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80 ワシ、卒業旅行について行く
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元がゲームの世界。日本の学生さんのように卒業といえば卒業旅行をする。いくら王太子では無くなったとは言え一国の王子。そんな殿下がお出かけできる所は少なく、手近なオルトラ温泉郷に来ておる訳じゃ。
宣伝?客寄せパンダ?何の事かな??
「……学生時代のようだな?」
「よもやなぁ」
「ワシャ知らん」
「ひ、酷いっ!」
ダスティン・レイモンド・ワシにケンウッドが揃いおったわ。
「わざわざ辺境からご苦労だったな?ケニー。ジェスターは優しいか?んん?」
「うるさい!そう言うお前こそ、なに孫に懸想しておるんじゃ!この鬼畜!」
「やめろ、ケニー!ティムは今日機嫌悪い。全くサディーアが殿下達と話しているだけではないか」
「おージジイの嫉妬は怖いなぁ?」
最終的にダスティンの怒りはレイモンドに向いたので、ケンウッドは上手くやったようじゃ。
「しかし、見事にお主も若返ったのう、ケンウッド」
「他人事の振りしおって!どうせお前も一枚噛んおるんじゃろ、この腹黒っ!学園では便宜を図ってやったのに!」
「良いではないか。ワシのつらーい気持ちを知って欲しかったのじゃよぉ?あとの?」
「ま、また悪巧みかっ!ワシは知らん!」
「それがの……」
「……ほう?」
ワシがダスティンの企みをケンウッドに耳打ちする。
「ほう!それは良い!」
「じゃろう?」
まあ、こういう悪巧みに乗って来るからやはりケンウッドはケンウッドなんじゃよね。
「全く学生気分をまた味わう事になろうとはなぁ」
「そうじゃなぁ。長く生きていると不思議な事もあるもんじゃ……」
ワシとケンウッドは並んで殿下達を見ている。セブスト殿下とサディーア、トレヴァー、ジェスターと並んで話をしている。
真ん中に神子はいないが、ゲームで見た事のある様な一瞬に、眩しさを覚える。ワタシはダグラスの一部になりつつある。昔のように隔離された存在ではなく溶け合ってしまった。
「お主、だいぶ丸くなったのう」
「お前もではないのか?」
「老いた以外の何か……まあ、どうでも良いか」
「我々は見た目はどうであろうとも結局はジジイじゃからの」
老い先短い我らがちょこっとおかしかろうが、若人には影響無かろうよ。そこにいる4人の若者の未来にちょこーーーっと暗雲を漂わせてしまった気もするが、まあきっと大丈夫じゃろ。ワシとケンウッドが並んで話しているのを見て、殿下とジェスターがにこりとこちらをみて笑っておる。なんだかんだ言って美形揃いじゃのう。
「なあ、ダグよ。お主、今の状況は辛いのか?」
「……ケニーはどうだ?ジェスターと共にこの後辺境じゃろう?滅多なことでは王都に戻っては来ぬのだろう?」
「ワシは辛くはない。元々辺境に逃げようと思っておったからのう……ジェスターはワシのようなジジイに良く気を使う。まるでお姫様扱いじゃ……ジジイなのにの」
「そうじゃの、ジジイなのにのう……分かって貰えて嬉しいぞ、ケニー」
「そう言う分かって欲しいだったのかっ!この腹黒ッ!惚気ではないかっ!」
「ではお前のさっきの台詞も惚気か?んん?」
「違うわい!」
「じゃあワシも違うもーん」
わしとケンウッドのやり取りは
「お二人で楽しそうですね。私達も仲間に入れてくださいよ」
と、笑顔で駆けてきたセブスト殿下とジェスターの到着で自主的に打ち切った。
「しかし、セブスト殿下の事をあれほど貶して呆れておきながら、同じことをしてしまうとは……自分が恥ずかしいです。許してください、ケンウッド様」
昔ガサガサ、今つるつるのケンウッドの手を取ってなでなでしているジェスターに、ワシと殿下は苦笑いするしかない。
「もういいと言うたではありませんか。私は元より辺境に住むつもりでしたから、その辺りは……」
「ありがとうございます……ああ、あなたの優しさが心にしみます。一生大切にしますので、お許しください」
「だから、もういいと……」
ケンウッドの奴、ちょいと照れておるの。まんざらでもないんじゃろうなぁ……ティムの奴はいい仕事をしたのではないだろうか?ワシ?ワシはちょっとリドリーに金を払っただけじゃし??
宣伝?客寄せパンダ?何の事かな??
「……学生時代のようだな?」
「よもやなぁ」
「ワシャ知らん」
「ひ、酷いっ!」
ダスティン・レイモンド・ワシにケンウッドが揃いおったわ。
「わざわざ辺境からご苦労だったな?ケニー。ジェスターは優しいか?んん?」
「うるさい!そう言うお前こそ、なに孫に懸想しておるんじゃ!この鬼畜!」
「やめろ、ケニー!ティムは今日機嫌悪い。全くサディーアが殿下達と話しているだけではないか」
「おージジイの嫉妬は怖いなぁ?」
最終的にダスティンの怒りはレイモンドに向いたので、ケンウッドは上手くやったようじゃ。
「しかし、見事にお主も若返ったのう、ケンウッド」
「他人事の振りしおって!どうせお前も一枚噛んおるんじゃろ、この腹黒っ!学園では便宜を図ってやったのに!」
「良いではないか。ワシのつらーい気持ちを知って欲しかったのじゃよぉ?あとの?」
「ま、また悪巧みかっ!ワシは知らん!」
「それがの……」
「……ほう?」
ワシがダスティンの企みをケンウッドに耳打ちする。
「ほう!それは良い!」
「じゃろう?」
まあ、こういう悪巧みに乗って来るからやはりケンウッドはケンウッドなんじゃよね。
「全く学生気分をまた味わう事になろうとはなぁ」
「そうじゃなぁ。長く生きていると不思議な事もあるもんじゃ……」
ワシとケンウッドは並んで殿下達を見ている。セブスト殿下とサディーア、トレヴァー、ジェスターと並んで話をしている。
真ん中に神子はいないが、ゲームで見た事のある様な一瞬に、眩しさを覚える。ワタシはダグラスの一部になりつつある。昔のように隔離された存在ではなく溶け合ってしまった。
「お主、だいぶ丸くなったのう」
「お前もではないのか?」
「老いた以外の何か……まあ、どうでも良いか」
「我々は見た目はどうであろうとも結局はジジイじゃからの」
老い先短い我らがちょこっとおかしかろうが、若人には影響無かろうよ。そこにいる4人の若者の未来にちょこーーーっと暗雲を漂わせてしまった気もするが、まあきっと大丈夫じゃろ。ワシとケンウッドが並んで話しているのを見て、殿下とジェスターがにこりとこちらをみて笑っておる。なんだかんだ言って美形揃いじゃのう。
「なあ、ダグよ。お主、今の状況は辛いのか?」
「……ケニーはどうだ?ジェスターと共にこの後辺境じゃろう?滅多なことでは王都に戻っては来ぬのだろう?」
「ワシは辛くはない。元々辺境に逃げようと思っておったからのう……ジェスターはワシのようなジジイに良く気を使う。まるでお姫様扱いじゃ……ジジイなのにの」
「そうじゃの、ジジイなのにのう……分かって貰えて嬉しいぞ、ケニー」
「そう言う分かって欲しいだったのかっ!この腹黒ッ!惚気ではないかっ!」
「ではお前のさっきの台詞も惚気か?んん?」
「違うわい!」
「じゃあワシも違うもーん」
わしとケンウッドのやり取りは
「お二人で楽しそうですね。私達も仲間に入れてくださいよ」
と、笑顔で駆けてきたセブスト殿下とジェスターの到着で自主的に打ち切った。
「しかし、セブスト殿下の事をあれほど貶して呆れておきながら、同じことをしてしまうとは……自分が恥ずかしいです。許してください、ケンウッド様」
昔ガサガサ、今つるつるのケンウッドの手を取ってなでなでしているジェスターに、ワシと殿下は苦笑いするしかない。
「もういいと言うたではありませんか。私は元より辺境に住むつもりでしたから、その辺りは……」
「ありがとうございます……ああ、あなたの優しさが心にしみます。一生大切にしますので、お許しください」
「だから、もういいと……」
ケンウッドの奴、ちょいと照れておるの。まんざらでもないんじゃろうなぁ……ティムの奴はいい仕事をしたのではないだろうか?ワシ?ワシはちょっとリドリーに金を払っただけじゃし??
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