【完結】悪役令息の祖父のワシが神子をハメたら殿下がおかしくなった。溺愛とかジジィには必要ないです、勘弁してくだされ

鏑木 うりこ

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22 ワシ、最大の黒歴史を忘れたい

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 当然、ワシ寝込むよね。でも良いんじゃもん、ワシやり遂げたもん。

「えーと、大旦那様……」

「リドリー。何も無かった、そうじゃろう?」

「……はい」

 やはりリドリーは聡い。それで良い。カレリオの婚約解消は成ったし、我が家の不正は埋め戻された。カナンは少し痩せたし、これで炭鉱は多分無くなったと信じたい。

 ふ、ジジイの初めてなんぞ、そんな無価値な物……いらんわい。ただ腰が痛かっただけ、いや、今も痛い。ジジイがアンアンフンフンしても気持ち悪いだけだ!あー姿恰好だけでも美少年で良かったー……。

 忘れよう、ものすごい黒歴史じゃ!!!

「少し良くなりましたら、お庭でも出ますか?」

「そうじゃの。ベッドの上では腹も減らんしな」

 我が家には車椅子がある。あって良かった介護用品。リドリーに押してもらいタウンハウスの庭に顔を出した。

「やっぱり外は良いのう~清々しい」

「庭師たちも頑張って手入れしていましたよ」

「うむ。まったく、庭師の給料を前の執事がピンハネしていたなど、とんでもない事であったわ。気づくのが遅れてすまんかったのう」

 流石侯爵家の庭じゃ、結構広さがある。わしらが車椅子でも押しやすい道をゆっくり進んで行くと、渋い顔をして庭師の一人……マウロじゃったかの?が走って来た。

「大旦那様、リドリー。せっかくの所申し訳ないのですが、お戻りになられた方が宜しいかと」

「ん?作業中じゃったかの?邪魔したのう」

「いえ!違うのです……あの」

 ちらりと後ろを振り返るマウロ。ん?なんじゃろうか……?リドリーも同じ方向を向いて小さく「あ」と声をあげた。なんかおるんじゃろか?わしの老眼には何も見えん……何か動いたな?おや、金髪じゃのう?人か?
 ちょうど植え込みが小さくなった所の我が家の敷地外から誰かがこちらを覗いておったのじゃな?誰じゃい。曲者か!

「大旦那様、戻りますよ!」

「そうなさってください!」

 リドリーはぐるりと車椅子を回転させるし、マウロはその人物からワシが見えないように立ちふさがろうとしているし……なんじゃなんじゃ!?

「あ!あの……あの!!」

 その金髪さんが声を出した。うむ、若いの、若者の声じゃのう……歳は18.9か。学園のカレリオの友達じゃろうか……って違う、違うぞこれは、ワシ、こやつの声を知っておるわい。

「リドリー!ハウス!」

「わん!」

「ま、待って!待ってください!お願いです!待ってくださいっ!!」

 必死に呼び止める声と共にそやつは非常に行儀悪く植え込みをぶち破ってこちらにきおった!無断侵入で訴えるぞい!と言いたい所だが……訴えられないお人じゃな……。

「……セブスト殿下……」

 何しに来たんじゃ、我が最大の黒歴史よ!

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