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59 ワシ、欲しいのはアレだけ
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「リングス領ですか?オルトラ火山の辺りだけで良いんじゃが」
「火山、ですか?」
うん、火山じゃ。ワシあそこ大好き。あそこがあるからリングス公爵を庇ったようなもんじゃし。あそこに我が家の別荘あるし。もしリングス領から領地を取れるなら絶対オルトラ火山周り押さえる。
つい3日ほど前にリングス公爵家の取り潰しが決まった。どこからか突然湧いて出て来た過去のリングス家の犯罪やら汚点やらの証拠が看過できないものばかりだったようで、誰も庇いだてできなかったようじゃ。しなかった、とは誰も言うまいよ。
我がバンドール家ももうリングス家とは距離を置いたし、ジャネス嬢の婚約者だったカークス殿のマグワイア侯爵家もだしの。あ、カークス殿はわざわざ我が家を訪ねてくださって、カレリオとアルフォンスに色々講義をしてくださったようじゃった、素晴らしい御仁じゃ。特にアルフォンスが農業の素晴らしさに感銘を受けたらしく、カークス殿の事を先生とお呼びしておるらしい。
そのうち我がバンドールの領地にも足を運んでくださるらしいし、我が家はまるっと大儲けじゃった。
そして浮いたリングス領を誰が接収するかと言う話で、セブスト殿下でどうだろうか、という事になっておるようだ。
「まあ……オルトラ火山の為ならば。あまり治安の良くないリングス領も仕方なく貰ってやっても良いかのう……」
「リングス領は今一つですか?」
「うむ。オーセン殿の前、セビアル殿もあの血筋の方での……」
リングス公爵家はワシの知る限り「やらかし公爵家」で、先祖からの財や、賢女、賢人を娶って何とか繋いで来ておるが……限界が来たのだ。
「リングス領とバンドール領は近接しておってのう……」
まあ、ワシもあまり領地経営に力を入れてこなかったが、中の人がワタシになった時点で色々頑張っている。
「リングス領からならず者や魔獣の侵入が多くて……」
と、報告書が来ておった。リドリーに頼んで数人鍛えて送り込んだが、なかなか手が回らんと嘆いていたなぁ。
「じゃが、オルトラ火山は欲しいのぅ~~」
「ダグラス様、何故そんなに火山に拘るのですか?何か良いものでもあるのですか??」
はて?異な事を!何故、殿下はお知りにならんのか?オルトラ火山の素晴らしさを!!
「何故って当然じゃろう……?オルトラ火山の麓町にはオルトラ温泉郷があるじゃろ!あそこの湯は腰痛、肩凝りに良く効くんじゃぞ?」
「……すみません……あまり腰痛にはならないもので」
しもうた、年寄りの大人気スポットじゃったんだ!オルトラ温泉郷は……。
「でも良いですね!温泉!一緒に入りましょう!」
「え、嫌じゃが?」
ワシらはオルトラ火山の視察に出かける事になりそうじゃった。嫌じゃ。
「火山、ですか?」
うん、火山じゃ。ワシあそこ大好き。あそこがあるからリングス公爵を庇ったようなもんじゃし。あそこに我が家の別荘あるし。もしリングス領から領地を取れるなら絶対オルトラ火山周り押さえる。
つい3日ほど前にリングス公爵家の取り潰しが決まった。どこからか突然湧いて出て来た過去のリングス家の犯罪やら汚点やらの証拠が看過できないものばかりだったようで、誰も庇いだてできなかったようじゃ。しなかった、とは誰も言うまいよ。
我がバンドール家ももうリングス家とは距離を置いたし、ジャネス嬢の婚約者だったカークス殿のマグワイア侯爵家もだしの。あ、カークス殿はわざわざ我が家を訪ねてくださって、カレリオとアルフォンスに色々講義をしてくださったようじゃった、素晴らしい御仁じゃ。特にアルフォンスが農業の素晴らしさに感銘を受けたらしく、カークス殿の事を先生とお呼びしておるらしい。
そのうち我がバンドールの領地にも足を運んでくださるらしいし、我が家はまるっと大儲けじゃった。
そして浮いたリングス領を誰が接収するかと言う話で、セブスト殿下でどうだろうか、という事になっておるようだ。
「まあ……オルトラ火山の為ならば。あまり治安の良くないリングス領も仕方なく貰ってやっても良いかのう……」
「リングス領は今一つですか?」
「うむ。オーセン殿の前、セビアル殿もあの血筋の方での……」
リングス公爵家はワシの知る限り「やらかし公爵家」で、先祖からの財や、賢女、賢人を娶って何とか繋いで来ておるが……限界が来たのだ。
「リングス領とバンドール領は近接しておってのう……」
まあ、ワシもあまり領地経営に力を入れてこなかったが、中の人がワタシになった時点で色々頑張っている。
「リングス領からならず者や魔獣の侵入が多くて……」
と、報告書が来ておった。リドリーに頼んで数人鍛えて送り込んだが、なかなか手が回らんと嘆いていたなぁ。
「じゃが、オルトラ火山は欲しいのぅ~~」
「ダグラス様、何故そんなに火山に拘るのですか?何か良いものでもあるのですか??」
はて?異な事を!何故、殿下はお知りにならんのか?オルトラ火山の素晴らしさを!!
「何故って当然じゃろう……?オルトラ火山の麓町にはオルトラ温泉郷があるじゃろ!あそこの湯は腰痛、肩凝りに良く効くんじゃぞ?」
「……すみません……あまり腰痛にはならないもので」
しもうた、年寄りの大人気スポットじゃったんだ!オルトラ温泉郷は……。
「でも良いですね!温泉!一緒に入りましょう!」
「え、嫌じゃが?」
ワシらはオルトラ火山の視察に出かける事になりそうじゃった。嫌じゃ。
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