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34 こんなの聞いてない!(神子カズハ視点)
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「え……」
「早く行きましょう」
リドリーは思いのほか強かった……。待って!待って!?攻略早くない!?ダンジョンは10階まであって、10階にいる魔王を封印すれば終わり。で、1階だって初めて来たんなら何日もかけてゆっくり攻略していくものだよ!?それなのに10分もかからず、しかも先頭のリドリー一人で魔物を全部倒して、更にトラップもはずし、迷路になっているダンジョンの中を迷わないで2階の階段まで来ちゃった!?どういう事!??
僕はゲームでやり慣れてるからダンジョンの迷路は全部覚えているけれど、なんでリドリーが出来るの!?
「え!?ウソ!なんで??早すぎない!?」
オロオロするのは僕だけで皆普通に歩いて行く……どうなってるの!?
「ね、トレヴァー?早くない??」
「普通ですよ、神子カズハ。行きましょう」
いつも通り礼儀正しいトレヴァーなんだけれど、少し冷たい気がする。最近トレヴァーと顔を合わせる事も話をすることもなかった。だっていっつもセブスト殿下と一緒にどこかに行っていなくなってたから。
「う、うん……」
でも早すぎると皆の好感度が上げられないから困るんだよね……。まあでもまだ1階をクリアして2階に進んだだけだし。まだまだ大丈夫!
「う、嘘でしょう?」
「普通です」
なんとリドリーは2階も3階も4階も一気に通り抜ける。こ、困る、そんなに攻略が早いと困るんだけど!?えええ……なんとか、なんとかしなきゃ!
「あ、あの、僕……疲れたな~なんて。今日はもう帰りたいなあ……」
「は?まだ来て1時間も経ってないだろう?行くぞ」
セブスト殿下があっさり言うと皆、後に続く。ぼ、僕だけこんな所に置いて行かれても困る!やっぱり先頭はリドリーで襲ってくるモンスターをばっさばっさと切り倒して、どんどんどんどん迷いなく進んでいる。な、なにこの通いなれた感じは!
も、もしかしてリドリーはものすごい高レベルで、このダンジョンに何度も何度も出入りしているの?え、そんなの困る!
僕は近くにいたジェスターの服を引っ張った。ジェスターまでめんどくさそうに僕を見る。前までそんなことなかったのに、ジェスターの目が冷たい気がする……。あの廊下でカレリオの服を破いて転ばせてしまった時から、ジェスターは僕に話しかけて来なくなった、ような気がする……。あれは僕が悪いんじゃなくてカレリオが僕の制服を引っ張らなかったのが悪い!
カレリオに引っ張られて、僕の制服が破れて転んで……ジェスターが助けてくれるイベントだったのに、なんかおかしい感じになってしまったんだ。なんで大して力も入れてないのにカレリオが倒れて立ち上がれなくなるの?おかしいじゃん。足腰が弱いおじいちゃんでもないのに!
「ね、ジェスター……リドリーってものすごく強いの……?僕、怖いんだけど……」
うるっと瞳に涙を溜めて、ジェスターを下から見上げる。僕史上一番可愛い顔だよ!
「いや、リドリーは強くない」
「え……だって、あんなにモンスターを倒しまくってるじゃない……」
「リドリーはそう強くない」
ただそれだけを言って、ジェスターはぱっと身をひるがえす。掴んでいたジェスターの服を放してしまう。な、なに?それだけなの!?僕は神子だよ!?皆から愛される、この世で魔王を封印できるただ一人の神子なんだよ!?なんで、なんでそんな感じなの!?
「好感度が……足りなすぎるんだ……」
僕はギリッと爪を噛む。カレリオの護衛だったリドリー。やっぱり攻略対象者以外っていうのは使えない!しかもカレリオにべったりなのも気に入らなかったんだ!何とかしてリドリーを排除して、ダンジョンから帰らないと……。
「早く行きましょう」
リドリーは思いのほか強かった……。待って!待って!?攻略早くない!?ダンジョンは10階まであって、10階にいる魔王を封印すれば終わり。で、1階だって初めて来たんなら何日もかけてゆっくり攻略していくものだよ!?それなのに10分もかからず、しかも先頭のリドリー一人で魔物を全部倒して、更にトラップもはずし、迷路になっているダンジョンの中を迷わないで2階の階段まで来ちゃった!?どういう事!??
僕はゲームでやり慣れてるからダンジョンの迷路は全部覚えているけれど、なんでリドリーが出来るの!?
「え!?ウソ!なんで??早すぎない!?」
オロオロするのは僕だけで皆普通に歩いて行く……どうなってるの!?
「ね、トレヴァー?早くない??」
「普通ですよ、神子カズハ。行きましょう」
いつも通り礼儀正しいトレヴァーなんだけれど、少し冷たい気がする。最近トレヴァーと顔を合わせる事も話をすることもなかった。だっていっつもセブスト殿下と一緒にどこかに行っていなくなってたから。
「う、うん……」
でも早すぎると皆の好感度が上げられないから困るんだよね……。まあでもまだ1階をクリアして2階に進んだだけだし。まだまだ大丈夫!
「う、嘘でしょう?」
「普通です」
なんとリドリーは2階も3階も4階も一気に通り抜ける。こ、困る、そんなに攻略が早いと困るんだけど!?えええ……なんとか、なんとかしなきゃ!
「あ、あの、僕……疲れたな~なんて。今日はもう帰りたいなあ……」
「は?まだ来て1時間も経ってないだろう?行くぞ」
セブスト殿下があっさり言うと皆、後に続く。ぼ、僕だけこんな所に置いて行かれても困る!やっぱり先頭はリドリーで襲ってくるモンスターをばっさばっさと切り倒して、どんどんどんどん迷いなく進んでいる。な、なにこの通いなれた感じは!
も、もしかしてリドリーはものすごい高レベルで、このダンジョンに何度も何度も出入りしているの?え、そんなの困る!
僕は近くにいたジェスターの服を引っ張った。ジェスターまでめんどくさそうに僕を見る。前までそんなことなかったのに、ジェスターの目が冷たい気がする……。あの廊下でカレリオの服を破いて転ばせてしまった時から、ジェスターは僕に話しかけて来なくなった、ような気がする……。あれは僕が悪いんじゃなくてカレリオが僕の制服を引っ張らなかったのが悪い!
カレリオに引っ張られて、僕の制服が破れて転んで……ジェスターが助けてくれるイベントだったのに、なんかおかしい感じになってしまったんだ。なんで大して力も入れてないのにカレリオが倒れて立ち上がれなくなるの?おかしいじゃん。足腰が弱いおじいちゃんでもないのに!
「ね、ジェスター……リドリーってものすごく強いの……?僕、怖いんだけど……」
うるっと瞳に涙を溜めて、ジェスターを下から見上げる。僕史上一番可愛い顔だよ!
「いや、リドリーは強くない」
「え……だって、あんなにモンスターを倒しまくってるじゃない……」
「リドリーはそう強くない」
ただそれだけを言って、ジェスターはぱっと身をひるがえす。掴んでいたジェスターの服を放してしまう。な、なに?それだけなの!?僕は神子だよ!?皆から愛される、この世で魔王を封印できるただ一人の神子なんだよ!?なんで、なんでそんな感じなの!?
「好感度が……足りなすぎるんだ……」
僕はギリッと爪を噛む。カレリオの護衛だったリドリー。やっぱり攻略対象者以外っていうのは使えない!しかもカレリオにべったりなのも気に入らなかったんだ!何とかしてリドリーを排除して、ダンジョンから帰らないと……。
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