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17 ワシ、神子に襲われる。
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ワシが殿下を無視……無視はしとらんの、わざと近寄らなくなってから、神子カズハの機嫌が悪いらしい。なんなんじゃ?カレリオと言う邪魔者がいなくなったんだから、思いっきりいちゃつけば良いのに。
それともなんだ?カレリオが来ないからイベントが起きないのか?
そんな事はワシの知ったこっちゃない!
「何で来ないのさ!」
とうとうクラスにカズハが乗り込んできた。リドリーがカズハの前に立ち塞がる。そりゃそうだ、カズハはすぐ手が出る。
すぐに胸ぐらを掴もうとするし。うーん?カズハ、本当に最近の子か?ちょっと手は早いし喧嘩っ早しい。
あれなのかな?主人公補正で何をやっても許されるって思ってるクチかな?そういうのはお断りしたいのじゃが?
ワタシはこの世界がゲームでもなく、カズハが主人公でもないと知っている。なんせ70年もダグラスの内側から世界を見続けて来たんだから。
確かにBLゲームそっくりだけれども、モブはモブじゃなくて、生活しているし、悪役令息のカレリオだって父がいて、祖父がいて、その上には何代も連なる家系があって……。
全てが神子中心に回っている訳じゃないのだから、勝手されても困ってしまう。
「用がないからですが……」
カレリオが自分の婚約者を奪ったカズハに何の用があると言うのだ。避けるのが当然だろう!
「行きましょう、カレリオ様」
ちょうど昼休みだ。リドリーに庇われながらワシは席を立つ。何のイベントを狙ってるんだ?廊下でぶつかるやつか。階段で押すのはまだ後だったかな?
とにかくハーレムルートを狙うならどんどんイベントをこなさないといけない。それなのに、虐める側のカレリオが来ないから、イベントが発生しなくて焦っている、そんな所だろう。馬鹿馬鹿しい、ワシは殿下との失言と失態を集めるのに忙しいんじゃ。他の攻略キャラなんぞ知らんわ、他所でやれ。
「待て!どこ行くんだよ!」
「っ!カレリオ様」
「うわっ」
一瞬、リドリーが間に合わなかった。カズハはワシの腕を掴もうとし、掴み損ねる。カズハが掴んだのはワシの制服の袖であり、思いっきり引っ張るから
ビリリ……!
良い音がして肩から制服は破れるし、
「ぎゃん!」
ワシは思いっきり尻餅じゃ!痛い!腰がーーーー!
「え?!あっ!」
「カズハ?何をしている」
「あっ!ジェスター……こ、これは!これは、カレリオが、お、ぼ、僕を転ばせて……」
逆なんだ。ゲームのイベントとは逆なんだ。ゲームのではカレリオがカズハの制服を破き、転ばせる。ジェスターを見て思い出したぞ!ワシ、ちょっと遅い!
そして今の状況はワシが床でうめいていて、更に制服の袖は取れかかっている。
「カズハ……お前は立っていて、カレリオは転んでいる……流石にこの状況でお前がカレリオに転ばされたというのは、あまりにおかし過ぎる」
ジェスター・ギニングは苦い顔をする。辺境伯の息子で攻略対象者にしてハーレム要員。ああ、ジェスターのイベントであったな、制服破れるイベント。それだったかぁ~~逆だけど。
「カレリオ様!申し訳ございません!立てますか?!」
「リドリー……無理じゃ……腰を強打した……」
「あちゃあ……!」
助け起こしに来たリドリーにそっと被害状況を報告する。じじぃの軟腰ではあの衝撃に耐え切れなかった。ズキンズキンと頭まで痛みが駆け上る!これはやってしまった奴じゃぁああ!
「失礼します」
そっと抱き上げて貰う、い、いたたた……っ!
「カレリオ……大丈夫なのか……?」
ジェスターが声をかけてくるが、それどころではない。だんだん痛みが酷くなる!早く、早く救護室へーーー!
「た、ただちょっと転んだだけで大袈裟なんだよ!絶対ジェスターの気を引きたくて演技してんだよ!」
カレリオは別にジェスターの気は引きたくはないぞ。そんな事より!
「り、リドリーぃ……」
「あっ!急ぎます。ギニング辺境伯令息、失礼致します」
リドリーは形ばかり頭を下げて、ワシを救護室に運んでくれた。
「い、急いで!でも振動は少なく……」
「無茶です!!今度は浮遊魔法でも覚えろとおっしゃいますか!?」
リドリーならできる気がする。
それともなんだ?カレリオが来ないからイベントが起きないのか?
そんな事はワシの知ったこっちゃない!
「何で来ないのさ!」
とうとうクラスにカズハが乗り込んできた。リドリーがカズハの前に立ち塞がる。そりゃそうだ、カズハはすぐ手が出る。
すぐに胸ぐらを掴もうとするし。うーん?カズハ、本当に最近の子か?ちょっと手は早いし喧嘩っ早しい。
あれなのかな?主人公補正で何をやっても許されるって思ってるクチかな?そういうのはお断りしたいのじゃが?
ワタシはこの世界がゲームでもなく、カズハが主人公でもないと知っている。なんせ70年もダグラスの内側から世界を見続けて来たんだから。
確かにBLゲームそっくりだけれども、モブはモブじゃなくて、生活しているし、悪役令息のカレリオだって父がいて、祖父がいて、その上には何代も連なる家系があって……。
全てが神子中心に回っている訳じゃないのだから、勝手されても困ってしまう。
「用がないからですが……」
カレリオが自分の婚約者を奪ったカズハに何の用があると言うのだ。避けるのが当然だろう!
「行きましょう、カレリオ様」
ちょうど昼休みだ。リドリーに庇われながらワシは席を立つ。何のイベントを狙ってるんだ?廊下でぶつかるやつか。階段で押すのはまだ後だったかな?
とにかくハーレムルートを狙うならどんどんイベントをこなさないといけない。それなのに、虐める側のカレリオが来ないから、イベントが発生しなくて焦っている、そんな所だろう。馬鹿馬鹿しい、ワシは殿下との失言と失態を集めるのに忙しいんじゃ。他の攻略キャラなんぞ知らんわ、他所でやれ。
「待て!どこ行くんだよ!」
「っ!カレリオ様」
「うわっ」
一瞬、リドリーが間に合わなかった。カズハはワシの腕を掴もうとし、掴み損ねる。カズハが掴んだのはワシの制服の袖であり、思いっきり引っ張るから
ビリリ……!
良い音がして肩から制服は破れるし、
「ぎゃん!」
ワシは思いっきり尻餅じゃ!痛い!腰がーーーー!
「え?!あっ!」
「カズハ?何をしている」
「あっ!ジェスター……こ、これは!これは、カレリオが、お、ぼ、僕を転ばせて……」
逆なんだ。ゲームのイベントとは逆なんだ。ゲームのではカレリオがカズハの制服を破き、転ばせる。ジェスターを見て思い出したぞ!ワシ、ちょっと遅い!
そして今の状況はワシが床でうめいていて、更に制服の袖は取れかかっている。
「カズハ……お前は立っていて、カレリオは転んでいる……流石にこの状況でお前がカレリオに転ばされたというのは、あまりにおかし過ぎる」
ジェスター・ギニングは苦い顔をする。辺境伯の息子で攻略対象者にしてハーレム要員。ああ、ジェスターのイベントであったな、制服破れるイベント。それだったかぁ~~逆だけど。
「カレリオ様!申し訳ございません!立てますか?!」
「リドリー……無理じゃ……腰を強打した……」
「あちゃあ……!」
助け起こしに来たリドリーにそっと被害状況を報告する。じじぃの軟腰ではあの衝撃に耐え切れなかった。ズキンズキンと頭まで痛みが駆け上る!これはやってしまった奴じゃぁああ!
「失礼します」
そっと抱き上げて貰う、い、いたたた……っ!
「カレリオ……大丈夫なのか……?」
ジェスターが声をかけてくるが、それどころではない。だんだん痛みが酷くなる!早く、早く救護室へーーー!
「た、ただちょっと転んだだけで大袈裟なんだよ!絶対ジェスターの気を引きたくて演技してんだよ!」
カレリオは別にジェスターの気は引きたくはないぞ。そんな事より!
「り、リドリーぃ……」
「あっ!急ぎます。ギニング辺境伯令息、失礼致します」
リドリーは形ばかり頭を下げて、ワシを救護室に運んでくれた。
「い、急いで!でも振動は少なく……」
「無茶です!!今度は浮遊魔法でも覚えろとおっしゃいますか!?」
リドリーならできる気がする。
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