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54 ワシ、やったぜ!
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しかしじゃ、余計な奴が入り込んできおった。全く!邪魔じゃ!
「リングス公爵令嬢。死にたいのですか?この方を殴るなど」
細腕を横から掴んで扇子を止めたのは殿下の腰巾着、トレヴァー・ファルマンだった。ほんと、こいつ余計な事を!
「おっ、おはなしっ!くっ!」
ファルマン家は公爵の位を頂いておる由緒正しき家柄。同じ公爵家ではリングス公爵令嬢も家柄を笠に声を大きくは出来なかった。
しかも借金でガタガタなリングス家に比べ、ファルマン家は古参に相応しい堅実な財産を持っている。
「わたくしはカレリオ・バンドールと話をしているのよ!貴方は関係ないでしょう!」
「カレリオ?カレリオはこの夜会に招かれてはおりませんよね?」
トレヴァーはジャネスの腕を持ったまま首を傾げて、ワシに視線を投げて寄越す。
全く、この阿呆令嬢の勘違いからリングス家を潰してやろうと思ったのに、駄目にしやがって。ワシはトレヴァー・ファルマンが嫌いじゃ!
「……ああ」
あーつまらん。つまらんぞ!
「なっ!何を言っているの?!そこに居るじゃない!カレリオは!」
ジャネス嬢が騒ぎ立てるもので人が出てきてしまった。もーワシ帰りたい。
「ジャネス!大声ではしたない!一体何をしておるのだ!」
リングス公爵が最初にやって来た。ふむ、この娘は親からも釘を刺されておるのじゃろうな、阿呆で色々なところで失言をしておるのじゃろう。
オーセン・リングス。お前に似たのじゃろうなぁ?
「お!お父様!か、カレリオが!わ、わたくしに無礼を働いたのです!侯爵家の癖に!」
「カレリオ?カレリオ・バンドールか?何故、バンドール家の息子が……」
そしてワシを見たオーセン・リングス公爵は
「うげぇ!!」
と、踏まれたカエルより哀れな声をあげて倒れかける。そりゃぁそうじゃろうよ。
「ダダダダダダダグラス様ぁ……っ!」
「久しいのう、オーセン殿。奥方は息災か?貴殿の息子のステイシーのあの事件ぶりかのう?」
「ひひひひひひえええええーーー!も、申し訳!申し訳ごさいませえええええん!」
「お、お父様?!」
ワシの前に平伏さんばかりの父をみて、ジャネス嬢は真っ青になったし、トレヴァーも引いている。
「オーセン殿。今しがた、貴殿の娘から激しい叱責をワシは受けておってのう……殿下にワシは相応しくないから、消えろと言うのじゃ」
「ひぃいいいい?!」
「そしてジャネス嬢曰く、殿下はジャネス嬢が貰ってあげるんじゃそうな。それでの?ジャネス嬢の婚約者であるカークス殿をカレリオの婚約者にくれるらしいのじゃよ」
「ぁあああぁ……」
「でのう、カレリオではいささか問題があるので、ワシの婚約者にでもなって貰おうかと思っておってのう。我が領地の農業のアドバイスをして貰おうかと思うんじゃが……どうかのう?カークス殿」
「カカカカカカーーークス殿?!」
「ダグラス様の婚約者の件は少し私では荷が重いですが、農業のアドバイス程度であれば喜んでさせていただきますよ」
オーセンの後ろから、カークス・マグワイア侯爵令息とマグワイア侯爵も静かに歩いて来る。
カークス殿と渡りをつけられただけでも上々の収穫であったわい!やったぜ、ワシ!
「リングス公爵令嬢。死にたいのですか?この方を殴るなど」
細腕を横から掴んで扇子を止めたのは殿下の腰巾着、トレヴァー・ファルマンだった。ほんと、こいつ余計な事を!
「おっ、おはなしっ!くっ!」
ファルマン家は公爵の位を頂いておる由緒正しき家柄。同じ公爵家ではリングス公爵令嬢も家柄を笠に声を大きくは出来なかった。
しかも借金でガタガタなリングス家に比べ、ファルマン家は古参に相応しい堅実な財産を持っている。
「わたくしはカレリオ・バンドールと話をしているのよ!貴方は関係ないでしょう!」
「カレリオ?カレリオはこの夜会に招かれてはおりませんよね?」
トレヴァーはジャネスの腕を持ったまま首を傾げて、ワシに視線を投げて寄越す。
全く、この阿呆令嬢の勘違いからリングス家を潰してやろうと思ったのに、駄目にしやがって。ワシはトレヴァー・ファルマンが嫌いじゃ!
「……ああ」
あーつまらん。つまらんぞ!
「なっ!何を言っているの?!そこに居るじゃない!カレリオは!」
ジャネス嬢が騒ぎ立てるもので人が出てきてしまった。もーワシ帰りたい。
「ジャネス!大声ではしたない!一体何をしておるのだ!」
リングス公爵が最初にやって来た。ふむ、この娘は親からも釘を刺されておるのじゃろうな、阿呆で色々なところで失言をしておるのじゃろう。
オーセン・リングス。お前に似たのじゃろうなぁ?
「お!お父様!か、カレリオが!わ、わたくしに無礼を働いたのです!侯爵家の癖に!」
「カレリオ?カレリオ・バンドールか?何故、バンドール家の息子が……」
そしてワシを見たオーセン・リングス公爵は
「うげぇ!!」
と、踏まれたカエルより哀れな声をあげて倒れかける。そりゃぁそうじゃろうよ。
「ダダダダダダダグラス様ぁ……っ!」
「久しいのう、オーセン殿。奥方は息災か?貴殿の息子のステイシーのあの事件ぶりかのう?」
「ひひひひひひえええええーーー!も、申し訳!申し訳ごさいませえええええん!」
「お、お父様?!」
ワシの前に平伏さんばかりの父をみて、ジャネス嬢は真っ青になったし、トレヴァーも引いている。
「オーセン殿。今しがた、貴殿の娘から激しい叱責をワシは受けておってのう……殿下にワシは相応しくないから、消えろと言うのじゃ」
「ひぃいいいい?!」
「そしてジャネス嬢曰く、殿下はジャネス嬢が貰ってあげるんじゃそうな。それでの?ジャネス嬢の婚約者であるカークス殿をカレリオの婚約者にくれるらしいのじゃよ」
「ぁあああぁ……」
「でのう、カレリオではいささか問題があるので、ワシの婚約者にでもなって貰おうかと思っておってのう。我が領地の農業のアドバイスをして貰おうかと思うんじゃが……どうかのう?カークス殿」
「カカカカカカーーークス殿?!」
「ダグラス様の婚約者の件は少し私では荷が重いですが、農業のアドバイス程度であれば喜んでさせていただきますよ」
オーセンの後ろから、カークス・マグワイア侯爵令息とマグワイア侯爵も静かに歩いて来る。
カークス殿と渡りをつけられただけでも上々の収穫であったわい!やったぜ、ワシ!
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