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26 魔王はきれいな花なのかも

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「ベルナデット!貴様ーーっ!」
「冤罪ですわ!わたくしの預かり知らぬことでございます!」
「この期に及んでまだいうかーーっ」

 マイクとジャックは偶然の一致ながら、ベルナデットの縁者の家の出身だった。

「そこまでして……そこまでして、アッシュを私から引き離したいのか! 」
「わたくしは何もしておりません! 」
「認めることすらしないのだな。アッシュとお前、どちらが魔王だか分からぬっ」

 カグラス様とベルナデットお嬢さんは修復出来ないほど溝が広がったけれど、二人の婚約は続いて行く。それが政略結婚だもんね。

「カークス!カークス俺、何もしてない、本当だよ、信じて」
「分かってる。一部の奴らがアッシュが騎士を誘ったとか言ってるけどそんなのは嘘だって分かってる」
「カークス……ありがとう、俺を信じてくれて。カークスが信じてくれるなら、俺、誰かに何か言われても我慢できるよ」
「……何か、言われていんだな?」
「だ、大丈夫だから!本当に、大丈夫だから、ね?」

 カークスは俺をぎゅっと強く強く抱き締める。

「私の……私の可愛いアッシュ。私の、魔王ーー」
「カークス……」

 魔王は花なんだ。美しくてとても良い匂いのする大輪の薔薇なんだ。自然界にはあり得ない、華やかな見た目と芳しい香りを纏った魅惑的な存在。
 それが慎ましく、毒も棘もない姿で野に揺れていたら、人は思わず手を伸ばしてしまうんだ。遠くから見ているだけにすればいいものを、近寄って香りを楽しみ、手折ってしまいたくなる衝動に駆られる。それが魔王、やはり近くに置いては危険な存在……ま、俺は知らねーけど。

「カークス、俺のこと嫌いにならないで」
「嫌う訳ないだろ!それより体は平気かい? 」
「平気、だけど、大丈夫かどうか確認、してくれない?」

 ちょっと悪戯気味に笑えばカークスもニヤリと笑った。

「どこまで確認してすれば良いの?」
「もちろん、奥の奥まで……」

 腹の奥がきゅっと啼いた気がする。

「喜んで」

 もうちょっと奥までついて欲しいけれど、イきすぎるのも大変だからこれくらいにしておく。でも少しウルズとスクルドの太くて長くて凶暴なアレを思い出して久しぶりに二人に会いたくなった。

 勇者と魔王の関係も歪な物が多い。どちらともなく依存し合ったりすることが 多いみたいだ。コノハとトールみたいに馴れ合う奴らも多い。
 何せ魔王の処女をぶち抜くのは大抵勇者なんだから。そんな俺だって初めての男はウルズだったし。最初の男は何かと記憶に残り易い。

「ねぇ、カークス。「ロスト・ノルン」呼んでくれない?」

 少し渋い顔をしたけれど、カグラス殿下は了承した。だってさ、急遽殿下とベルナデットお嬢さんの結婚式が決まったんだもんね。


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