上 下
38 / 59

38 いらっしゃいませ。

しおりを挟む
「痛い痛いーーーーー!!」
「意外とうめぇんだな」
「羽がもしゃもしゃして喰い辛い」
「う、うう……うう、酷い……せめて……せめて」

 こいつらがサドいのを忘れていたわけじゃないけど、これはない……。

「黙れ、アッシュちゃんから提案してきたんだろ」
「でも、だって……あーーっ!!」

 ぶちっと音がして、細い骨が引きちぎられる。羽から痛みが伝わって悲鳴が上がる。痛い痛い痛い!!

「いー声。喰われながらヤる?」
「むり、むりぃ……お願い、せめて……せめて切り落として……」
「やーだよ」
「いやああああっ!!」

 右の羽はウルズに左の羽はスクルドに喰われている。背中に生えたままの、羽を。そのまま。

「あ、ああ……」
「太そうなんだけど、意外と脆い。軽くするために中が空だから?」
「あうっ……あ……」

 痛みで気を失ってもすぐに起こされる。

「へんたい……いじわる、すぎ……くそやろう……」
「あっは、可哀想ねえ。限界まで痛い事されてんのにさあ」
「マジで……人選、ミスった……あーっいたいいいいい!」

 何を口走ったか、何を約束させられたか覚えていないけれど、何か言わされて何か約束して……やっときを失って、起きたら微妙に背中にまだ羽根がある。

「微妙に残してんじゃねえよ……」
「起きてるときに最後まで齧り切ってやろうと思って」
「やだああああ!鬼ぃいいいい!!」

 俺は空を飛べなくなって、ウルドとスクルドは堕天した……人間の枠をはみ出したんだ。いらっしゃい、この悪夢みたいな世界へ。


「悪くねぇな」
「ホントにね」
「あっ!やぁ……っむぐぅっ」

 苦しい、でも気持ち良い……頭がおかしくなりそ……いや、もうだいぶ前から頭はおかしかったんだ。だから良いか?

「仕方ないだろーアッシュちゃん、穴が一個しかないんだから」
「んーっううっん」
「んー?お口も良いけど、きゃあきゃあ騒いでたほうが楽しいかなぁ?」
「んあ……あ、あぅう」

 ぶっといスクルドのアレを抜いてもらえた。苦しかったから助かる……。死なないのに苦しむなんてどういうことよっていつも思う。

「良かったねぇアッシュちゃん」
「あっ!あっ!イ、イいっ、っん」
「あーもう良いきそうじゃん?早く次変わってぇ。やっぱりナカに出さないと盛り上がらないっしょー」
「アッシュちゃんは中出し以外イヤだもんねぇ?」
「あー、しゅき、ナカにぃびゅくびゅくするの好きぃーーちょおだいーー!」

 誰かに何かを強要されない生活がどんなものだっか思い出せない。それでもまだ俺にはやることがある気がするんだ。

しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

俺の体に無数の噛み跡。何度も言うが俺はαだからな?!いくら噛んでも、番にはなれないんだぜ?!

BL
背も小さくて、オメガのようにフェロモンを振りまいてしまうアルファの睟。そんな特異体質のせいで、馬鹿なアルファに体を噛まれまくるある日、クラス委員の落合が………!!

被虐趣味のオメガはドSなアルファ様にいじめられたい。

かとらり。
BL
 セシリオ・ド・ジューンはこの国で一番尊いとされる公爵家の末っ子だ。  オメガなのもあり、蝶よ花よと育てられ、何不自由なく育ったセシリオには悩みがあった。  それは……重度の被虐趣味だ。  虐げられたい、手ひどく抱かれたい…そう思うのに、自分の身分が高いのといつのまにかついてしまった高潔なイメージのせいで、被虐心を満たすことができない。  だれか、だれか僕を虐げてくれるドSはいないの…?  そう悩んでいたある日、セシリオは学舎の隅で見つけてしまった。  ご主人様と呼ぶべき、最高のドSを…

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【完結】婚約破棄された僕はギルドのドSリーダー様に溺愛されています

八神紫音
BL
 魔道士はひ弱そうだからいらない。  そういう理由で国の姫から婚約破棄されて追放された僕は、隣国のギルドの町へとたどり着く。  そこでドSなギルドリーダー様に拾われて、  ギルドのみんなに可愛いとちやほやされることに……。

ある日、人気俳優の弟になりました。2

樹 ゆき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。穏やかで真面目で王子様のような人……と噂の直柾は「俺の命は、君のものだよ」と蕩けるような笑顔で言い出し、大学の先輩である隆晴も優斗を好きだと言い出して……。 平凡に生きたい(のに無理だった)19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の、更に溺愛生活が始まる――。

転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!

音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに! え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!! 調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。

光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。

みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。 生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。 何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。

セカンドライフ!

みなみ ゆうき
BL
主人公 光希《みつき》(高1)は恵まれた容姿で常に女の子に囲まれる生活を送っていた。 来るもの拒まず去るもの追わずというスタンスでリア充を満喫しているつもりだったのだが、 ある日、それまで自分で認識していた自分というものが全て崩れ去る出来事が。 全てに嫌気がさし、引きこもりになろうと考えた光希だったが、あえなく断念。 従兄弟が理事長を務める山奥の全寮制男子校で今までの自分を全て捨て、修行僧のような生活を送ることを決意する。 下半身ゆるめ、気紛れ、自己中、ちょっとナルシストな主人公が今までと全く違う自分になって地味で真面目なセカンドライフを送ろうと奮闘するが、色んな意味で目を付けられトラブルになっていく話。 2019/7/26 本編完結。 番外編も投入予定。 ムーンライトノベルズ様にも同時投稿。

処理中です...