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20 頭の中身はだいじょーぶ?
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「アッシュ……これ、受け取って欲しい」
「わあ……綺麗だ。紫の宝石?すごい指輪だあ」
「君の目の色なんだ、一目見た瞬間に君に絶対似合うって」
「すげぇ……俺、宝石なんてプレゼントされたの初めて!感動したぁ……あ、そうだ、ねえねえ、カークスお願いがあるんだ……」
「そんなものでいいの?」って言われたけど、それがいいって答えたら次の日にカークスは俺の頼んだ手帳と鉛筆を持って来てくれた。あったんだね、鉛筆。
「俺ね、字が書けないんだけどさ、数字はかけるの。昨日の日付と……貰った指輪の絵を描いておいて……えへへ、記念だよ」
「アッシュは絵が上手いなあ。指輪の特徴を良くとらえてる!」
「だって嬉しかったから」
「ふふ、じゃあ次は……」
俺はカークスから何か貰うたびに全部メモした。高い物は図解入りでね。そしてその手帳は誰にも触らせないように、隠して置く……ああ、早く罠にはまらないかなぁ。
「ご飯」
カークスがいるうちは慇懃に頭を下げるメイド達。いなくなると横柄横柄。おっとスープにハエが入ってるじゃん。余裕余裕。
「てぇか、生きてる虫じゃん……ふふ」
スプーンですくって床に落として、踏みつぶす。たかが虫、でもこれも経験値になるんだよね、なにかを殺す、魔王の本懐だもの。ボーナスまでついてくる。俺、しーらね。
「ねえ、昼間さ、お庭くらい散歩して良いよね? 」
「勿論だとも。あーでも……」
「敷地からは出ないよ、約束する」
「うん」
カグラスも魔王ってもんを理解してないんだろうな。庭だぜ?しかも俺は昼間ぼっちだ。誰も好き好んでそばに寄ってこない。もちろん、カグラスは政務に励んでいる。
「ダンゴムシちゃーん、うふふ」
いるんだよねーいっぱい。俺にとっては異世界の虫で、本当にダンゴムシかどうかしらないけど、虫だ。いろんなのいるしー。
「えい!くすくす」
あーメイドの目が冷たーい、でも視線だけで魔王は死なない、ダメージも受けないんだよ、知らないみたいだな。可哀想に。おっと頭はまともだぜ……いや、どうかな、まともかなあ?
俺がダンゴムシ相手に虐殺を行っていると、声がかかった。
「お前が魔王アッシュね」
知らない女性が、後ろに守護騎士らしき人を四人も引き連れて立っていた。ドレスの様子、年齢から見てカグラスの嫁か婚約者って所かな?でも俺は紹介されたことは一度もない人だな。
「あんた、誰?」
「貴様!無礼な!!」
やっぱり怒ったな、貴族なんだろうなぁ。でも怒られる理由は一欠片もない、知ったこっちゃねーし。
「だから誰なの?」
「……魔王って本当に角があるのね」
「ご覧の通り」
俺には大きな巻き角が付いている。とても立派で……咥えさせられる時持つのに便利だって人気だよ、最低だな。
「わたくしはベルナデット・オーデリア。オーデリア公爵家の長女でカグラス様の婚約者です」
「なるほど。俺はアッシュ。魔王アッシュ、それ以上でもそれ以下でもない」
「……カグラス様から手を引きなさい」
「カグラス様に俺から手を引くように言ってくれ」
「……無礼な」
「俺がこの状態でカグラス様に意見できる訳ないだろ」
ベルナデットお嬢様はもう一度無礼な、と言おうとして唇を噛んだ。そして何も言わずに踵を返して帰って行った。
「ふうん?」
わからんな、なんで魔王に関わって来るのかな?
「わあ……綺麗だ。紫の宝石?すごい指輪だあ」
「君の目の色なんだ、一目見た瞬間に君に絶対似合うって」
「すげぇ……俺、宝石なんてプレゼントされたの初めて!感動したぁ……あ、そうだ、ねえねえ、カークスお願いがあるんだ……」
「そんなものでいいの?」って言われたけど、それがいいって答えたら次の日にカークスは俺の頼んだ手帳と鉛筆を持って来てくれた。あったんだね、鉛筆。
「俺ね、字が書けないんだけどさ、数字はかけるの。昨日の日付と……貰った指輪の絵を描いておいて……えへへ、記念だよ」
「アッシュは絵が上手いなあ。指輪の特徴を良くとらえてる!」
「だって嬉しかったから」
「ふふ、じゃあ次は……」
俺はカークスから何か貰うたびに全部メモした。高い物は図解入りでね。そしてその手帳は誰にも触らせないように、隠して置く……ああ、早く罠にはまらないかなぁ。
「ご飯」
カークスがいるうちは慇懃に頭を下げるメイド達。いなくなると横柄横柄。おっとスープにハエが入ってるじゃん。余裕余裕。
「てぇか、生きてる虫じゃん……ふふ」
スプーンですくって床に落として、踏みつぶす。たかが虫、でもこれも経験値になるんだよね、なにかを殺す、魔王の本懐だもの。ボーナスまでついてくる。俺、しーらね。
「ねえ、昼間さ、お庭くらい散歩して良いよね? 」
「勿論だとも。あーでも……」
「敷地からは出ないよ、約束する」
「うん」
カグラスも魔王ってもんを理解してないんだろうな。庭だぜ?しかも俺は昼間ぼっちだ。誰も好き好んでそばに寄ってこない。もちろん、カグラスは政務に励んでいる。
「ダンゴムシちゃーん、うふふ」
いるんだよねーいっぱい。俺にとっては異世界の虫で、本当にダンゴムシかどうかしらないけど、虫だ。いろんなのいるしー。
「えい!くすくす」
あーメイドの目が冷たーい、でも視線だけで魔王は死なない、ダメージも受けないんだよ、知らないみたいだな。可哀想に。おっと頭はまともだぜ……いや、どうかな、まともかなあ?
俺がダンゴムシ相手に虐殺を行っていると、声がかかった。
「お前が魔王アッシュね」
知らない女性が、後ろに守護騎士らしき人を四人も引き連れて立っていた。ドレスの様子、年齢から見てカグラスの嫁か婚約者って所かな?でも俺は紹介されたことは一度もない人だな。
「あんた、誰?」
「貴様!無礼な!!」
やっぱり怒ったな、貴族なんだろうなぁ。でも怒られる理由は一欠片もない、知ったこっちゃねーし。
「だから誰なの?」
「……魔王って本当に角があるのね」
「ご覧の通り」
俺には大きな巻き角が付いている。とても立派で……咥えさせられる時持つのに便利だって人気だよ、最低だな。
「わたくしはベルナデット・オーデリア。オーデリア公爵家の長女でカグラス様の婚約者です」
「なるほど。俺はアッシュ。魔王アッシュ、それ以上でもそれ以下でもない」
「……カグラス様から手を引きなさい」
「カグラス様に俺から手を引くように言ってくれ」
「……無礼な」
「俺がこの状態でカグラス様に意見できる訳ないだろ」
ベルナデットお嬢様はもう一度無礼な、と言おうとして唇を噛んだ。そして何も言わずに踵を返して帰って行った。
「ふうん?」
わからんな、なんで魔王に関わって来るのかな?
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