18 / 122
18 ワシ、限界!
しおりを挟む
「ぐおおお……!」
「あはは、神子に袖を引っ張られ、それで尻餅をついて腰が、ですか」
「笑い事ではないぞ!先生!」
「そうでした。転倒からの骨折は非常に危険ですからね……高齢者は!」
「ぐぬぅ……!」
救護室の先生はワシの実年齢を知らせておるので、沢山の湿布と痛み止めをくれた。
「骨や神経に異常は無さそうですが、本日の座学は無理でしょうね。寮にお帰りください」
「そうさせて貰うかの……歩けるかのう……」
「悪化しますよ。護衛に連れて行って貰った方が賢明です」
「……抱っこか……」
お任せくださいとリドリーはにこにこ手を伸ばしてくるが。
「ワシも少しは恥ずかしいのじゃが……」
「大丈夫です!カレリオ様は美少年ですから!」
確かにカレリオは可愛い!超可愛い!イマイチな顔の悪役令息が居ないように、とても!可愛い!
「ワシはカレリオ、ワシはカレリオ……良し!リドリー、頼んだ!」
自己暗示!自己暗示!
「はい!では帰りましょう」
「教授達にはお伝えしておきますから、なるべくゆっくりお休み下さい」
ワシは何とか自分に言い聞かせて、寮まで抱っこで連れて行ってもらった。
「担架よりマシでしょう?」
「そうじゃのう……」
老体には本当に厳しいのう……。
ワシが縮こまって護衛のリドリーに抱えられ、帰ってしまい授業に出られない。その事実とカズハの行動から、学園の噂は面白いようにワシの思った通りに進んでいた。
何せ火消し役である王子の取り巻きは生徒会の仕事に追われ、生徒達の話を聞いている暇などないようだ。
今まで全部カレリオに丸投げしていた罰じゃ!
そして当の王子も今までの癖が抜けず、「誰かがやっておいてくれるはず」とまだ思い込んでいる。更にカズハが頻繁に擦り寄り、止める者もいない。
「また神子様がカレリオ様に御無体を……」
「授業に出られぬほどのお怪我をなされたとか」
「足を痛めたとかで、一人では歩けず護衛に抱えられて寮にお戻りになられたとか」
「カレリオ様は何もしていない」
「神子がわざわざカレリオ様のクラスまで押しかけ暴行に及んだのを見ております」
「誰も、殿下はお止めしないのか?カレリオ様は婚約者だろう?」
「人目も憚らず、神子と節度の無い距離で楽しそうに話しておられるのを良く目にします……あれでは……」
完全に流れはカレリオの味方じゃな、ワシの思惑通りじゃの。そろそろ学園の子供達の噂はその親に伝わるだろう。
そして決定的な瞬間はないが、毎日の殿下とカズハの様子は記録しておるし、カズハのカレリオに対する嫌がらせもほぼ毎日だ。
質より量とは言わんが、十分だろうな。
そろそろ、王と王妃も納得してくれるじゃろ。
というかワシの老体が限界じゃ!
「あはは、神子に袖を引っ張られ、それで尻餅をついて腰が、ですか」
「笑い事ではないぞ!先生!」
「そうでした。転倒からの骨折は非常に危険ですからね……高齢者は!」
「ぐぬぅ……!」
救護室の先生はワシの実年齢を知らせておるので、沢山の湿布と痛み止めをくれた。
「骨や神経に異常は無さそうですが、本日の座学は無理でしょうね。寮にお帰りください」
「そうさせて貰うかの……歩けるかのう……」
「悪化しますよ。護衛に連れて行って貰った方が賢明です」
「……抱っこか……」
お任せくださいとリドリーはにこにこ手を伸ばしてくるが。
「ワシも少しは恥ずかしいのじゃが……」
「大丈夫です!カレリオ様は美少年ですから!」
確かにカレリオは可愛い!超可愛い!イマイチな顔の悪役令息が居ないように、とても!可愛い!
「ワシはカレリオ、ワシはカレリオ……良し!リドリー、頼んだ!」
自己暗示!自己暗示!
「はい!では帰りましょう」
「教授達にはお伝えしておきますから、なるべくゆっくりお休み下さい」
ワシは何とか自分に言い聞かせて、寮まで抱っこで連れて行ってもらった。
「担架よりマシでしょう?」
「そうじゃのう……」
老体には本当に厳しいのう……。
ワシが縮こまって護衛のリドリーに抱えられ、帰ってしまい授業に出られない。その事実とカズハの行動から、学園の噂は面白いようにワシの思った通りに進んでいた。
何せ火消し役である王子の取り巻きは生徒会の仕事に追われ、生徒達の話を聞いている暇などないようだ。
今まで全部カレリオに丸投げしていた罰じゃ!
そして当の王子も今までの癖が抜けず、「誰かがやっておいてくれるはず」とまだ思い込んでいる。更にカズハが頻繁に擦り寄り、止める者もいない。
「また神子様がカレリオ様に御無体を……」
「授業に出られぬほどのお怪我をなされたとか」
「足を痛めたとかで、一人では歩けず護衛に抱えられて寮にお戻りになられたとか」
「カレリオ様は何もしていない」
「神子がわざわざカレリオ様のクラスまで押しかけ暴行に及んだのを見ております」
「誰も、殿下はお止めしないのか?カレリオ様は婚約者だろう?」
「人目も憚らず、神子と節度の無い距離で楽しそうに話しておられるのを良く目にします……あれでは……」
完全に流れはカレリオの味方じゃな、ワシの思惑通りじゃの。そろそろ学園の子供達の噂はその親に伝わるだろう。
そして決定的な瞬間はないが、毎日の殿下とカズハの様子は記録しておるし、カズハのカレリオに対する嫌がらせもほぼ毎日だ。
質より量とは言わんが、十分だろうな。
そろそろ、王と王妃も納得してくれるじゃろ。
というかワシの老体が限界じゃ!
55
お気に入りに追加
2,661
あなたにおすすめの小説
僕のお兄様がヤンデレなんて聞いてない
ふわりんしず。
BL
『僕…攻略対象者の弟だ』
気付いた時には犯されていました。
あなたはこの世界を攻略
▷する
しない
hotランキング
8/17→63位!!!から48位獲得!!
8/18→41位!!→33位から28位!
8/19→26位
人気ランキング
8/17→157位!!!から141位獲得しました!
8/18→127位!!!から117位獲得
俺のスパダリはギャップがすごい 〜いつも爽やかスパダリが豹変すると… 〜
葉月
BL
彼女に振られた夜、何もかも平凡な『佐々木真司』は、何もかも完璧な『立花蓮』に、泥酔していたところを介抱してもらったと言う、最悪な状態で出会った。
真司は蓮に何かお礼がしたいと申し出ると、蓮は「私の手料理を一緒に食べていただけませんか?』と言われ…
平凡なサラリーマンもエリートサラリーマン。住む世界が違う二人が出会い。
二人の関係はどう変わっていくのか…
平凡サラリーマン×スパダリサラリーマンの、濃厚イチャラブストーリー♡
本編(攻め、真司)終了後、受け蓮sideがスタートします。
エロ濃厚な部分は<エロス>と、記載しています。
本編は完結作品です٩(๑´꒳ `๑٩)
他にも何点か投稿しているので、もし宜しければ覗いてやってください(❃´◡`❃)
天使の小夜曲〜黒水晶に恋をする〜
黒狐
BL
天使の小夜曲(セレナード)。
魔力を持たない『落ちこぼれ」と呼ばれた悪魔のモリオンは、人間に化けた他の悪魔の密告により、身を隠していた洞窟から天界へと連行されてしまう。
大人しく懲罰房に幽閉されたモリオンは、そこでも激しい暴力を受けていた。
そんなある日、長い髪に美しい6枚の翼を持つ上級天使...アクロアが懲罰房に訪れたことから物語は動き出す。
アクロア(美形天使攻め)✕モリオン(男前悪魔受け)の恋愛BLです。🔞、暴力、途中攻がモブレされる描写があるので苦手な方は閲覧注意です。
性行為のある話には⭐︎がついています。
pixivに載せている話を少し手直ししています。
勇者は異常者
松林 松茸
BL
「ほら、ズボンを脱げよ」
少年は喧嘩で負かした不良の下半身を露わにさせると…
文武両道、喧嘩は負けなしの高2の少年“真田 祐樹”は毎日喧嘩で負かした少年を凌辱する生活を送っていた。
ある日、彼は光に包まれると異世界の召喚されてしまう。
「勇者よ、お前の力で世界を救うのだ」
突然呼び出して勝手なことを言う王に彼は…
この世に存在する全てのモノを扱える“最強能力(チート)”を得た彼が召喚された世界はどうなってしまうのか?
勇者が汚した男をΩにする神、人種を襲う魔物たち。
「召喚と言う名目で拉致監禁したことを後悔させてやるよ」
少年はそう言いながら世界のシステムを変えていく。
総攻め少年の異世界冒険譚が今始まる!性的な意味で
※男性同士の性表現を含みます。
SODOM7日間─異世界性奴隷快楽調教─
槇木 五泉(Maki Izumi)
BL
冴えないサラリーマンが、異世界最高の愛玩奴隷として幸せを掴む話。
第11回BL小説大賞51位を頂きました!!
お礼の「番外編」スタートいたしました。今しばらくお付き合いくださいませ。(本編シナリオは完結済みです)
上司に無視され、後輩たちにいじめられながら、毎日終電までのブラック労働に明け暮れる気弱な会社員・真治32歳。とある寒い夜、思い余ってプラットホームから回送電車に飛び込んだ真治は、大昔に人間界から切り離された堕落と退廃の街、ソドムへと転送されてしまう。
魔族が支配し、全ての人間は魔族に管理される奴隷であるというソドムの街で偶然にも真治を拾ったのは、絶世の美貌を持つ淫魔の青年・ザラキアだった。
異世界からの貴重な迷い人(ワンダラー)である真治は、最高位性奴隷調教師のザラキアに淫乱の素質を見出され、ソドム最高の『最高級愛玩奴隷・シンジ』になるため、調教されることになる。
7日間で性感帯の全てを開発され、立派な性奴隷(セクシズ)として生まれ変わることになった冴えないサラリーマンは、果たしてこの退廃した異世界で、最高の地位と愛と幸福を掴めるのか…?
美貌攻め×平凡受け。調教・異種姦・前立腺責め・尿道責め・ドライオーガズム多イキ等で最後は溺愛イチャラブ含むハピエン。(ラストにほんの軽度の流血描写あり。)
【キャラ設定】
●シンジ 165/56/32
人間。お人好しで出世コースから外れ、童顔と気弱な性格から、後輩からも「新人さん」と陰口を叩かれている。押し付けられた仕事を断れないせいで社畜労働に明け暮れ、思い余って回送電車に身を投げたところソドムに異世界転移した。彼女ナシ童貞。
●ザラキア 195/80/外見年齢25才程度
淫魔。褐色肌で、横に突き出た15センチ位の長い耳と、山羊のようゆるくにカーブした象牙色の角を持ち、藍色の眼に藍色の長髪を後ろで一つに縛っている。絶世の美貌の持ち主。ソドムの街で一番の奴隷調教師。飴と鞭を使い分ける、陽気な性格。
嫁ぎ先は青髭鬼元帥といわれた大公って、なぜに?
猫桜
BL
はた迷惑な先の帝のせいで性別の差なく子が残せるそんな国で成人を前に王家から来栖 淡雪(くるす あわゆき)に縁談が届く。なんと嫁ぎ先は世間から鬼元帥とも青髭公とも言われてる西蓮寺家当主。既に3人の花嫁が行方不明となっており、次は自分が犠牲?誰が犠牲になるもんか!実家から共に西蓮寺家へとやってきた侍従と侍女と力を合わせ、速攻、円満離縁で絶対に生きて帰ってやるっ!!
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?
【完結】【R18BL】異世界転移したオメガ、貴族兄弟に飼われることになりました
ちゃっぷす
BL
Ωである高戸圭吾はある日ストーカーだったβに殺されてしまう。目覚めたそこはαとβしか存在しない異世界だった。Ωの甘い香りに戸惑う無自覚αに圭吾は襲われる。そこへ駆けつけた貴族の兄弟、βエドガー、αスルトに拾われた圭吾は…。
「異世界転移したオメガ、貴族兄弟に飼われることになりました」の本編です。
アカウント移行のため再投稿しました。
ベースそのままに加筆修正入っています。
※イチャラブ、3P、レイプ、♂×♀など、歪んだ性癖爆発してる作品です※
※倫理観など一切なし※
※アホエロ※
※ひたすら頭悪い※
※色気のないセックス描写※
※とんでも展開※
※それでもOKという許容範囲ガバガバの方はどうぞおいでくださいませ※
【圭吾シリーズ】
「異世界転移したオメガ、貴族兄弟に飼われることになりました」(本編)←イマココ
「極上オメガ、前世の恋人2人に今世も溺愛されています」(転生編)
「極上オメガ、いろいろあるけどなんだかんだで毎日楽しく過ごしてます」(イベントストーリー編)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる