【完結】ゲームで死んで救いのないクソったれな世界で魔王になる

鏑木 うりこ

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58 神がそう望んだから

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「もーーあの召喚システムどうなってんのーー!絶対エッチの時に呼ばれるんだけど!」
「絶対って事はないだろ……」
「あ、それでね、それでね!腹が立ってさトールをぬっぽりハメたまんまお応えしたらトールも一緒に行ってさ!いやあ笑った笑った」
「ひいっ公開プレイ!」

 魔王を召喚したら勇者もくっ付いてきたら……お得かな?

「お楽しみの所ごめんなさい!またよびます!って返してくれた~アハハ」
「また呼ぶんだ」
「呼ばれるらしいよ~~!でね、でね!俺ら、現実で結構人気みたい!魔王の存在は結構シークレットで、やっぱアッシュは最強でしょ?こないだのスクショもコラだとか言われてるみたいだよ」
「結構カジュアルなゲームなんだな……良かった」
「それな!」

 結構な頻度でコノハは遊びに来る。もちろんトールと一緒にだ。新しい神がそう望んでそういうゲームにしたせいか世界自体も前より明るく、楽しい感じに変わっている。

「コノハ×アッシュがアリらしいよ!知ってる、薄い本! 」
「?俺はもう同族喰いEX使えないけど? 」

 なんだかコノハが大爆笑して帰って行った。


「俺には救いがないけれど、俺らみたいのがこれ以上増えないなら良いな」
「今んとこ増えてる様子はないよなぁあぶれてた勇者もプレイヤー?達と協力して過ごしてる」
「あと、謎の敵ね。神様は俺達みたいな前のゲームからいる奴らを悪者にしたくなかったみたい……ありがたいな」
「あー異形の神、だっけ」
「うん。俺達魔王はプレイヤーの味方ポジに収まってる」

 この魔王の居住区で俺はスクルドと今の状況を話し合っている。こういう話は居住区みたいな特殊な場所から出ると、途端に言葉が詰まって出てこなくなる。
 神が世界観を崩さないように何かしてるんだろうな。

「アッシュちゃんはそれで良いの?」

 スクルドは俺の首筋に顔を埋めて呟くように聞いて来る。俺達の距離は相変わらずとても近い。ウルズを失って寂しいスクルドが俺を手放さないって思ってたんだけど、意外と俺の方が寂しいのかもしれない。

「……帰れないけれど、現実との繋がりがあるような気がして少し嬉しいんだ。変かな」
「わかんね、俺は……アッシュちゃんがいてくれればいい」
「はは……そっか」

 俺達は長い事かけて互いに依存しあう存在になって行ったんだろうな。

「お前らが俺を殺したからなぁ、その罪かもよ」

 現実の俺は間違いなく死に、精神なのか魂なのか、それだけがこの世界に取り残され、このでたらめな体に入っている。とても都合の良い作り物の魔王の中に閉じ込められている。
 きっとまだ赦される時ではないんだろうな。





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