25 / 122
25 あの目が忘れられない(セブスト殿下視点
しおりを挟む
「カズハ!前に聞いた話は本当なんだろうな?!」
私は寮に急いで帰り、カズハに詰め寄った。
「ま、前に聞いた話って何の話??」
「ダンジョンのボスが落とす若返りの秘薬の話だ!!」
カズハは神子だ。神子はダンジョンを攻略し、最上階10階にいる魔王を倒す為に喚ばれた存在なのだ。
そしてカズハはまだ時期尚早だと言って、ダンジョンには挑んでいない。挑んでいない癖に、ダンジョンの中のことを事細かに知っていた。それが神子の能力なのだろうか?
「え?あーうん。9階のボスね。超低確率だけど、落とすんだよ。それで結構色んな人に使えて、若返ったスチルが見れるんだー!王様とか!王妃様とか!」
「か、カレリオの、カレリオの祖父も若くなるんだろう?」
「カレリオのお爺ちゃんー?ゲームに出て来なかったから分かんないよ!多分使えるんじゃないの?」
良しっ!それさえあれば、ダグラス様はきっと頷いてくださる!私は心の中で握り拳を作った。
あの時、私は最低にもカレリオを暴力で従わせようとした。
父上から呼び出され、カレリオとの婚約が解消された。正直私は喜んだ。もうカレリオに付き合わなくても良いのだから!これからはカズハと人目を憚る事なく仲良く出来る!新しい婚約者はカズハにしよう、そんな事まで考えていたのに。
「セブスト。お前は王太子にしておくわけにはいかぬ」
「は?!な、何故ですか!」
「バンドール家を失ったお前では後ろ盾が足りぬ。わかるであろう、貴族の中で力が足りぬ者は王は継げぬ。その為の婚約であった事はお前が一番知っておろう……それなのに、お前はカレリオに何をした?バンドール翁が怒り狂うのも致し方ない事をしおって」
そうだ、そうだった。私が王太子としての地位を固める為のカレリオ・バンドールとの婚約だったのだ。
カレリオがそんな素振りを見せず、私の事を好いていてくれたから、すっかり忘れていたのだ。
「か、カレリオに婚約解消を撤回させてきます!」
「今更何を……セブスト!」
父上が止めるのも聞かず、私はカレリオを探した。使用人に声を掛ければ今、城にいるらしい……すぐに見つけた。
目が合うとカレリオらしからぬ冷たく蔑んでいるのに気がついてしまい、思わず手が出た。
気を失ったカレリオ。もう、力づくで言う事を聞かせるしかない、私も動揺していた、正常な判断が出来なかった……。全て言い訳なのだけれど。
「ううっ……っ!」
カレリオを組み敷くのは簡単で、しかも気持ちが良かった。それでも冷たく強く見下してくる目に違和感を覚えつつも、好きに扱った。
欲に濡れて行くカレリオは本当に可愛らしく、何故手放そうかと思ったのか分からないほど、素晴らしかった。あのツンケンしていた態度が甘く縋り付いてくるのが本当に可愛らしかったのだが……。
「大旦那様ぁーーー!」
扉は破壊され、護衛が飛び込んで来る。大旦那様?一体誰の事だ?
「この人はダグラス様だーーっ!」
カレリオはカレリオではなかった。その男が足についていた魔道具を外すとカレリオだと思っていた人間は、見事な爺さんに変わったのだ。
「ひゅ!?」
流石の私も目の前が真っ暗になった。
謹慎を言い渡され、全ての話を聞いた。カレリオの祖父がカレリオそっくりになっていたのも、父上の提案で悪いのは全て私なのだ。沢山の譲歩を重ねて、何とかしたと父上に言われた。
王太子の道は絶望的だと言われつつも、私はあの目が忘れられない。私を冷たく見下すあのダグラス・バンドールの目が……。
「も、もしかして……これは恋?!」
爺さんでも良い!あの人の目に映してもらいたい!もう私の気持ちは止まらなかった。
私は寮に急いで帰り、カズハに詰め寄った。
「ま、前に聞いた話って何の話??」
「ダンジョンのボスが落とす若返りの秘薬の話だ!!」
カズハは神子だ。神子はダンジョンを攻略し、最上階10階にいる魔王を倒す為に喚ばれた存在なのだ。
そしてカズハはまだ時期尚早だと言って、ダンジョンには挑んでいない。挑んでいない癖に、ダンジョンの中のことを事細かに知っていた。それが神子の能力なのだろうか?
「え?あーうん。9階のボスね。超低確率だけど、落とすんだよ。それで結構色んな人に使えて、若返ったスチルが見れるんだー!王様とか!王妃様とか!」
「か、カレリオの、カレリオの祖父も若くなるんだろう?」
「カレリオのお爺ちゃんー?ゲームに出て来なかったから分かんないよ!多分使えるんじゃないの?」
良しっ!それさえあれば、ダグラス様はきっと頷いてくださる!私は心の中で握り拳を作った。
あの時、私は最低にもカレリオを暴力で従わせようとした。
父上から呼び出され、カレリオとの婚約が解消された。正直私は喜んだ。もうカレリオに付き合わなくても良いのだから!これからはカズハと人目を憚る事なく仲良く出来る!新しい婚約者はカズハにしよう、そんな事まで考えていたのに。
「セブスト。お前は王太子にしておくわけにはいかぬ」
「は?!な、何故ですか!」
「バンドール家を失ったお前では後ろ盾が足りぬ。わかるであろう、貴族の中で力が足りぬ者は王は継げぬ。その為の婚約であった事はお前が一番知っておろう……それなのに、お前はカレリオに何をした?バンドール翁が怒り狂うのも致し方ない事をしおって」
そうだ、そうだった。私が王太子としての地位を固める為のカレリオ・バンドールとの婚約だったのだ。
カレリオがそんな素振りを見せず、私の事を好いていてくれたから、すっかり忘れていたのだ。
「か、カレリオに婚約解消を撤回させてきます!」
「今更何を……セブスト!」
父上が止めるのも聞かず、私はカレリオを探した。使用人に声を掛ければ今、城にいるらしい……すぐに見つけた。
目が合うとカレリオらしからぬ冷たく蔑んでいるのに気がついてしまい、思わず手が出た。
気を失ったカレリオ。もう、力づくで言う事を聞かせるしかない、私も動揺していた、正常な判断が出来なかった……。全て言い訳なのだけれど。
「ううっ……っ!」
カレリオを組み敷くのは簡単で、しかも気持ちが良かった。それでも冷たく強く見下してくる目に違和感を覚えつつも、好きに扱った。
欲に濡れて行くカレリオは本当に可愛らしく、何故手放そうかと思ったのか分からないほど、素晴らしかった。あのツンケンしていた態度が甘く縋り付いてくるのが本当に可愛らしかったのだが……。
「大旦那様ぁーーー!」
扉は破壊され、護衛が飛び込んで来る。大旦那様?一体誰の事だ?
「この人はダグラス様だーーっ!」
カレリオはカレリオではなかった。その男が足についていた魔道具を外すとカレリオだと思っていた人間は、見事な爺さんに変わったのだ。
「ひゅ!?」
流石の私も目の前が真っ暗になった。
謹慎を言い渡され、全ての話を聞いた。カレリオの祖父がカレリオそっくりになっていたのも、父上の提案で悪いのは全て私なのだ。沢山の譲歩を重ねて、何とかしたと父上に言われた。
王太子の道は絶望的だと言われつつも、私はあの目が忘れられない。私を冷たく見下すあのダグラス・バンドールの目が……。
「も、もしかして……これは恋?!」
爺さんでも良い!あの人の目に映してもらいたい!もう私の気持ちは止まらなかった。
54
お気に入りに追加
2,661
あなたにおすすめの小説
【騎士とスイーツ】異世界で菓子作りに励んだらイケメン騎士と仲良くなりました
尾高志咲/しさ
BL
部活に出かけてケーキを作る予定が、高校に着いた途端に大地震?揺れと共に気がついたら異世界で、いきなり巨大な魔獣に襲われた。助けてくれたのは金髪に碧の瞳のイケメン騎士。王宮に保護された後、騎士が昼食のたびに俺のところにやってくる!
砂糖のない異世界で、得意なスイーツを作ってなんとか自立しようと頑張る高校生、ユウの物語。魔獣退治専門の騎士団に所属するジードとのじれじれ溺愛です。
🌟第10回BL小説大賞、応援していただきありがとうございました。
◇他サイト掲載中、アルファ版は一部設定変更あり。R18は※回。
🌟素敵な表紙はimoooさんが描いてくださいました。ありがとうございました!
僕のお兄様がヤンデレなんて聞いてない
ふわりんしず。
BL
『僕…攻略対象者の弟だ』
気付いた時には犯されていました。
あなたはこの世界を攻略
▷する
しない
hotランキング
8/17→63位!!!から48位獲得!!
8/18→41位!!→33位から28位!
8/19→26位
人気ランキング
8/17→157位!!!から141位獲得しました!
8/18→127位!!!から117位獲得
【完結】【R18BL】異世界転移したオメガ、貴族兄弟に飼われることになりました
ちゃっぷす
BL
Ωである高戸圭吾はある日ストーカーだったβに殺されてしまう。目覚めたそこはαとβしか存在しない異世界だった。Ωの甘い香りに戸惑う無自覚αに圭吾は襲われる。そこへ駆けつけた貴族の兄弟、βエドガー、αスルトに拾われた圭吾は…。
「異世界転移したオメガ、貴族兄弟に飼われることになりました」の本編です。
アカウント移行のため再投稿しました。
ベースそのままに加筆修正入っています。
※イチャラブ、3P、レイプ、♂×♀など、歪んだ性癖爆発してる作品です※
※倫理観など一切なし※
※アホエロ※
※ひたすら頭悪い※
※色気のないセックス描写※
※とんでも展開※
※それでもOKという許容範囲ガバガバの方はどうぞおいでくださいませ※
【圭吾シリーズ】
「異世界転移したオメガ、貴族兄弟に飼われることになりました」(本編)←イマココ
「極上オメガ、前世の恋人2人に今世も溺愛されています」(転生編)
「極上オメガ、いろいろあるけどなんだかんだで毎日楽しく過ごしてます」(イベントストーリー編)
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?
【R18・完結】ショウドウ⁈異世界にさらわれちゃったよー!お兄さんは静かに眠りたい。
カヨワイさつき
BL
20代最後の日、コンビニ帰りに召喚に巻き込まれてしまった、正道晴人(しょうどう はると)と
同時刻、ゲームを買いに来た岡真琴(おか まこと)は神子召喚されてしまった。
2人の神子は不吉とされ、正道は召喚場所から追い出されてしまった。
正道を中心に世界は動き出したかもしれない?!
衝動、正道の異世界物語!
☆予告なしにR 18入る場合入ります。
暴力や無理矢理なのは、なるべくボカした
表現にしてます。
大切なご意見ご感想、毎回うれしいです😆
読んでくださる皆様に感謝を込めて
ありがとうございます❤️
小さな幸せが
たくさん降り注ぎますように❤️
謎の死を遂げる予定の我儘悪役令息ですが、義兄が離してくれません
柴傘
BL
ミーシャ・ルリアン、4歳。
父が連れてきた僕の義兄になる人を見た瞬間、突然前世の記憶を思い出した。
あれ、僕ってばBL小説の悪役令息じゃない?
前世での愛読書だったBL小説の悪役令息であるミーシャは、義兄である主人公を出会った頃から蛇蝎のように嫌いイジメを繰り返し最終的には謎の死を遂げる。
そんなの絶対に嫌だ!そう思ったけれど、なぜか僕は理性が非常によわよわで直ぐにキレてしまう困った体質だった。
「おまえもクビ!おまえもだ!あしたから顔をみせるなー!」
今日も今日とて理不尽な理由で使用人を解雇しまくり。けれどそんな僕を見ても、主人公はずっとニコニコしている。
「おはようミーシャ、今日も元気だね」
あまつさえ僕を抱き上げ頬擦りして、可愛い可愛いと連呼する。あれれ?お兄様、全然キャラ違くない?
義弟が色々な意味で可愛くて仕方ない溺愛執着攻め×怒りの沸点ド底辺理性よわよわショタ受け
9/2以降不定期更新
大魔法使いに生まれ変わったので森に引きこもります
かとらり。
BL
前世でやっていたRPGの中ボスの大魔法使いに生まれ変わった僕。
勇者に倒されるのは嫌なので、大人しくアイテムを渡して帰ってもらい、塔に引きこもってセカンドライフを楽しむことにした。
風の噂で勇者が魔王を倒したことを聞いて安心していたら、森の中に小さな男の子が転がり込んでくる。
どうやらその子どもは勇者の子供らしく…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる