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42 ワシ、諦める*
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軽く唇だけを合わせる口づけをして、セブスト殿下は良い笑顔で笑った。
「謝る事ではありませんよ。それは私が望んで手に入れた物ではなかった。私が初めて自分で望んで手に入れたのはあなただ」
なんとまあ……これがあのカレリオに酷い態度を取った殿下か?!人が変わったような素晴らしい人格者ではないか!
「殿下……変わられましたね」
「貴方に好かれようと頑張りましたから」
「良い男になられましたな」
「あなたの夫に相応しいでしょう?」
「……そう、ですな」
今の殿下ならカレリオを任せても良いと思える。まあカレリオはそれを望まないだろうし、アルフォンスと仲良くやって行った方が幸せだろう。
「なら、ねえ……良いでしょう?」
どさりと覆いかぶさってくる殿下。いや、ちょっと、ちょっと待て!?まさか
「え、いやあの、まさかまた!?」
まだヤろうっていうのか!?嘘だろう!??
「どれだけ我慢したと思っているんですか?まだまだですよ。さあ観念して」
「ひいっ!」
ワシが着ていたのはワンピースのようなものだった。頭からすぽんと被るそれ一枚しか身に着けておらず、スカートの裾をめくるとまあ、ワシのワシとこんにちはしてしまう。
「ふふ、そちらも可愛いですがまた後で。うん、大丈夫怪我もないですし、柔らかい。すぐ入りそうですね?」
「待って、待って下され!殿下ぁ!」
慌てて裾を戻そうとするが、いかんせん殿下は力が強い!
「ねえ、ダグラス様……私を受け入れて?」
「……っ」
それは狡い。我々老獪が使うような手口を若い殿下はどこで覚えて来たのか!くそっ!サディーア辺りが囁いたのだろうか。
相手に恩を売り、罪悪感を持たせて……無邪気な顔で要求を押し通す。外堀を埋め、実力をつけ、そうしてから獲物を囲い込む。
逃げ道を作っているように見せかけて、一つもそんな物は用意されていない周到さよ。ああ、本当に変わってしまわれた!!
しかし悲しいかな、焦りすぎだ。その儚いとも取れそうに懇願する笑顔が、ワシの両足の間から覗いているのでは、説得力にかける。
その辺りは急いてしまう若者というところか。
もし、その若さもワシという年寄りにアピールする為のものなら、相当としか言えんのだが。まあ、用意されておらぬ逃げ道を探すのも疲れる。
最後に体力勝負に持ち込まれたら、結局は負けてしまうのだし。大人しくした方が身の為か?
「……はぁ……お手柔らかにお願いしますよ……殿下」
「努力はするよ!」
すぐさま押し付けられた熱量に、高い声を上げるしか出来なかった。
「謝る事ではありませんよ。それは私が望んで手に入れた物ではなかった。私が初めて自分で望んで手に入れたのはあなただ」
なんとまあ……これがあのカレリオに酷い態度を取った殿下か?!人が変わったような素晴らしい人格者ではないか!
「殿下……変わられましたね」
「貴方に好かれようと頑張りましたから」
「良い男になられましたな」
「あなたの夫に相応しいでしょう?」
「……そう、ですな」
今の殿下ならカレリオを任せても良いと思える。まあカレリオはそれを望まないだろうし、アルフォンスと仲良くやって行った方が幸せだろう。
「なら、ねえ……良いでしょう?」
どさりと覆いかぶさってくる殿下。いや、ちょっと、ちょっと待て!?まさか
「え、いやあの、まさかまた!?」
まだヤろうっていうのか!?嘘だろう!??
「どれだけ我慢したと思っているんですか?まだまだですよ。さあ観念して」
「ひいっ!」
ワシが着ていたのはワンピースのようなものだった。頭からすぽんと被るそれ一枚しか身に着けておらず、スカートの裾をめくるとまあ、ワシのワシとこんにちはしてしまう。
「ふふ、そちらも可愛いですがまた後で。うん、大丈夫怪我もないですし、柔らかい。すぐ入りそうですね?」
「待って、待って下され!殿下ぁ!」
慌てて裾を戻そうとするが、いかんせん殿下は力が強い!
「ねえ、ダグラス様……私を受け入れて?」
「……っ」
それは狡い。我々老獪が使うような手口を若い殿下はどこで覚えて来たのか!くそっ!サディーア辺りが囁いたのだろうか。
相手に恩を売り、罪悪感を持たせて……無邪気な顔で要求を押し通す。外堀を埋め、実力をつけ、そうしてから獲物を囲い込む。
逃げ道を作っているように見せかけて、一つもそんな物は用意されていない周到さよ。ああ、本当に変わってしまわれた!!
しかし悲しいかな、焦りすぎだ。その儚いとも取れそうに懇願する笑顔が、ワシの両足の間から覗いているのでは、説得力にかける。
その辺りは急いてしまう若者というところか。
もし、その若さもワシという年寄りにアピールする為のものなら、相当としか言えんのだが。まあ、用意されておらぬ逃げ道を探すのも疲れる。
最後に体力勝負に持ち込まれたら、結局は負けてしまうのだし。大人しくした方が身の為か?
「……はぁ……お手柔らかにお願いしますよ……殿下」
「努力はするよ!」
すぐさま押し付けられた熱量に、高い声を上げるしか出来なかった。
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