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82 ワシ、脳筋の相手はしたくない
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「意味などある。ちょうど良いではないか?お前がトレヴァーと結婚してファルマン家に嫁ぐ。なあ、トレヴァー・ファルマン?レイモンドならお前と釣り合うし構わんよな?」
「へ?え?えーと?よくわかりませんが、それでいいと思います?」
あ、トレヴァーの筋肉で出来た脳みそにダスティンの言葉はしみ込んで行ってないな?
「そうだな、トレヴァーはレイモンド様が大好きだもんな!」
「始終一緒に居たいと常日頃から言ってましたもんね。なるほど、それなら私達のように一緒に居れますね」
「とても……お似合いの二人だと思う……トレヴァー……」
殿下とジェスターそして疲れ切っているサディーアに言われて、どうも悪い気はしていないようだ。
「え?あ、うん?皆がそう言うなら、そうだな!」
「騎士団の面面にも言われておったではないか?トレヴァーよ」
「あっ、そうでした。ダスティン様!」
「うむ」
さも当然と言った顔で頷くダスティンに、「そうか当然か」と騙されているトレヴァー。
「意味がわからん!」
と叫ぶレイモンド。そして見守るワシとケンウッド。
「アヤツだけ逃がす道理はないよなあ?ダグラス」
「当然じゃよ、ケンウッド。我らは仲良し同期じゃしのう」
ま、ダスティンの悪巧みにワシが乗っただけなんじゃがね?
「そんなに我が儘を言いたいなら……そうだな……剣で勝負するか?ん?」
「わ、我が儘!?これが我が儘なものか!大体ダスティン、貴様何を考えて……」
「自信がない?トレヴァーに勝つ自信がないんだろう?レイモンド?」
「小坊主などにワシが負けるわけないじゃろーー!受けて立つ!」
やはり、レイモンドも脳みそまで脳筋じゃったわい。アホじゃのう……。
そして旅館の中庭でレイモンドとトレヴァーの試合が始まる。きちんと試合用の剣まで用意している事に、なんでレイモンドは気が付かないのか。
「では用意……はじめ!」
殿下の掛け声で、打ち合いが始まる。
「絶対に負けぬぞ!小坊主!」
「私だって負けません!!」
レイモンドとトレヴァーの戦いは常にレイモンドの勝利で終わっている。どうもトレヴァーの剣は直線すぎて、歳を重ねたレイモンドの剣技には及ばないらしい。
「ははっ!小坊主、まだまだだな!」
「くっ!まだ、まだやれます!!」
打ち鳴らされる剣戟、ぶつかっては離れるが、やはりレイモンドの方が一枚も二枚も上手だ。
「っ!」
決定的な一撃がトレヴァーの剣を持つ手を痺れさせた。取り落としこそしなかったが、構えるのが格段に遅れた。
「はーっはっは!勝負あったな!小坊主!!くらえっ!」
興が乗ったのか、躊躇なくトレヴァーに振り下ろされるレイモンドの剣。このままいけばトレヴァーの負けは確定だ。だがな?そこにワシとケンウッドがいるんじゃよね。トレヴァーもレイモンドも試合に夢中になってワシが膝の上に乗せている箱には気が付いてないし、ケンウッドが小さくつぶやいていた魔法にも気づいてないんだよね。
「ほーい」
「ほほい、幻影魔法じゃーい」
ワシはダスティンから渡されていた箱をレイモンドに投げつける。ケンウッドもむにゃっと呪文を唱える。
「う!?」
流石、レイモンド。自分に投げつけられた箱を反射でパッと切り裂いた。うん、予想通り。
「ゲコ」
「ひ」
「ゲコゲコ」
わしの投げた箱の中からカエルちゃんがぴょぴょんと飛び出した。そして駄目押しにレイモンドの目の前に大きなカエルちゃんの幻影が現れて可愛く「ゲコ」と鳴いた。
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
「え?」
ま、カエルちゃんを頭に乗せたレイモンドがひっくり返っておる訳じゃ。あやつ、我々がお前の弱点を忘れておるとでも思っておったんじゃろうか??
「トレヴァーの勝ちだな」
「え?」
「うむ。レイモンドは戦闘不能じゃな」
「え?」
「相変わらずカエルは苦手なんじゃのう」
「え?」
「トレヴァー、君の勝ちだ」
「え?あ、はい……?」
脳筋には中々言葉が染み込まんのう……。
「へ?え?えーと?よくわかりませんが、それでいいと思います?」
あ、トレヴァーの筋肉で出来た脳みそにダスティンの言葉はしみ込んで行ってないな?
「そうだな、トレヴァーはレイモンド様が大好きだもんな!」
「始終一緒に居たいと常日頃から言ってましたもんね。なるほど、それなら私達のように一緒に居れますね」
「とても……お似合いの二人だと思う……トレヴァー……」
殿下とジェスターそして疲れ切っているサディーアに言われて、どうも悪い気はしていないようだ。
「え?あ、うん?皆がそう言うなら、そうだな!」
「騎士団の面面にも言われておったではないか?トレヴァーよ」
「あっ、そうでした。ダスティン様!」
「うむ」
さも当然と言った顔で頷くダスティンに、「そうか当然か」と騙されているトレヴァー。
「意味がわからん!」
と叫ぶレイモンド。そして見守るワシとケンウッド。
「アヤツだけ逃がす道理はないよなあ?ダグラス」
「当然じゃよ、ケンウッド。我らは仲良し同期じゃしのう」
ま、ダスティンの悪巧みにワシが乗っただけなんじゃがね?
「そんなに我が儘を言いたいなら……そうだな……剣で勝負するか?ん?」
「わ、我が儘!?これが我が儘なものか!大体ダスティン、貴様何を考えて……」
「自信がない?トレヴァーに勝つ自信がないんだろう?レイモンド?」
「小坊主などにワシが負けるわけないじゃろーー!受けて立つ!」
やはり、レイモンドも脳みそまで脳筋じゃったわい。アホじゃのう……。
そして旅館の中庭でレイモンドとトレヴァーの試合が始まる。きちんと試合用の剣まで用意している事に、なんでレイモンドは気が付かないのか。
「では用意……はじめ!」
殿下の掛け声で、打ち合いが始まる。
「絶対に負けぬぞ!小坊主!」
「私だって負けません!!」
レイモンドとトレヴァーの戦いは常にレイモンドの勝利で終わっている。どうもトレヴァーの剣は直線すぎて、歳を重ねたレイモンドの剣技には及ばないらしい。
「ははっ!小坊主、まだまだだな!」
「くっ!まだ、まだやれます!!」
打ち鳴らされる剣戟、ぶつかっては離れるが、やはりレイモンドの方が一枚も二枚も上手だ。
「っ!」
決定的な一撃がトレヴァーの剣を持つ手を痺れさせた。取り落としこそしなかったが、構えるのが格段に遅れた。
「はーっはっは!勝負あったな!小坊主!!くらえっ!」
興が乗ったのか、躊躇なくトレヴァーに振り下ろされるレイモンドの剣。このままいけばトレヴァーの負けは確定だ。だがな?そこにワシとケンウッドがいるんじゃよね。トレヴァーもレイモンドも試合に夢中になってワシが膝の上に乗せている箱には気が付いてないし、ケンウッドが小さくつぶやいていた魔法にも気づいてないんだよね。
「ほーい」
「ほほい、幻影魔法じゃーい」
ワシはダスティンから渡されていた箱をレイモンドに投げつける。ケンウッドもむにゃっと呪文を唱える。
「う!?」
流石、レイモンド。自分に投げつけられた箱を反射でパッと切り裂いた。うん、予想通り。
「ゲコ」
「ひ」
「ゲコゲコ」
わしの投げた箱の中からカエルちゃんがぴょぴょんと飛び出した。そして駄目押しにレイモンドの目の前に大きなカエルちゃんの幻影が現れて可愛く「ゲコ」と鳴いた。
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
「え?」
ま、カエルちゃんを頭に乗せたレイモンドがひっくり返っておる訳じゃ。あやつ、我々がお前の弱点を忘れておるとでも思っておったんじゃろうか??
「トレヴァーの勝ちだな」
「え?」
「うむ。レイモンドは戦闘不能じゃな」
「え?」
「相変わらずカエルは苦手なんじゃのう」
「え?」
「トレヴァー、君の勝ちだ」
「え?あ、はい……?」
脳筋には中々言葉が染み込まんのう……。
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