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55 ワシ、先の当主じゃもん
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オーセン・リングス公爵は出来る事なら泡を吹いて倒れたかったじゃろうな!
「お、お父様?!お父様?!」
駆け寄るジャネス嬢を鬼も真っ青な形相で思いっきり引っ叩いた。うわぁ痛そうじゃのう……。
「この馬鹿娘がぁーー!!リングス家を潰すつもりかぁーーー!」
「お、おと、さ、ま……?」
何が起こったのか分からず、頬を押さえてジャネス嬢は呆然としておるが、潰すつもりじゃったよ、ワシは。
「こ、こちらに座すお方をどなたと心得る!先のバンドール家当主!ダグラス・バンドール様だぞ!」
頭が高い!控えおろう!と続きそうなオーセン殿の大声が響く。オーセン殿がここまでワシを恐れるには訳がある。
ワシとオーセン殿は現在の陛下が王太子の頃よりの「陛下派」であり、懇意にしておったのだが、「陛下派」の中でもオーセン殿は「やらかし公爵」として有名で、あちこちでやらかしていたのだ。
その尻拭いをしてやったのがワシ。時には浮気を揉み消し、賭博を揉み消し……オーセン殿の子息が平民に悪戯をしたのを揉み消し……兎にも角にも揉み消しまくってやったのじゃ。
「申し訳!申し訳ございませんー!」
リングス家の大体の悪事はワシが知っておる。それでも「陛下派」としては公爵家の存在は大きかったが、陛下の世が盤石になった今、「やらかし公爵」は汚点にしかならん。潰そ!
と、思ったのに!トレヴァー・ファルマンめ!骨ボギボキでワシは酷い目にあった事を忘れておらんぞ!許さん!
「まあ……酷い物言いをされてワシはいたく傷ついた。流石にこのままともいかんよ、オーセン殿」
リングス家はなんだかほっといても潰れそうじゃしなぁ?それより、柔和そうな顔をしているが、マグワイア侯爵が腑が煮え繰り返りそうなほど怒っておる。
あっちの方がワシは怖い。
「オーセン殿。どうもジャネス嬢は我が息子カークスとは合わぬようじゃな。リングス家からのどうしてもと言う話故、頷いた婚約であったが、考えさせて貰おう。良いな?カークス」
「構いません父上。私も研究に少しでも興味を持ち、意見交換が出来るような方を妻に迎えたい」
確かにの。ジャネス・リングス公爵令嬢は農業の分野など一欠片の興味も無さそうじゃ。
ついでに言えば社交もあのパプリー頭では難しかろう。何せワシをカレリオと間違えて今でも気づいていない始末じゃ。ワシとカレリオはまず印象が違う。カレリオは可愛いけれど、ワシはかっこいいのじゃからな!
しかも何かと話題のセブスト殿下に連れ回されておるんじゃぞ?少し調べればワシが謎の薬で若返った情報など、いくらでも手に入るじゃろ。オーセン殿は知っておったようじゃしなぁ。
「マ!マグワイア殿!!そ、そんな事は、そんな事はございません!ジャネスは真にカークス殿の事をお慕い申し上げております!なっ!ジャネス!!」
「え……あ、いえ……わたくしは……」
「ジャネスッ!!!」
「ひぃっ!」
親の心子知らずなのか似た者親子なのか。マグワイア侯爵の腹は決まっておるようじゃし、こりゃほっといても潰れるのう、リングス家は。
「お、お父様?!お父様?!」
駆け寄るジャネス嬢を鬼も真っ青な形相で思いっきり引っ叩いた。うわぁ痛そうじゃのう……。
「この馬鹿娘がぁーー!!リングス家を潰すつもりかぁーーー!」
「お、おと、さ、ま……?」
何が起こったのか分からず、頬を押さえてジャネス嬢は呆然としておるが、潰すつもりじゃったよ、ワシは。
「こ、こちらに座すお方をどなたと心得る!先のバンドール家当主!ダグラス・バンドール様だぞ!」
頭が高い!控えおろう!と続きそうなオーセン殿の大声が響く。オーセン殿がここまでワシを恐れるには訳がある。
ワシとオーセン殿は現在の陛下が王太子の頃よりの「陛下派」であり、懇意にしておったのだが、「陛下派」の中でもオーセン殿は「やらかし公爵」として有名で、あちこちでやらかしていたのだ。
その尻拭いをしてやったのがワシ。時には浮気を揉み消し、賭博を揉み消し……オーセン殿の子息が平民に悪戯をしたのを揉み消し……兎にも角にも揉み消しまくってやったのじゃ。
「申し訳!申し訳ございませんー!」
リングス家の大体の悪事はワシが知っておる。それでも「陛下派」としては公爵家の存在は大きかったが、陛下の世が盤石になった今、「やらかし公爵」は汚点にしかならん。潰そ!
と、思ったのに!トレヴァー・ファルマンめ!骨ボギボキでワシは酷い目にあった事を忘れておらんぞ!許さん!
「まあ……酷い物言いをされてワシはいたく傷ついた。流石にこのままともいかんよ、オーセン殿」
リングス家はなんだかほっといても潰れそうじゃしなぁ?それより、柔和そうな顔をしているが、マグワイア侯爵が腑が煮え繰り返りそうなほど怒っておる。
あっちの方がワシは怖い。
「オーセン殿。どうもジャネス嬢は我が息子カークスとは合わぬようじゃな。リングス家からのどうしてもと言う話故、頷いた婚約であったが、考えさせて貰おう。良いな?カークス」
「構いません父上。私も研究に少しでも興味を持ち、意見交換が出来るような方を妻に迎えたい」
確かにの。ジャネス・リングス公爵令嬢は農業の分野など一欠片の興味も無さそうじゃ。
ついでに言えば社交もあのパプリー頭では難しかろう。何せワシをカレリオと間違えて今でも気づいていない始末じゃ。ワシとカレリオはまず印象が違う。カレリオは可愛いけれど、ワシはかっこいいのじゃからな!
しかも何かと話題のセブスト殿下に連れ回されておるんじゃぞ?少し調べればワシが謎の薬で若返った情報など、いくらでも手に入るじゃろ。オーセン殿は知っておったようじゃしなぁ。
「マ!マグワイア殿!!そ、そんな事は、そんな事はございません!ジャネスは真にカークス殿の事をお慕い申し上げております!なっ!ジャネス!!」
「え……あ、いえ……わたくしは……」
「ジャネスッ!!!」
「ひぃっ!」
親の心子知らずなのか似た者親子なのか。マグワイア侯爵の腹は決まっておるようじゃし、こりゃほっといても潰れるのう、リングス家は。
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