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4 ワシ、陛下に訴える
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「カナンの遊ぶ金から補填して行く」
「そんなぁ!」
「わしの私財も入れるんだ!誰のせいだ!馬鹿者!」
「こちらの赤字事業は……」
「カットだ!」
「そ、それにいくら金をつぎ込んだと思っておられるのです」
「回収出来ぬものに金を払い続けるな!」
領地から不正に徴収していた税を埋め戻し、土地開墾に充てる。向こうに置いた家令はできる男のようだから、きちんと伸ばしてくれるだろう。あとは……ゲームで何が売れるって言ってたっけな……思い出さねば。鉱山……うっ行きたくはないが、確かレアな石が取れる山があったような。掘ろう。
こちらの多すぎる使用人は辞めさせねばならんから、家の中を見て回ったりしなければ。
「良し、城へ行ってくる」
御目通りを願う旨伝えてあったのがやっと返事が来た。
「わ、私も参ります!」
責任感からか、カレリオが同行を申し出るが
「お前は心労の余り倒れて立ち上がれぬ事になっておるから。青い顔の練習でもしておけ」
と、笑ってやれば「はい」と少し笑う。うん、可愛い!はい!可愛い!なでなで決定!
「カナンの見張りを頼むぞ」
見張っていないとまた儲からないくだらない「儲け話」に金を突っ込むからな!
私は覚悟を決めて馬車に乗り込む。腰と膝が悲鳴を上げる。絶対馬車を改良するんだ、絶対だあああああ!あと王宮の廊下は長い、息が上がるつらい、年寄には堪える……体を鍛えよう、カナンと一緒に朝の体操から始めよう……。
「ダグラス・バンドール前侯爵がお見えです」
私は静かゆっくりに歩き、王の前に跪く。痛い、腰が痛い!膝も痛いぞ!関節がカクカクする!
「王におかれましては……」
「良い、良い。ダグラス。面をあげよ、そちが登城とは珍しいな?何かあったか?」
「我が孫、カレリオと殿下の婚約を解消して頂きたく、お願いに参りました」
王は眉毛を少し上げ、隣にいた王妃は扇で口元を覆った。驚いたようだな……。二人の耳に王子と神子の間柄についてこの時点では何の情報ももたらされていないからなぁ。
「……何故」
「私も孫は可愛く。苦しみ心で泣くカレリオを楽にしてやりたいとお願いに参りました」
深々と頭を下げる。ああ!背中も痛い……!し、身体強化とか魔法あったかな?!
「理由を、我々が納得できる理由があるのだろうな?」
カレリオは婚約者になってから10年、ここで王子妃教育、ひいては王妃教育を受けている。それを無にしろと言っているんだから、納得は出来かねないよな。
「もう、お二方のお耳には入っているかと存じますが、殿下は神子殿と過ごされる事が余りに多く……」
カレリオを蔑ろにし過ぎなのだ。高位貴族ならば、夜会に出なければならない。しかし、近頃殿下はカレリオに新しい服を贈らなくなった。
エスコートも義務としてやっては来るが、一言も喋らず、会場に着くとすぐに神子の隣に行ってしまう。
カレリオは仕方が無しに会場から姿を消し、控室の一つで寂しく時間を潰している。
そして学園では笑い物にされ、婚約者なのにと……。
「神子殿に注意をしても殿下から叱責され……お願い致します、私に出来る事ならば何でも致します故、孫を、カレリオに自由を賜りたく存じます」
床に這いつくばっておでこを擦り付ける。鉱山はいーやーだー!腰もいーたーいー!
「そんなぁ!」
「わしの私財も入れるんだ!誰のせいだ!馬鹿者!」
「こちらの赤字事業は……」
「カットだ!」
「そ、それにいくら金をつぎ込んだと思っておられるのです」
「回収出来ぬものに金を払い続けるな!」
領地から不正に徴収していた税を埋め戻し、土地開墾に充てる。向こうに置いた家令はできる男のようだから、きちんと伸ばしてくれるだろう。あとは……ゲームで何が売れるって言ってたっけな……思い出さねば。鉱山……うっ行きたくはないが、確かレアな石が取れる山があったような。掘ろう。
こちらの多すぎる使用人は辞めさせねばならんから、家の中を見て回ったりしなければ。
「良し、城へ行ってくる」
御目通りを願う旨伝えてあったのがやっと返事が来た。
「わ、私も参ります!」
責任感からか、カレリオが同行を申し出るが
「お前は心労の余り倒れて立ち上がれぬ事になっておるから。青い顔の練習でもしておけ」
と、笑ってやれば「はい」と少し笑う。うん、可愛い!はい!可愛い!なでなで決定!
「カナンの見張りを頼むぞ」
見張っていないとまた儲からないくだらない「儲け話」に金を突っ込むからな!
私は覚悟を決めて馬車に乗り込む。腰と膝が悲鳴を上げる。絶対馬車を改良するんだ、絶対だあああああ!あと王宮の廊下は長い、息が上がるつらい、年寄には堪える……体を鍛えよう、カナンと一緒に朝の体操から始めよう……。
「ダグラス・バンドール前侯爵がお見えです」
私は静かゆっくりに歩き、王の前に跪く。痛い、腰が痛い!膝も痛いぞ!関節がカクカクする!
「王におかれましては……」
「良い、良い。ダグラス。面をあげよ、そちが登城とは珍しいな?何かあったか?」
「我が孫、カレリオと殿下の婚約を解消して頂きたく、お願いに参りました」
王は眉毛を少し上げ、隣にいた王妃は扇で口元を覆った。驚いたようだな……。二人の耳に王子と神子の間柄についてこの時点では何の情報ももたらされていないからなぁ。
「……何故」
「私も孫は可愛く。苦しみ心で泣くカレリオを楽にしてやりたいとお願いに参りました」
深々と頭を下げる。ああ!背中も痛い……!し、身体強化とか魔法あったかな?!
「理由を、我々が納得できる理由があるのだろうな?」
カレリオは婚約者になってから10年、ここで王子妃教育、ひいては王妃教育を受けている。それを無にしろと言っているんだから、納得は出来かねないよな。
「もう、お二方のお耳には入っているかと存じますが、殿下は神子殿と過ごされる事が余りに多く……」
カレリオを蔑ろにし過ぎなのだ。高位貴族ならば、夜会に出なければならない。しかし、近頃殿下はカレリオに新しい服を贈らなくなった。
エスコートも義務としてやっては来るが、一言も喋らず、会場に着くとすぐに神子の隣に行ってしまう。
カレリオは仕方が無しに会場から姿を消し、控室の一つで寂しく時間を潰している。
そして学園では笑い物にされ、婚約者なのにと……。
「神子殿に注意をしても殿下から叱責され……お願い致します、私に出来る事ならば何でも致します故、孫を、カレリオに自由を賜りたく存じます」
床に這いつくばっておでこを擦り付ける。鉱山はいーやーだー!腰もいーたーいー!
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