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栗原伊織、異世界転生する
23 ジェット様
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「私の名前は、ジェット。ジェット・プロアース・キンチオール。騎士団の副団長を拝命しておりましたが、この度神託と、魔を滅ぼす力を賜りました。イセリア殿、この地を脅かす魔王を倒す為、力をお貸しください」
「ジェット様、私に出来る事が有れば何なりと」
次の日にあっさり勇者がロンドダール家にやって来た。
「キンチオール公爵家の次男のジェット様ですね。イセリアの事、よろしくお願いします」
「命にかえましても」
ジェットさんは公爵家の出で、腕利きの27歳。国家の剣として騎士団に身を置き、奥様はいないらしい。
おー!注文通りのイケメン落ち着き系!これならオウヤとアイリスみたいにぐいぐい来たりしない!
それにしてもキンチョ◯ルはなくない?ちょっとジェットさんが可哀想なんだけど。
「イセリア殿、早速で申し訳ないのですが、しばらく私と共に王都を出て生活して頂けませんか?」
「ええ、分かりました」
俺が狙われてるんだから、俺がいると王都が襲われちゃう。うん、そうだ仕方がない。
「王都から出て少し東の丘陵地バールサーンに罠を仕掛けてあります。そこで魔王軍を待ち伏せします」
燻煙剤かな……?煙が凄そうだな……。俺は家族にしばしの別れを告げ、バールサーンの丘にやって来た。
「おお!巫女姫様だ!」
「なんとお美しい!」
「皆、巫女姫様を守って差し上げようぞ!」
巫女じゃねーし?姫じゃねーし??て言うか男だし?!反論して指揮を下げるのも阿呆らしいから、ニコニコと笑って手を振っておいた。
燻煙剤の丘には、簡易とはいえしっかりしたテントが張られており、中はかなり広かった。そして……
「な、何故こんなところにかなり豪華な寝台が置かれているのでしょう……」
「もしや、巫女姫様は神託をお聞きになっておられぬのですか……?」
少し慌てた様子でジェット様はとんでもない神託の内容を教えてくれた。
「つ、つまりは……勇者であられるジェット様のお力は、わ、私と……その、致さねば、完全には覚醒しないと……」
「すみませぬ、巫女姫様もご承知の上かと思っておりました……」
知らねえし!フメ!やらかしやがったなー!?俺がなんとかアイリスオーヤ……げふん!オウヤから逃げ出したから、今度は逃げ道をふさいできやがった!?やめろ!てめー!後で覚えてろよ!お前のビールだけぬるいの出してやる!
にしても、ジェット様も申し訳なさそうだし、俺も非常に申し訳ない……。
「いえ、あの……その。ジェット様も……その、心に決めた方がおられるでしょうし、あの、私のような者と……その」
やめろ、ホントマジやめて!
「いえ!あの、私にはそのような者はおりません!巫女姫様……イセリア様のようにお美しい方と閨を共に出来るのであれば……何を投げ打っても、光栄でございますれば……」
「えっ?」
な、なに!?ジェット様やる気なの!?いや確かにジェット様は結構、かなりかっこいいし、なんか優しそうだし、とっても優良物件っぽいけど、でもさ、初めて会ったやつと普通出来る?!無理無理!絶対無理だよね!しかもここ、周りを兵士たちに守られてるんだよ?こんな所で公開プレイみたいなことできないって!無理っ!
「イセリア様、何卒よろしくお願い致します……」
「え、あの、その……」
逃げ場っ!逃げ場ああああああ!俺が一生懸命脱出口を捜していると、外から切羽詰まった兵士の声が聞こえて来た。
「ま、魔王軍です!魔王軍が来ましたーーーー!」
な、なんだってーーー!?
「ジェット様、私に出来る事が有れば何なりと」
次の日にあっさり勇者がロンドダール家にやって来た。
「キンチオール公爵家の次男のジェット様ですね。イセリアの事、よろしくお願いします」
「命にかえましても」
ジェットさんは公爵家の出で、腕利きの27歳。国家の剣として騎士団に身を置き、奥様はいないらしい。
おー!注文通りのイケメン落ち着き系!これならオウヤとアイリスみたいにぐいぐい来たりしない!
それにしてもキンチョ◯ルはなくない?ちょっとジェットさんが可哀想なんだけど。
「イセリア殿、早速で申し訳ないのですが、しばらく私と共に王都を出て生活して頂けませんか?」
「ええ、分かりました」
俺が狙われてるんだから、俺がいると王都が襲われちゃう。うん、そうだ仕方がない。
「王都から出て少し東の丘陵地バールサーンに罠を仕掛けてあります。そこで魔王軍を待ち伏せします」
燻煙剤かな……?煙が凄そうだな……。俺は家族にしばしの別れを告げ、バールサーンの丘にやって来た。
「おお!巫女姫様だ!」
「なんとお美しい!」
「皆、巫女姫様を守って差し上げようぞ!」
巫女じゃねーし?姫じゃねーし??て言うか男だし?!反論して指揮を下げるのも阿呆らしいから、ニコニコと笑って手を振っておいた。
燻煙剤の丘には、簡易とはいえしっかりしたテントが張られており、中はかなり広かった。そして……
「な、何故こんなところにかなり豪華な寝台が置かれているのでしょう……」
「もしや、巫女姫様は神託をお聞きになっておられぬのですか……?」
少し慌てた様子でジェット様はとんでもない神託の内容を教えてくれた。
「つ、つまりは……勇者であられるジェット様のお力は、わ、私と……その、致さねば、完全には覚醒しないと……」
「すみませぬ、巫女姫様もご承知の上かと思っておりました……」
知らねえし!フメ!やらかしやがったなー!?俺がなんとかアイリスオーヤ……げふん!オウヤから逃げ出したから、今度は逃げ道をふさいできやがった!?やめろ!てめー!後で覚えてろよ!お前のビールだけぬるいの出してやる!
にしても、ジェット様も申し訳なさそうだし、俺も非常に申し訳ない……。
「いえ、あの……その。ジェット様も……その、心に決めた方がおられるでしょうし、あの、私のような者と……その」
やめろ、ホントマジやめて!
「いえ!あの、私にはそのような者はおりません!巫女姫様……イセリア様のようにお美しい方と閨を共に出来るのであれば……何を投げ打っても、光栄でございますれば……」
「えっ?」
な、なに!?ジェット様やる気なの!?いや確かにジェット様は結構、かなりかっこいいし、なんか優しそうだし、とっても優良物件っぽいけど、でもさ、初めて会ったやつと普通出来る?!無理無理!絶対無理だよね!しかもここ、周りを兵士たちに守られてるんだよ?こんな所で公開プレイみたいなことできないって!無理っ!
「イセリア様、何卒よろしくお願い致します……」
「え、あの、その……」
逃げ場っ!逃げ場ああああああ!俺が一生懸命脱出口を捜していると、外から切羽詰まった兵士の声が聞こえて来た。
「ま、魔王軍です!魔王軍が来ましたーーーー!」
な、なんだってーーー!?
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