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聖女たん、召喚される

38 聖女たん、やなこったする

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「さーせんしたぁ!!お願いです!聖都にお越しくださいーーー!」

「やーなこったーぁー」

「せ、聖女たんさまぁ~~」

 私がこのちっこい国に帰って来たのは結構すぐに広まったらしい。人の噂は止めらんないし、口止めもしなかった。

 精霊達もそこそこ元気になり、活気が出始めて、イケオジ王様も財政難に喘ぎながらも真面目に王様してたらしい。貧しいながら良い国になっていた。
 うん!暮らしやすかったんだ!

「聖女♡たん様ー!」

 ナタリー・クラレットのクラレット商会が物も揃えてくれるし、犯罪も貧しさ故の犯罪ばかりで、飯が食えるようになると、激減した。

「ノームちゃんの力を見るのです!」

「ノームちゃん!ノームちゃん!」

 農民の若者にちやほやされて、ノームちゃんはご機嫌なので野菜は美味しいし、

「デュフフフみてくだされ、この一般人の皮を被った新生ウンちゃんを!」

 ウンは普通の人に見える格好になった。

「ボクチャン、イツマデ、ユルキャラナノ?」

「ずっとだ!」

「ぴえん!」

 こんな風にゆるーっと生活していたら、噂が帝国の首都まで届いたらしくユミーカがすっ飛んできた訳だ。

「お願い!お願い致します!聖女♡たん様ぁ!」

「やだよ。なんだ私が男ハーレム作る人だと思われなきゃいけないのさ」

「そ、それはそのう……調子に乗りました……」

 ユミーカはサチコっぽいめちゃくちゃ豪華な服を着て、ものすごい馬車で登場したもんでサチコ感が凄かった。

「知らんし。自分のやったことは自分で責任取りな。さあ、帰った帰った!」

 神殿の前に何十台も馬車止められても困んだけど?

「偽聖女♡たん様だってバレたら殺されてしまいますーーー!」

「自業自得だよね?」

「聖女たん様ぁーー!」

「ユミーカ、しつこいですよ。私は基本的に女性は殴りませんが聖女♡たん様に害なすものなら容赦しませんよ?」

 お、ラティスが出てきた。ホント最近便利で良いんだよねー!

「ら、ラティスの癖に!」

 近頃の贅沢のせいで動きにキレがないどころが、おデブちゃんになりかけているユミーカに、歴戦のラティスが相手になる訳がなかった。

「ホーリー・布団叩きぃー!」

 布団叩きで、バッチーン!とお尻を叩かれて

「ぎゃひーー!」

 泣きながらお尻を押さえてユミーカは退却していった。やるなぁラティス。

「むふ!私、頑張りました~ご褒美くださげぶっ!」

 ふー!ラティスに拳をめり込ませて黙らせる。これ、いつになったらやめるんだ?
 
 全くラティスはいつになったらちゃんとするんだ?
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