な気分になったが、もう一度リドリーがお祖父様を迎えに王宮に行ったのに中々戻らず……戻って来たお祖父様はぐったり気を失っているし、酷い有様だった。
「お、お祖父様に一体何が?!」
リドリーはとても言いづらいそうにしたが、言わない訳には行かないからと真相を教えてくれた。
「え……私との婚約解消に焦ったセブスト殿下が……私と間違えてお祖父様を、お、襲った……え……?」
襲った……それは間違いなく性的に乱暴したと言う事だ。私は目の前が真っ暗になり、倒れそうになる。後ろにいたアルフォンスが支えてくれなかったら床に転がっていただろう。
「わ、私の、か、代わりに……」
「大旦那様なら、カレリオ様が無事で良かったと言ってくださるはずです!」
いつもお祖父様に「能天気」と揶揄われているリドリーが青い顔で必死に言う。分かる、分かっている……あの優しい近頃のお祖父様なら間違いなくそう言う。でも……でも……!
「お怪我の方は大した事はありません。ゆっくりお休みいただきましょう……」
「……はい」
次の日にセブスト殿下が屋敷に見えられたが、リドリーは追い返した。流石の私も殿下と顔を合わせたくない。
夕方くらいに意識を取り戻したお祖父様だったけれど、
「カレリオ、良かったのう」
「お、お祖父様……」
優しく私の頭を撫でてくれた。しかし、すぐに熱を出して寝込まれてしまった。
「セブスト殿下、我が家に何用ですか」
「……あの、カレリオ。まずは色々済まなかった……お前には酷い態度を取り続けた。謝りたい」
本当に毎日毎日我が家に来るセブスト殿下に会わぬわけにはいかない。お祖父様は寝込まれているし、父上は駄目だ。
父上は殿下に言われたら何でも頷いてしまいそうだ。私が対応するしかなかった。
「……その事はもう良いです。ご用件を」
「あ、あの……ダグラス様は……会わせてもらえないか……?」
この人は何を言っているんだ?!自分で酷い目に合わせたのに会いたいなんて!
「お祖父様は寝込まれておいでです。お会いする事は出来ません」
「……そうか……まだご回復しないか……また明日来てもいいだろうか」
「駄目に決まってるでしょう!」
「……すまない、カレリオ。でも、どうしても気になるんだ……ダグラス様にも謝りたい……」
「お帰りください!」
リドリーを呼んで追い返して貰った。しかし殿下は毎日お祖父様に会わせろとやって来る。しまいにはメイド達に箒で追い返されている。
「なあ、アルフォンス。お前も少し鍛えろよ。そんなんじゃカレリオ様を護れないぞ」
「……私もその必要性を感じていた所だ。リドリー、相手を頼んでも良いか?」
「うん。良いぜ」
アルフォンスとリドリーの会話は私は聞いていなかった。何せ、どうやって殿下を追い払おうか考えるのに忙しかったからだ。
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