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23 ワシ、殿下の頭を心配する
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「ダ、ダグラス……バンドール、様」
「……いかにも」
とても非常に気まずい。とてもああ、とても!今は陛下からお借りした魔道具の数々は全てお返ししているので、セブスト殿下と向き合っているのは、正真正銘れっきとした70歳のジジイのワシである。しかも車椅子に乗って護衛に押されている完全なザ★ジジイである。パーフェクト老骨!しわしわのよぼよぼよ?
「あ、あの……わ、私は……」
「殿下、何もなかった」
「え?」
「何もなかった、そうであろう?」
殿下も一生懸命サカった相手がこんなよぼよぼのジジイだなんて、考えただけでも怖気も走るだろうし、まっくろくろすけ黒歴史、ドン!だ。だから黒歴史は黒歴史らしく黒い闇の中に葬ろう、絶対それがいい。ワシもそうしたい、そうしよう?な??
「い、いや、あのダグラス、様……」
「む、カレリオとの婚約解消を撤回せよという話なら聞く訳には参りませんぞ」
「そ、それは!それはもういい!カレリオとは婚約解消する!」
力強い言葉。絶対だな、絶対だな??それは忘れんぞ!
「ならばよいが……一体どうなされた、そんな所でうろうろなされて……」
「あ、あの、あの……すぐ伺ったのですが、ダグラス様は、ね、寝込まれていると門前払いを食らいまして。それから何度訪れてもいつも帰れと……しまいにはメイドに箒で叩かれてしまい……門に近づけなく……」
ウチのメイドは何をしておるんじゃ……仮にも王子であるセブスト殿下を箒で叩いたじゃと!?これは流石に釘をささねばならんのう……いやしかし、きっとカレリオの事を思ってじゃろう。婚約解消をした直後の相手が家を訪れるなど心穏やかではないからのう。
うむ、釘はさすがボーナスはやろう。主人想いの良いメイドではないか……素晴らしいぞ。ジジイ感激。
「それは申し訳ない事をしましたな……して、王子自らやって来られるとは何か重大な用件でもあったのでしょうな?」
用もないのに来ないで欲しいのう。皆ピリピリしておるわ。今も屋敷の中から何人も覗き見しておるわ、何しとんのじゃ!
「いや、あの……重大なと言うか、その……重大で、いや、重大か……?」
歯切れが悪い、どうしたと言うのだ殿下は。早く言わんから気が利くリドリーが一つ咳払いをする。
「殿下には申し訳ないのですが、大旦那様はまだ体調が優れません。そろそろ屋敷に戻らせていただきたく存じます。大旦那様に御用であれば、書面か後日正式にお越しいただきたいのですが、宜しいでございますね?」
流石リドリー。かなり強めに帰れ!と言ってくれた。良いぞう~リドリー良いぞう~!ボーナスじゃ!殿下もそこでハイと言って引き下がってくれれば良いのじゃが、ぱっと顔をあげた殿下。なんじゃろう、ものすごく嫌な予感がする。
「ダ、ダグラス・バンドール様!わ、私の!私の婚約者になっていただけませんか!!」
「ハァ!!???殿下、どこかに頭でもぶつけましたかな!?」
「いえ!私は正気です!わ、私はあれからあなたの事が忘れられない!!貴方の事を愛してしまったのです!!」
殿下がおかしくなった。
「……いかにも」
とても非常に気まずい。とてもああ、とても!今は陛下からお借りした魔道具の数々は全てお返ししているので、セブスト殿下と向き合っているのは、正真正銘れっきとした70歳のジジイのワシである。しかも車椅子に乗って護衛に押されている完全なザ★ジジイである。パーフェクト老骨!しわしわのよぼよぼよ?
「あ、あの……わ、私は……」
「殿下、何もなかった」
「え?」
「何もなかった、そうであろう?」
殿下も一生懸命サカった相手がこんなよぼよぼのジジイだなんて、考えただけでも怖気も走るだろうし、まっくろくろすけ黒歴史、ドン!だ。だから黒歴史は黒歴史らしく黒い闇の中に葬ろう、絶対それがいい。ワシもそうしたい、そうしよう?な??
「い、いや、あのダグラス、様……」
「む、カレリオとの婚約解消を撤回せよという話なら聞く訳には参りませんぞ」
「そ、それは!それはもういい!カレリオとは婚約解消する!」
力強い言葉。絶対だな、絶対だな??それは忘れんぞ!
「ならばよいが……一体どうなされた、そんな所でうろうろなされて……」
「あ、あの、あの……すぐ伺ったのですが、ダグラス様は、ね、寝込まれていると門前払いを食らいまして。それから何度訪れてもいつも帰れと……しまいにはメイドに箒で叩かれてしまい……門に近づけなく……」
ウチのメイドは何をしておるんじゃ……仮にも王子であるセブスト殿下を箒で叩いたじゃと!?これは流石に釘をささねばならんのう……いやしかし、きっとカレリオの事を思ってじゃろう。婚約解消をした直後の相手が家を訪れるなど心穏やかではないからのう。
うむ、釘はさすがボーナスはやろう。主人想いの良いメイドではないか……素晴らしいぞ。ジジイ感激。
「それは申し訳ない事をしましたな……して、王子自らやって来られるとは何か重大な用件でもあったのでしょうな?」
用もないのに来ないで欲しいのう。皆ピリピリしておるわ。今も屋敷の中から何人も覗き見しておるわ、何しとんのじゃ!
「いや、あの……重大なと言うか、その……重大で、いや、重大か……?」
歯切れが悪い、どうしたと言うのだ殿下は。早く言わんから気が利くリドリーが一つ咳払いをする。
「殿下には申し訳ないのですが、大旦那様はまだ体調が優れません。そろそろ屋敷に戻らせていただきたく存じます。大旦那様に御用であれば、書面か後日正式にお越しいただきたいのですが、宜しいでございますね?」
流石リドリー。かなり強めに帰れ!と言ってくれた。良いぞう~リドリー良いぞう~!ボーナスじゃ!殿下もそこでハイと言って引き下がってくれれば良いのじゃが、ぱっと顔をあげた殿下。なんじゃろう、ものすごく嫌な予感がする。
「ダ、ダグラス・バンドール様!わ、私の!私の婚約者になっていただけませんか!!」
「ハァ!!???殿下、どこかに頭でもぶつけましたかな!?」
「いえ!私は正気です!わ、私はあれからあなたの事が忘れられない!!貴方の事を愛してしまったのです!!」
殿下がおかしくなった。
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