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15 誰にだって
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「ウルぅ」
「無理だ」
「スクルドぉ」
「駄目だ」
「ひーん」
「泣き真似がマジでうめぇでやんの」
「ちぇ」
たまに、ウルズとスクルドは俺の様子をみにくる。多分暇なんだと思う。
「いーじゃん、連れてってよー」
「はあ?おめーが「藤の宮」から出んのは大金で買われた時だっつーの」
「そこをなんとかー」
「リーレンタオレンに言え」
「やだーシャチョー怖いもーん」
なんせ新規の魔王が来ない。だから、勇者は暇なのだ。勇者何やっても暮らしてんだろ?魔王達は奴隷業に精を出さされているんだけど、魔物狩りとか?魔物っているのかな?あ、いるかそう言えば。
「魔物だって……こんだけ勇者が溢れてりゃすぐ片付けられちまう。勇者なんて今は厄介者だよ」
そう寂しそうに溢していた奴を見た事がある。そりゃそうだろうな、魔王なんてもんを狩る力を持った勇者が、平和な世の中で浮かない訳がない。
けど勇者の進退なんて知ったこっちゃねー。それより自分らで手一杯だ。
「おやぁ?アッシュ、駄目だよぉ?自分を狩った勇者様には優しくしてもらわないとぉ~、ねぇ、トール?」
「コノハは良い子だなぁ、「藤の宮」から出してやろうか?」
「もおっ、ぬか喜びさせないでよ。トールが金ないの知ってるし……ホントなら、すげぇ嬉しいけど……」
「コノハ……」
「トール……」
真っ赤な格子越しに勇者トールと手を握り合うコノハ。自分を狩った勇者を魔王は嫌うのは当たり前なんだけど、コノハみたいに勇者とラブラブしているのは一定数いる。
何故なら自分を狩った勇者は魔王洞窟の場所を知っているからだ。
もし、勇者トールがコノハの魔王洞窟へ魔物を持ち込んで始末だとしよう。するとコノハに経験値が貯まる。貯まればコノハはレベルが上げられる。レベルが上がれば強くなる。そして魔王はほぼ不老不死。何らかの理由で勇者より魔王が強くなれば?
現実に帰ることはできなくても奴隷みたいな生活からは抜け出せる。少しでもましな生活に近づける、そんな夢を見るんだ。夢だろうけどね。
「コノハの勇者は良いなーねーウルズ、スクルド。俺を買ってよー可愛い嫁になるからー」
「えー毎日エッチし放題?」
「いーよーするするー」
「いっぱい咥えてくれる?」
「もちろん、ぱくぱくするー」
ま、ねぇけど。俺はどうにかしてあの洞窟に行きたいんだ。その為なら何にだって尻を振ってやる。
「アッシュ、遊んでないで体を洗ってこい。今日は上客だぞ!」
「へーい。ウルズ、スクルド、嫁の件考えておいてくれー。俺、マジでお前らなら良いと思ってるー」
「マジかよ」
「マジだよー」
「藤の宮」からだしてくれて、洞窟に連れてってくれるなら、なんでも、な。
「無理だ」
「スクルドぉ」
「駄目だ」
「ひーん」
「泣き真似がマジでうめぇでやんの」
「ちぇ」
たまに、ウルズとスクルドは俺の様子をみにくる。多分暇なんだと思う。
「いーじゃん、連れてってよー」
「はあ?おめーが「藤の宮」から出んのは大金で買われた時だっつーの」
「そこをなんとかー」
「リーレンタオレンに言え」
「やだーシャチョー怖いもーん」
なんせ新規の魔王が来ない。だから、勇者は暇なのだ。勇者何やっても暮らしてんだろ?魔王達は奴隷業に精を出さされているんだけど、魔物狩りとか?魔物っているのかな?あ、いるかそう言えば。
「魔物だって……こんだけ勇者が溢れてりゃすぐ片付けられちまう。勇者なんて今は厄介者だよ」
そう寂しそうに溢していた奴を見た事がある。そりゃそうだろうな、魔王なんてもんを狩る力を持った勇者が、平和な世の中で浮かない訳がない。
けど勇者の進退なんて知ったこっちゃねー。それより自分らで手一杯だ。
「おやぁ?アッシュ、駄目だよぉ?自分を狩った勇者様には優しくしてもらわないとぉ~、ねぇ、トール?」
「コノハは良い子だなぁ、「藤の宮」から出してやろうか?」
「もおっ、ぬか喜びさせないでよ。トールが金ないの知ってるし……ホントなら、すげぇ嬉しいけど……」
「コノハ……」
「トール……」
真っ赤な格子越しに勇者トールと手を握り合うコノハ。自分を狩った勇者を魔王は嫌うのは当たり前なんだけど、コノハみたいに勇者とラブラブしているのは一定数いる。
何故なら自分を狩った勇者は魔王洞窟の場所を知っているからだ。
もし、勇者トールがコノハの魔王洞窟へ魔物を持ち込んで始末だとしよう。するとコノハに経験値が貯まる。貯まればコノハはレベルが上げられる。レベルが上がれば強くなる。そして魔王はほぼ不老不死。何らかの理由で勇者より魔王が強くなれば?
現実に帰ることはできなくても奴隷みたいな生活からは抜け出せる。少しでもましな生活に近づける、そんな夢を見るんだ。夢だろうけどね。
「コノハの勇者は良いなーねーウルズ、スクルド。俺を買ってよー可愛い嫁になるからー」
「えー毎日エッチし放題?」
「いーよーするするー」
「いっぱい咥えてくれる?」
「もちろん、ぱくぱくするー」
ま、ねぇけど。俺はどうにかしてあの洞窟に行きたいんだ。その為なら何にだって尻を振ってやる。
「アッシュ、遊んでないで体を洗ってこい。今日は上客だぞ!」
「へーい。ウルズ、スクルド、嫁の件考えておいてくれー。俺、マジでお前らなら良いと思ってるー」
「マジかよ」
「マジだよー」
「藤の宮」からだしてくれて、洞窟に連れてってくれるなら、なんでも、な。
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