【完結】悪役令息の祖父のワシが神子をハメたら殿下がおかしくなった。溺愛とかジジィには必要ないです、勘弁してくだされ

33 泣きつかれるワシと神子カズハ

「バンドール翁よ……」

「まさかとは思いますが陛下、婚約者の件ではないでしょうな？」

「う、うう……すまんとは思っておるのだが、セブストがの……強すぎて誰も手に負えぬのだ」

　陛下に泣きついたのではなく、陛下が泣きついて来た、ワシに。

「ワシのような老骨に一体何をせよと……」

「セブストを何とかしてくれ……頼む！」

　くっ！ここまでか……悲しいかな、臣下の身。陛下の望みを叶えねばならんのだ。

「ならば、ひとつお願いがありますーーー」

　折角だ、これくらいしても良かろう？




「えっ？！ダンジョン攻略？？まだ早いよぉ」

「いや、そんな事はない。行くぞ、カズハ！」

　久しぶりに学園に現れたセブスト殿下は突然そんな事を言う。やだよ！まだ皆との好感度絶対低いよ！これじゃラブラブデュオ技も使えないし、魔王を倒してもハーレムエンド行けないじゃん！

　嫌だって言っているのに、セブスト殿下に引きづられる。この人ってこんなに強引だったっけ？？なんかやだなーー！

「でもまあ、ダンジョン内で一緒に戦闘すればすんごく好感度上がるんだよね！」

　これにかけるしかない！

「よーし！頑張るぞー！」

　ダンジョンの入り口につくと、皆揃っていた。

「……誰これ？」

　セブスト殿下、サディーア、ジャスパー、トレヴァーまでは良かった、でもアルフォンスがいなくて……カレリオの護衛についていたリドリーとかいう奴がいる。なんで？！アルフォンスはどこ？？

「リドリーは最近どうしても、ってな」

「まあ、そこそこに使える奴ですよ、大丈夫。」

「絶対セブスト殿下より強くなりますから！護衛の名が廃りますッ！」

　な、なに！？もう皆と馴染んでるの！？仲良しなの？？

「でも、頼むぞ？」

「分かってますよぉ～。セブスト殿下は絶対にあきらめない男なので、折れてくださいって言えばいいんでしょ～」

　え？え？何のこと？？僕には全然わかんないけど、このカレリオの護衛だったリドリーと言う人は良く見るとカッコいい。真っ赤な髪に、緑の目でアルフォンスより背が高くてからだがしっかりしている。うん、護衛って感じ……悪くない、むしろアルフォンスより好きかも！

「僕、カズハ。よろしくね！えーと、リドリー？」

　神子笑顔全開で話しかけてみた。きっとアルフォンスがいないから代わりなんだろう！全くカレリオが悪役の役目をちゃんとしてくれないから、こういう差異が出ちゃうんだよね～。ま、いいか！リドリーと仲良くなればさ。アルフォンスのポジションに入ったんだから、きっと僕の事好きになっちゃうよね～～～～！

　リドリーはちらっと僕をみたけれど、それだけで無視した！なんで！？なんでえ！？？えええええ～僕が神子なのに！神子がいないとダンジョン攻略できないんだよ！？なんなのその態度！あったまにきちゃう！

　もう後から泣いてごめんなさいって言っても遅いんだからね！