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49 いい趣味してるよ
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ロキは俺に女装をさせるのが好きだ。どこかのお姫様のドレスをひっぺがしてきて俺に着ろという。
「いや、無理だ。どうやって着ればいいか分からん」
「あーそれもそっか。メイドさんも連れて来なきゃだねぇ」
「一人で着れる服にしてくれ」
「えー!ひらひらでふわふわの服を着てよ! 」
またどこかの国からメイドや仕立て屋を攫ってきては俺に女装をさせる。
「いろんな色のドレスを着てよ」
「構わないが」
泣きながら帰してくれという人達を俺は冷めた目で見るしかない。
「あ、あなたが魔王なんでしょ?!角があるもの。勇者をなんとかしてください! 」
「無理だな、ロキは俺の勇者じゃない……俺もお前らと一緒で攫われてここにきてるんだ。お前らと何にも変わらんよ……あと忠告。俺に話しかけるな、ロキに睨まれるぞ」
「な、なんで……」
俺に話しかけたメイドは次の日には姿が見えなくやっていた。
「アッシュ、浮気しないでよ」
「何のことか分からないが」
あのメイドがどうなったかは知らないが詮索しない方が良いだろう。こいつらは変な所でこだわるから、付き合ってられない。
「もー!お仕置きしちゃうよ」
「訳の分からないことで痛いことをされるのは嫌だな」
「むぅ」
メイドと喋ったことを浮気といっているんだろうが浮気ではない。
「まあ、良いか」
「ん」
いちいち着せていちいち脱がす、意味が分からない。これならウルズとかスクルドみたいに頭からすっぽりかぶるワンピースみたいの一枚だけしかくれない方が楽だ。「どうせ脱がすんだから着せるだけ面倒だろ」だそうだが、まあ納得はできる。
「かーわいーなーアッシュは」
「お前、ホント趣味が悪いね」
「えー?そっかなぁ~良い趣味してると思うんだけど?」
何に使うか分からないスケスケの布やらどことどこか結んであるか分からない靴下。細くないウエストを締め上げる防具みたいなコルセット。かかとが刺さりそうな靴……は履けないな。ロキは予告通り俺の左足を折りやがった。関節じゃなかっただけ優しいのかもしれないけれど、痛くてゆっくりしか歩けないんだ。
「まあ……好きにしろよ」
「もちろん、好きにする! 」
ロキは俺が着せられているドレスの裾から手を突っ込んで何やらしているけど、勝手にやらせておけばいいわけじゃない。たまに反応してやめろとか嫌だとか言わないと不機嫌になる。まったく面倒くさいが生殺与奪の権はロキが握っているから、なんとか機嫌を損ねないようにしないといけない。お前さっき浮気って言ったけどさ、俺はお前のことを好きになったことがないからね?浮気なんてしようもないんだよ。
俺がロキに頼んだことはたった一つ。セリカをロッカーから出してベッドに横たわらせておいてくれって事だけだ。だから今、セリカはあの少女趣味のベッドで横になっている。ただ、目は開けたまま天井を見つめているだけだけれど。セリカは本当に心を殺してしまったようだった。
「いや、無理だ。どうやって着ればいいか分からん」
「あーそれもそっか。メイドさんも連れて来なきゃだねぇ」
「一人で着れる服にしてくれ」
「えー!ひらひらでふわふわの服を着てよ! 」
またどこかの国からメイドや仕立て屋を攫ってきては俺に女装をさせる。
「いろんな色のドレスを着てよ」
「構わないが」
泣きながら帰してくれという人達を俺は冷めた目で見るしかない。
「あ、あなたが魔王なんでしょ?!角があるもの。勇者をなんとかしてください! 」
「無理だな、ロキは俺の勇者じゃない……俺もお前らと一緒で攫われてここにきてるんだ。お前らと何にも変わらんよ……あと忠告。俺に話しかけるな、ロキに睨まれるぞ」
「な、なんで……」
俺に話しかけたメイドは次の日には姿が見えなくやっていた。
「アッシュ、浮気しないでよ」
「何のことか分からないが」
あのメイドがどうなったかは知らないが詮索しない方が良いだろう。こいつらは変な所でこだわるから、付き合ってられない。
「もー!お仕置きしちゃうよ」
「訳の分からないことで痛いことをされるのは嫌だな」
「むぅ」
メイドと喋ったことを浮気といっているんだろうが浮気ではない。
「まあ、良いか」
「ん」
いちいち着せていちいち脱がす、意味が分からない。これならウルズとかスクルドみたいに頭からすっぽりかぶるワンピースみたいの一枚だけしかくれない方が楽だ。「どうせ脱がすんだから着せるだけ面倒だろ」だそうだが、まあ納得はできる。
「かーわいーなーアッシュは」
「お前、ホント趣味が悪いね」
「えー?そっかなぁ~良い趣味してると思うんだけど?」
何に使うか分からないスケスケの布やらどことどこか結んであるか分からない靴下。細くないウエストを締め上げる防具みたいなコルセット。かかとが刺さりそうな靴……は履けないな。ロキは予告通り俺の左足を折りやがった。関節じゃなかっただけ優しいのかもしれないけれど、痛くてゆっくりしか歩けないんだ。
「まあ……好きにしろよ」
「もちろん、好きにする! 」
ロキは俺が着せられているドレスの裾から手を突っ込んで何やらしているけど、勝手にやらせておけばいいわけじゃない。たまに反応してやめろとか嫌だとか言わないと不機嫌になる。まったく面倒くさいが生殺与奪の権はロキが握っているから、なんとか機嫌を損ねないようにしないといけない。お前さっき浮気って言ったけどさ、俺はお前のことを好きになったことがないからね?浮気なんてしようもないんだよ。
俺がロキに頼んだことはたった一つ。セリカをロッカーから出してベッドに横たわらせておいてくれって事だけだ。だから今、セリカはあの少女趣味のベッドで横になっている。ただ、目は開けたまま天井を見つめているだけだけれど。セリカは本当に心を殺してしまったようだった。
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