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88 ワシ、この歳で年貢をたっぷり払う
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季節が良い6月。真っ白な礼服を新調して名だたる貴族も招待し、ついでに近隣諸国の王家にも勝手に招待状が配られて、ワシとセブスト殿下の結婚式が行われる……今から。
「ははは、若くなるとは如何なる事ですかな?!」
「ふふ、それは我が国の秘中の秘と言う事で」
ダスティンの交渉も絶好調で、こいつ味方にしたい国を選んで招待状出したな?!
……まあ、ワシもそうしたが。
「ダグラス様は私の隣にいて下さいね!駄目ですよ!交渉なんかしに行っちゃ!」
「う、うむ。勿論ですとも……」
カレリオの手腕に期待しよう!カナンはまだ再教育が終わらんから公式の場に出せん!
可憐な笑顔で色々な貴族と話しておる、偉いぞカレリオ。アルフォンスもきちんとサポートしておるし何とかなりそうじゃ。
「ダグラス様、ご無沙汰しております」
「おお、カークス殿お久しゅう。バンドール領へのご指導誠に感謝致しますぞ」
「いえいえ、最近行ったと言う再生計画が素晴らしく少しのアドバイスですぐに結果が出ました。私も嬉しいです。それに新しい婚約者も推薦して頂きありがとうございます」
カークス殿の後ろで頭を下げるのはカトレア・ヴァイオレット侯爵令嬢。まあ……ジェスターの元婚約者だ。自然や農業の事は詳しいが辺境に行くのは嫌だったらしく、ジェスターから婚約解消を申し込まれた時に笑顔で応じたと言う。
「お初にお目にかかります、カトレアでございます。以後お見知り置きくださると嬉しく存じます」
カトレア嬢には当たり障りのない返事をすると殿下は苦笑している。ジェスター絡みでお会いした事もあったのじゃろう。
当人が良かったのならそれで良い事にしましょう。蒸し返しても良い事は一つもあるまい……割を食ったのはサディーアであるけれど。
「お祖父様、セブスト殿下。そろそろ司祭様の元に行かれませんと。式が始まりません」
「そうだな、ありがとうカレリオ。さ、行きますよ、ダグラス様」
「……いや、しかし……」
やはり結婚式とか嫌なんじゃが……。
「往生際が悪いですよ!お祖父様。殿下は王族なのですから、式もお披露目パーティも必須だと納得されたではありませんか!」
「も、もしかして……何か嫌われるような事をしましたか?!直します!すぐに直しますから!」
「いや、そうでなくて……ああ、もう……!」
いい歳こいて結婚式とかどうなのかと……。
「ざまーみろ」
「はは!照れとる照れとる」
「さっさとしろ。こっちは会談の予定が詰まっておるわ」
ワシの同期はなんと冷たいんじゃろうなぁ……。
この世界の挙式も元の世界と大して変わらず、司祭様の前で誓約書にサインをし、指輪を交換して……まあ祝福されると言う流れ……のスチルを見た。
ゲームの事をワタシとして思い出す事がめっきり少なくなったけれど思い出した。ああ、見ればあのスチル絵と同じタキシードをセブスト殿下は着ておるなぁ。
「行きましょう、ダグラス様」
スチルと同じ……いや、それ以上に華やかに輝いている笑顔の前に少し怯んでしまう。
思わず差し出された手に手を重ねる事を躊躇うと
「ダ、ダグラスさまぁ……」
男前の眉毛がへにょりと下がってしまった。うーむ、それはいかん。殿下にはかっこよくいていただかねばな。諦めてそっと手を重ねれば、元のイケメン顔が復活してくれた。
「参りましょう」
「はい」
あーあ。じじいの二度目の結婚式なんて誰が見たいんだろうか。
「ははは、若くなるとは如何なる事ですかな?!」
「ふふ、それは我が国の秘中の秘と言う事で」
ダスティンの交渉も絶好調で、こいつ味方にしたい国を選んで招待状出したな?!
……まあ、ワシもそうしたが。
「ダグラス様は私の隣にいて下さいね!駄目ですよ!交渉なんかしに行っちゃ!」
「う、うむ。勿論ですとも……」
カレリオの手腕に期待しよう!カナンはまだ再教育が終わらんから公式の場に出せん!
可憐な笑顔で色々な貴族と話しておる、偉いぞカレリオ。アルフォンスもきちんとサポートしておるし何とかなりそうじゃ。
「ダグラス様、ご無沙汰しております」
「おお、カークス殿お久しゅう。バンドール領へのご指導誠に感謝致しますぞ」
「いえいえ、最近行ったと言う再生計画が素晴らしく少しのアドバイスですぐに結果が出ました。私も嬉しいです。それに新しい婚約者も推薦して頂きありがとうございます」
カークス殿の後ろで頭を下げるのはカトレア・ヴァイオレット侯爵令嬢。まあ……ジェスターの元婚約者だ。自然や農業の事は詳しいが辺境に行くのは嫌だったらしく、ジェスターから婚約解消を申し込まれた時に笑顔で応じたと言う。
「お初にお目にかかります、カトレアでございます。以後お見知り置きくださると嬉しく存じます」
カトレア嬢には当たり障りのない返事をすると殿下は苦笑している。ジェスター絡みでお会いした事もあったのじゃろう。
当人が良かったのならそれで良い事にしましょう。蒸し返しても良い事は一つもあるまい……割を食ったのはサディーアであるけれど。
「お祖父様、セブスト殿下。そろそろ司祭様の元に行かれませんと。式が始まりません」
「そうだな、ありがとうカレリオ。さ、行きますよ、ダグラス様」
「……いや、しかし……」
やはり結婚式とか嫌なんじゃが……。
「往生際が悪いですよ!お祖父様。殿下は王族なのですから、式もお披露目パーティも必須だと納得されたではありませんか!」
「も、もしかして……何か嫌われるような事をしましたか?!直します!すぐに直しますから!」
「いや、そうでなくて……ああ、もう……!」
いい歳こいて結婚式とかどうなのかと……。
「ざまーみろ」
「はは!照れとる照れとる」
「さっさとしろ。こっちは会談の予定が詰まっておるわ」
ワシの同期はなんと冷たいんじゃろうなぁ……。
この世界の挙式も元の世界と大して変わらず、司祭様の前で誓約書にサインをし、指輪を交換して……まあ祝福されると言う流れ……のスチルを見た。
ゲームの事をワタシとして思い出す事がめっきり少なくなったけれど思い出した。ああ、見ればあのスチル絵と同じタキシードをセブスト殿下は着ておるなぁ。
「行きましょう、ダグラス様」
スチルと同じ……いや、それ以上に華やかに輝いている笑顔の前に少し怯んでしまう。
思わず差し出された手に手を重ねる事を躊躇うと
「ダ、ダグラスさまぁ……」
男前の眉毛がへにょりと下がってしまった。うーむ、それはいかん。殿下にはかっこよくいていただかねばな。諦めてそっと手を重ねれば、元のイケメン顔が復活してくれた。
「参りましょう」
「はい」
あーあ。じじいの二度目の結婚式なんて誰が見たいんだろうか。
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