22 / 122
22 ワシ、最大の黒歴史を忘れたい
しおりを挟む
当然、ワシ寝込むよね。でも良いんじゃもん、ワシやり遂げたもん。
「えーと、大旦那様……」
「リドリー。何も無かった、そうじゃろう?」
「……はい」
やはりリドリーは聡い。それで良い。カレリオの婚約解消は成ったし、我が家の不正は埋め戻された。カナンは少し痩せたし、これで炭鉱は多分無くなったと信じたい。
ふ、ジジイの初めてなんぞ、そんな無価値な物……いらんわい。ただ腰が痛かっただけ、いや、今も痛い。ジジイがアンアンフンフンしても気持ち悪いだけだ!あー姿恰好だけでも美少年で良かったー……。
忘れよう、ものすごい黒歴史じゃ!!!
「少し良くなりましたら、お庭でも出ますか?」
「そうじゃの。ベッドの上では腹も減らんしな」
我が家には車椅子がある。あって良かった介護用品。リドリーに押してもらいタウンハウスの庭に顔を出した。
「やっぱり外は良いのう~清々しい」
「庭師たちも頑張って手入れしていましたよ」
「うむ。まったく、庭師の給料を前の執事がピンハネしていたなど、とんでもない事であったわ。気づくのが遅れてすまんかったのう」
流石侯爵家の庭じゃ、結構広さがある。わしらが車椅子でも押しやすい道をゆっくり進んで行くと、渋い顔をして庭師の一人……マウロじゃったかの?が走って来た。
「大旦那様、リドリー。せっかくの所申し訳ないのですが、お戻りになられた方が宜しいかと」
「ん?作業中じゃったかの?邪魔したのう」
「いえ!違うのです……あの」
ちらりと後ろを振り返るマウロ。ん?なんじゃろうか……?リドリーも同じ方向を向いて小さく「あ」と声をあげた。なんかおるんじゃろか?わしの老眼には何も見えん……何か動いたな?おや、金髪じゃのう?人か?
ちょうど植え込みが小さくなった所の我が家の敷地外から誰かがこちらを覗いておったのじゃな?誰じゃい。曲者か!
「大旦那様、戻りますよ!」
「そうなさってください!」
リドリーはぐるりと車椅子を回転させるし、マウロはその人物からワシが見えないように立ちふさがろうとしているし……なんじゃなんじゃ!?
「あ!あの……あの!!」
その金髪さんが声を出した。うむ、若いの、若者の声じゃのう……歳は18.9か。学園のカレリオの友達じゃろうか……って違う、違うぞこれは、ワシ、こやつの声を知っておるわい。
「リドリー!ハウス!」
「わん!」
「ま、待って!待ってください!お願いです!待ってくださいっ!!」
必死に呼び止める声と共にそやつは非常に行儀悪く植え込みをぶち破ってこちらにきおった!無断侵入で訴えるぞい!と言いたい所だが……訴えられないお人じゃな……。
「……セブスト殿下……」
何しに来たんじゃ、我が最大の黒歴史よ!
「えーと、大旦那様……」
「リドリー。何も無かった、そうじゃろう?」
「……はい」
やはりリドリーは聡い。それで良い。カレリオの婚約解消は成ったし、我が家の不正は埋め戻された。カナンは少し痩せたし、これで炭鉱は多分無くなったと信じたい。
ふ、ジジイの初めてなんぞ、そんな無価値な物……いらんわい。ただ腰が痛かっただけ、いや、今も痛い。ジジイがアンアンフンフンしても気持ち悪いだけだ!あー姿恰好だけでも美少年で良かったー……。
忘れよう、ものすごい黒歴史じゃ!!!
「少し良くなりましたら、お庭でも出ますか?」
「そうじゃの。ベッドの上では腹も減らんしな」
我が家には車椅子がある。あって良かった介護用品。リドリーに押してもらいタウンハウスの庭に顔を出した。
「やっぱり外は良いのう~清々しい」
「庭師たちも頑張って手入れしていましたよ」
「うむ。まったく、庭師の給料を前の執事がピンハネしていたなど、とんでもない事であったわ。気づくのが遅れてすまんかったのう」
流石侯爵家の庭じゃ、結構広さがある。わしらが車椅子でも押しやすい道をゆっくり進んで行くと、渋い顔をして庭師の一人……マウロじゃったかの?が走って来た。
「大旦那様、リドリー。せっかくの所申し訳ないのですが、お戻りになられた方が宜しいかと」
「ん?作業中じゃったかの?邪魔したのう」
「いえ!違うのです……あの」
ちらりと後ろを振り返るマウロ。ん?なんじゃろうか……?リドリーも同じ方向を向いて小さく「あ」と声をあげた。なんかおるんじゃろか?わしの老眼には何も見えん……何か動いたな?おや、金髪じゃのう?人か?
ちょうど植え込みが小さくなった所の我が家の敷地外から誰かがこちらを覗いておったのじゃな?誰じゃい。曲者か!
「大旦那様、戻りますよ!」
「そうなさってください!」
リドリーはぐるりと車椅子を回転させるし、マウロはその人物からワシが見えないように立ちふさがろうとしているし……なんじゃなんじゃ!?
「あ!あの……あの!!」
その金髪さんが声を出した。うむ、若いの、若者の声じゃのう……歳は18.9か。学園のカレリオの友達じゃろうか……って違う、違うぞこれは、ワシ、こやつの声を知っておるわい。
「リドリー!ハウス!」
「わん!」
「ま、待って!待ってください!お願いです!待ってくださいっ!!」
必死に呼び止める声と共にそやつは非常に行儀悪く植え込みをぶち破ってこちらにきおった!無断侵入で訴えるぞい!と言いたい所だが……訴えられないお人じゃな……。
「……セブスト殿下……」
何しに来たんじゃ、我が最大の黒歴史よ!
77
お気に入りに追加
2,675
あなたにおすすめの小説
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。
みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。
生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。
何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 設定ゆるめ、造語、出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。
★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
運悪く放課後に屯してる不良たちと一緒に転移に巻き込まれた俺、到底馴染めそうにないのでソロで無双する事に決めました。~なのに何故かついて来る…
こまの ととと
BL
『申し訳ございませんが、皆様には今からこちらへと来て頂きます。強制となってしまった事、改めて非礼申し上げます』
ある日、教室中に響いた声だ。
……この言い方には語弊があった。
正確には、頭の中に響いた声だ。何故なら、耳から聞こえて来た感覚は無く、直接頭を揺らされたという感覚に襲われたからだ。
テレパシーというものが実際にあったなら、確かにこういうものなのかも知れない。
問題はいくつかあるが、最大の問題は……俺はただその教室近くの廊下を歩いていただけという事だ。
*当作品はカクヨム様でも掲載しております。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!
音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに!
え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!!
調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。
すべてを奪われた英雄は、
さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。
隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。
それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。
すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。
僕がハーブティーを淹れたら、筆頭魔術師様(♂)にプロポーズされました
楠結衣
BL
貴族学園の中庭で、婚約破棄を告げられたエリオット伯爵令息。可愛らしい見た目に加え、ハーブと刺繍を愛する彼は、女よりも女の子らしいと言われていた。女騎士を目指す婚約者に「妹みたい」とバッサリ切り捨てられ、婚約解消されてしまう。
ショックのあまり実家のハーブガーデンに引きこもっていたところ、王宮魔術塔で働く兄から助手に誘われる。
喜ぶ家族を見たら断れなくなったエリオットは筆頭魔術師のジェラール様の執務室へ向かう。そこでエリオットがいつものようにハーブティーを淹れたところ、なぜかプロポーズされてしまい……。
「エリオット・ハワード――俺と結婚しよう」
契約結婚の打診からはじまる男同士の恋模様。
エリオットのハーブティーと刺繍に特別な力があることは、まだ秘密──。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる