【完結】ゲームで死んで救いのないクソったれな世界で魔王になる

1 禁止ゲーム

「ふ、ふふ……！」

　俺は中島遊馬。会社員。生きている意味はゲームが好きだから。ゲームで課金するために働いて、ゲームするためだけに生きている……それしか楽しみがないって言われてもしょうがないが、人に誇れる生き方でないことは十分承知の上だ。

「見つけたぞ……３年前に発禁された「メイキング・ザ・デビル～魔王になって世界を破滅へ～」のＤＬページ……くっくっく……伝説のハマりＶＲゲー……滅茶苦茶楽しみ」

　俺はボーナスをつぎ込んで作り上げたゲーミングＰＣに隠された名作ゲームをダウンロードしていく。このゲームは死人が多く出た事で有名になってしまったＶＲゲームだ。ハマりすぎてゲーム世界から戻ってこれなくなって、たくさんの人が餓死や廃人になった。それなのにやり続ける人が多く、発売禁止になり、世界中から削除されたのに……こうして闇ゲームサイトの一角に隠されていたりするのだ。

「おっと終わった……さっすが」

　快適にゲームを楽しむために結構な金額で組み上げたＰＣにＶＲヘッドセットを装着して、ダイブする。汚いベッドに寝転がり、ゲームの世界にログインする……まずは割と普通のゲーム画面。ステータスから名前から……。


　そしてアバターの俺が降り立ったのが洞窟の中。

「ふふ、ここを魔王城に育てていくんだな」

　この世界には魔物がいる。そして勇者がいる。魔物は誰かを倒すだろう、人間かもしれない動物かもしれない。倒すと経験値が入る。しかし魔王配下の魔物が何かを倒すと、その魔物にも経験値は入るが、同額が魔王にも振り込まれるのだ。
　こうやって自分と自分の洞窟をカスタマイズし続け、大きな魔王城を建て、この世界のすべてを破滅させていくそれがこのメイキング・ザ・デビル、略してメイク魔王なのだ！

「手下は……スライムしかいねー！だが！ふへへ……」

　そこの蛇の道を行く俺、事前に用意してあったバグコードを読み込ませてあるんだ。ただのスライムがなんとレベル100のキングアシッドスライムになっている……くくく、俺強い、俺チート！！

「フーハハー！人類め、滅亡させてやるー！」

　いい感じで暴れ回り、これからって時に警告音がなって、ゲームが強制終了してしまった。くそっ！

　現実で起き上がり、パソコンを確認すると長時間連続ダイブできないように安全プログラムが組まれていることにすぐ気が付いた。

「これじゃあ、ノれないじゃん……安全解除のプログラム……あるな、くくく」

　当然違法だ、いや、そもそも発売禁止ゲームで遊んでるんだから違法なんだよ。構う事はない、楽しくゲームをしたいんだからな！

「お、色々あるんだな……こっちも便利そう。お、それも良いな……」

　俺は色々なプログラムやコードを入れていく。ゲームで死ぬなんてよっぽど運が悪くなきゃ死なないっての。だってゲームなんだからな。