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栗原伊織、異世界転生する
3 うえええ、美味い!
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思う存分寛いだ後、俺は「俺の部屋」じゃない部屋に戻って寝た。誰かこの部屋に入ってきたら、妙な扉が一個どーんと立っているのは不審すぎるからね。
精霊王たちはまだ酒盛りをしていたので適当にチューハイとかビールとか日本酒とか出して、つまみとか朝飯とか置いて帰ってきた。
あの人達は「力ある存在」だから鍵も無しにズカズカと入り込んでくるんだよね。どうしようもない。
ま、この世界で俺が生きていくのに色々協力してくれてるからいい事にしてる。
「俺の部屋」の中で復元を使ってもたいして辛いこともないしね。流石チート空間。
俺はベッドで眠る。朝には誰か起こしてくれるだろう。俺は「俺の部屋」だけで生きて行けないからね。
「イセリア様、お目覚めでございますか?」
「ああ、起きているよ。ルース」
俺の付き人ルースが起こしに来てくれた。ありがとうと礼を言い、タオルで顔を拭き、着替える。
「流石に今日は王子妃教育は無いだろう?のんびりできそうかい?」
「お勉強ではなく、別件でお呼び出しがあるようです」
「父上に言って取り止めにして貰おう。私は大変傷ついて倒れ伏しているからね?」
実際はそんな事はないが、今のうちにサボれる時はサボって置こうと言うわけだ。
ルースも心得たもので、
「そのようにお伝え致します」
ぺこりと美しい角度、美しい速度で頭を下げる。ルース君は完璧だなぁ。
「では朝食をいただきに行きましょうか」
はっきり言ってこの世界、ご飯美味しくない。だから俺は少食キャラで通ってる。足りない分は「俺の部屋」でがっつり牛丼とビールで補ってる。キンキンのビールは悪魔的だぜぇ……?
朝からてんこ盛り出てくる肉を殆ど残して、フルーツだけ食べる。果物も大体酸っぱいが、「俺の部屋」に、果物はほとんどないのでここで味わっておく。
「イセリア、今日は心身疲労で起き上がれぬのだな?」
「はい。誰とも会わず食事ものどを通りません」
その設定で通らせてもらう。もぐもぐ。この硬い桃みたいなの結構美味い。
分かった。父上はため息と共にお茶を飲み干した。
「第二王子と第三王子どちらが好みかね?」
「どちらもお断りしてよろしいですか?」
「そうなれば良いのだがな」
俺もため息をつくしかない。そこそこに朝食の席を立ち、部屋に戻る。
「本でも読んでいるよ。何かあったら呼ぶから」
「かしこまりました」
ルースが出て行った後に、俺は「俺の部屋」に引きこもった。
「お帰りーイセリア」
「お邪魔してるよー」
「あー!神様!もうやだよ!なんで男しかいない世界に送ったの!」
「ごっめーん!私の趣味ー!」
絶世の美少女がてへっと舌を出すが、こいつが元凶だ!
「この腐れ女神!」
「ごめんよ、伊織!このフメガミの監督不行き届きで……」
「本当だよ!」
本当だよ!言ってみれば俺は完全な被害者!なのにこの仕打ち!
「だからチート盛っておいたじゃん!」
「盛られてないだろ!どっちかっていうとあんたらの便利空間を更に便利にしただけだろ!!」
「ばれましたか」
「反省しろよーーーー!」
「ほんと、ごめん!伊織……ごめんなんだけど、牛丼出して……卵も……」
「馬鹿ーーー!」
それでもヨシギュウと第三の方じゃないビールを六本出した。
「伊織、優しすぎるぅ~~」
「わかってらい……ばかやろうぅ」
うえええ……昼間から飲むビールが美味いよぉ……!
精霊王たちはまだ酒盛りをしていたので適当にチューハイとかビールとか日本酒とか出して、つまみとか朝飯とか置いて帰ってきた。
あの人達は「力ある存在」だから鍵も無しにズカズカと入り込んでくるんだよね。どうしようもない。
ま、この世界で俺が生きていくのに色々協力してくれてるからいい事にしてる。
「俺の部屋」の中で復元を使ってもたいして辛いこともないしね。流石チート空間。
俺はベッドで眠る。朝には誰か起こしてくれるだろう。俺は「俺の部屋」だけで生きて行けないからね。
「イセリア様、お目覚めでございますか?」
「ああ、起きているよ。ルース」
俺の付き人ルースが起こしに来てくれた。ありがとうと礼を言い、タオルで顔を拭き、着替える。
「流石に今日は王子妃教育は無いだろう?のんびりできそうかい?」
「お勉強ではなく、別件でお呼び出しがあるようです」
「父上に言って取り止めにして貰おう。私は大変傷ついて倒れ伏しているからね?」
実際はそんな事はないが、今のうちにサボれる時はサボって置こうと言うわけだ。
ルースも心得たもので、
「そのようにお伝え致します」
ぺこりと美しい角度、美しい速度で頭を下げる。ルース君は完璧だなぁ。
「では朝食をいただきに行きましょうか」
はっきり言ってこの世界、ご飯美味しくない。だから俺は少食キャラで通ってる。足りない分は「俺の部屋」でがっつり牛丼とビールで補ってる。キンキンのビールは悪魔的だぜぇ……?
朝からてんこ盛り出てくる肉を殆ど残して、フルーツだけ食べる。果物も大体酸っぱいが、「俺の部屋」に、果物はほとんどないのでここで味わっておく。
「イセリア、今日は心身疲労で起き上がれぬのだな?」
「はい。誰とも会わず食事ものどを通りません」
その設定で通らせてもらう。もぐもぐ。この硬い桃みたいなの結構美味い。
分かった。父上はため息と共にお茶を飲み干した。
「第二王子と第三王子どちらが好みかね?」
「どちらもお断りしてよろしいですか?」
「そうなれば良いのだがな」
俺もため息をつくしかない。そこそこに朝食の席を立ち、部屋に戻る。
「本でも読んでいるよ。何かあったら呼ぶから」
「かしこまりました」
ルースが出て行った後に、俺は「俺の部屋」に引きこもった。
「お帰りーイセリア」
「お邪魔してるよー」
「あー!神様!もうやだよ!なんで男しかいない世界に送ったの!」
「ごっめーん!私の趣味ー!」
絶世の美少女がてへっと舌を出すが、こいつが元凶だ!
「この腐れ女神!」
「ごめんよ、伊織!このフメガミの監督不行き届きで……」
「本当だよ!」
本当だよ!言ってみれば俺は完全な被害者!なのにこの仕打ち!
「だからチート盛っておいたじゃん!」
「盛られてないだろ!どっちかっていうとあんたらの便利空間を更に便利にしただけだろ!!」
「ばれましたか」
「反省しろよーーーー!」
「ほんと、ごめん!伊織……ごめんなんだけど、牛丼出して……卵も……」
「馬鹿ーーー!」
それでもヨシギュウと第三の方じゃないビールを六本出した。
「伊織、優しすぎるぅ~~」
「わかってらい……ばかやろうぅ」
うえええ……昼間から飲むビールが美味いよぉ……!
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