26 / 40
我、出荷される
26 奴隷解放機構
しおりを挟む
どうも我には魔法の才能はないようじゃ。まあ才能が全てはないからの?
「水、風、土。どれも使えるが弱いのう」
「あとは訓練だね。そして詠唱覚えて!詠唱しながらやればちゃんと出来るから!」
「むぅ」
「可愛い顔してもだめ!」
今日は買い物に行くとかでセリのお供で馬車に乗っている。
あれからセリは我と友達になった。奴隷の我とご主人のセリが友達とはおかしな話じゃか、まあ大して問題もないので良いじゃろう。
なんだかんだでセリは母上を失った心の隙間を何かで満たせばよかったらしく、奴隷でも手間のかかる我が居れば良かったらしい。
「誰が手間のかかる奴じゃ!」
「ど、どうした?!リジー」
「……思い出し怒りじゃ!」
ふん!セリの隣でツーンとそっぽを向いた。セリはおかしそうに
「リジーは子供だなぁ!」
などと笑うので更に腹が立ったぞ!
ドーーン!
突然近くで大きな爆発音が起こった。
「なんだ?!」
「セリ!こう言う時は身を小さくするのだ!決してドアは開けてはならん!」
セリを奥の方に押しやり前へ出る。
「御者殿!何事か!」
「大変です!何者かが、広場で魔法を使った模様です!」
ちらりと窓の外をみると、前方から逃げてくる人々が見える。
「人々の切れ間を見て迂回じゃ!広場から離れるのじゃ!」
「わ、分かりました!」
馬は怯え気味だが、錯乱もしておらぬので走ってくれるだろう。
「セリ、窓も破られる恐れがある。破片を被らぬように気をつけるのじゃぞ」
「リジー……まるで前に襲われた事があるみたい……」
「あるさ!魔王を狙う不埒ものはかず多いぞ!」
セリは魔王?と首を傾げたが、前世のことじゃ!気にするな!
人の切れ間に走り出そうとした時だった。馬車の扉がガチャガチャと外側から、鍵が壊され無理やりこじ開けられる。
「貴族め!やはり奴隷を積んでおるな!この人でなし!我々は奴隷解放機構である!」
「は……?」
「我らが来たからにはもう安心だ!今すぐ助ける!」
「うわっ!」
我は無理矢理馬車をこじ開けた男に腕を引かれ、引きずり出された。
「リジー!!!」
「御者殿!我に構わず行け!セリを守るんだ!」
「申し訳ない!リジー!」
御者は壊れた扉のまま、馬に鞭をいれ走り出した。とりあえずセリは大丈夫だと信じよう。
男は我の腕を掴んで笑っている。痛いわ!離せ!下郎!
「我々が来たからにはもう安心だ!すぐさまその忌々しい首輪から解き放ってやろう!感謝するが良い!」
「貴様何を言っておる?手を離さんか!我はセリの元へ戻るのじゃ」
なんて余計なお世話だ!セリはこの首輪をすぐに外してくれると約束しておる。ただ、きちんとした手順を踏まないと、我が痛いのでもう少し待ってくれと言われておるだけじゃ。
……もし、セリが嘘をついて首輪を外さなくてもまあしばらくは問題ないのじゃがの。何せ我はセリから魔法を習っておる途中じゃ。まだ学ばねばならん事が多い。
「分かっているぞ!奴隷根性が染みついておるのだろう!任せろ、少し痛いがすく自由にしてやるからな!」
男は我の首輪に手をかける。
「や、やめい!元無理矢理壊すな!やめ、やめぇーー!ぎゃっ!!!!」
バジジッ!と強い電気が走って、目の前が真っ白になる。首輪が嵌っていた所がものすごく痛い。
「あう……」
「ほらみろ!外れたぞ!これでお前は自由だ!ははは!奴隷解放機構万歳!!」
痛みのあまり、我は気を失った。
「う……」
首の痛みで目が覚めると、汚い場所であった。服は剥ぎ取られていて、ボロ布のようなものが1枚、辛うじてかけられていた。
首が痛い。手をやると血がついている。あの野郎とんでもない奴だった。
「ふん、生きてるのか」
「……ここは?」
これまた汚い子供が声をかけて来た。
「貧民街。ここいらの町のゴミ溜めさ。お前、奴隷だったんだろ?良かったな、解放してもらえて」
「とんでもない!俺はセリ……ご主人と上手くやっていたのに。首輪も外してくれるところだったのに、あのクソ野郎が余計な事をしおって!」
「……そう言う奴隷もいるんだな」
「しかもなんじゃ!この怪我!ものすごく痛いぞ!」
首が痛くて、動かせんわ!
「……奴隷の首輪を無理に外すとそうなる。一生つく奴隷から逃げた証だ」
「……なんてこった……」
最悪じゃ!
「して、我の服は?」
「気を失っている間に誰かに奪われたんだろう。貧民街では良くあることだ」
「……すると我は、無理矢理怪我を負わされ、治療もされず捨て置かれた、と言う事か!なんと迷惑極まりない!」
「あいつらは評判悪いよ。あれで人助けをして、いい事をしているつもりなんだからな」
ぐぬぬ!何ということ!
「まあ、起こってしまったことはしょうがない。何とかセリの所に戻らねば」
ぶらぶらだと何かといかんのでボロ布でもまとっておく。
「お前、なかなか根性あるな」
まあな!で、あるぞ!
「水、風、土。どれも使えるが弱いのう」
「あとは訓練だね。そして詠唱覚えて!詠唱しながらやればちゃんと出来るから!」
「むぅ」
「可愛い顔してもだめ!」
今日は買い物に行くとかでセリのお供で馬車に乗っている。
あれからセリは我と友達になった。奴隷の我とご主人のセリが友達とはおかしな話じゃか、まあ大して問題もないので良いじゃろう。
なんだかんだでセリは母上を失った心の隙間を何かで満たせばよかったらしく、奴隷でも手間のかかる我が居れば良かったらしい。
「誰が手間のかかる奴じゃ!」
「ど、どうした?!リジー」
「……思い出し怒りじゃ!」
ふん!セリの隣でツーンとそっぽを向いた。セリはおかしそうに
「リジーは子供だなぁ!」
などと笑うので更に腹が立ったぞ!
ドーーン!
突然近くで大きな爆発音が起こった。
「なんだ?!」
「セリ!こう言う時は身を小さくするのだ!決してドアは開けてはならん!」
セリを奥の方に押しやり前へ出る。
「御者殿!何事か!」
「大変です!何者かが、広場で魔法を使った模様です!」
ちらりと窓の外をみると、前方から逃げてくる人々が見える。
「人々の切れ間を見て迂回じゃ!広場から離れるのじゃ!」
「わ、分かりました!」
馬は怯え気味だが、錯乱もしておらぬので走ってくれるだろう。
「セリ、窓も破られる恐れがある。破片を被らぬように気をつけるのじゃぞ」
「リジー……まるで前に襲われた事があるみたい……」
「あるさ!魔王を狙う不埒ものはかず多いぞ!」
セリは魔王?と首を傾げたが、前世のことじゃ!気にするな!
人の切れ間に走り出そうとした時だった。馬車の扉がガチャガチャと外側から、鍵が壊され無理やりこじ開けられる。
「貴族め!やはり奴隷を積んでおるな!この人でなし!我々は奴隷解放機構である!」
「は……?」
「我らが来たからにはもう安心だ!今すぐ助ける!」
「うわっ!」
我は無理矢理馬車をこじ開けた男に腕を引かれ、引きずり出された。
「リジー!!!」
「御者殿!我に構わず行け!セリを守るんだ!」
「申し訳ない!リジー!」
御者は壊れた扉のまま、馬に鞭をいれ走り出した。とりあえずセリは大丈夫だと信じよう。
男は我の腕を掴んで笑っている。痛いわ!離せ!下郎!
「我々が来たからにはもう安心だ!すぐさまその忌々しい首輪から解き放ってやろう!感謝するが良い!」
「貴様何を言っておる?手を離さんか!我はセリの元へ戻るのじゃ」
なんて余計なお世話だ!セリはこの首輪をすぐに外してくれると約束しておる。ただ、きちんとした手順を踏まないと、我が痛いのでもう少し待ってくれと言われておるだけじゃ。
……もし、セリが嘘をついて首輪を外さなくてもまあしばらくは問題ないのじゃがの。何せ我はセリから魔法を習っておる途中じゃ。まだ学ばねばならん事が多い。
「分かっているぞ!奴隷根性が染みついておるのだろう!任せろ、少し痛いがすく自由にしてやるからな!」
男は我の首輪に手をかける。
「や、やめい!元無理矢理壊すな!やめ、やめぇーー!ぎゃっ!!!!」
バジジッ!と強い電気が走って、目の前が真っ白になる。首輪が嵌っていた所がものすごく痛い。
「あう……」
「ほらみろ!外れたぞ!これでお前は自由だ!ははは!奴隷解放機構万歳!!」
痛みのあまり、我は気を失った。
「う……」
首の痛みで目が覚めると、汚い場所であった。服は剥ぎ取られていて、ボロ布のようなものが1枚、辛うじてかけられていた。
首が痛い。手をやると血がついている。あの野郎とんでもない奴だった。
「ふん、生きてるのか」
「……ここは?」
これまた汚い子供が声をかけて来た。
「貧民街。ここいらの町のゴミ溜めさ。お前、奴隷だったんだろ?良かったな、解放してもらえて」
「とんでもない!俺はセリ……ご主人と上手くやっていたのに。首輪も外してくれるところだったのに、あのクソ野郎が余計な事をしおって!」
「……そう言う奴隷もいるんだな」
「しかもなんじゃ!この怪我!ものすごく痛いぞ!」
首が痛くて、動かせんわ!
「……奴隷の首輪を無理に外すとそうなる。一生つく奴隷から逃げた証だ」
「……なんてこった……」
最悪じゃ!
「して、我の服は?」
「気を失っている間に誰かに奪われたんだろう。貧民街では良くあることだ」
「……すると我は、無理矢理怪我を負わされ、治療もされず捨て置かれた、と言う事か!なんと迷惑極まりない!」
「あいつらは評判悪いよ。あれで人助けをして、いい事をしているつもりなんだからな」
ぐぬぬ!何ということ!
「まあ、起こってしまったことはしょうがない。何とかセリの所に戻らねば」
ぶらぶらだと何かといかんのでボロ布でもまとっておく。
「お前、なかなか根性あるな」
まあな!で、あるぞ!
0
お気に入りに追加
197
あなたにおすすめの小説
伴侶設定(♂×♂)は無理なので別れてくれますか?
月歌(ツキウタ)
BL
歩道を歩いていた幼馴染の俺たちの前に、トラックが突っ込んできた。二人とも即死したはずが、目覚めれば俺たちは馴染みあるゲーム世界のアバターに転生していた。ゲーム世界では、伴侶(♂×♂)として活動していたが、現実には流石に無理なので俺たちは別れた方が良くない?
男性妊娠ありの世界
リコリス・コンプレックス
霧嶋めぐる
BL
親元を離れ一人暮らしをしている高校生【秋葉緑】には、ふたつの大きな秘密があった。
ひとつは裏垢男子【リコリス】として爛れた生活を送っていること。
ひとつは人気急上昇中のファッションモデル【赤槻彼方】が自身の双子の弟であるということ。
彼方に強い恨みを抱き、復讐の機会を窺っていた緑の日々は、彼方の友人【斑目灰人】との出会いにより少しずつ形を変えていく。
【CP】
灰人×緑×灰人(メイン)、灰人×彼方、彼方→緑(非恋愛)
【※この小説には、以下の要素が含まれます】
・虐待、未成年淫行、ペドフィリア、強姦、暴力行為など非倫理的な描写
・流血描写
・登場人物(灰人)と女性の絡み
・トラウマ、精神異常、執着、束縛
作者はビターエンドを想定して書いています。
また、【復讐】がテーマの小説ですが、スカッとするような展開ではありません。
人によっては不快に思われるキャラクター設定、展開が含まれます。
【完結】だから俺は主人公じゃない!
美兎
BL
ある日通り魔に殺された岬りおが、次に目を覚ましたら別の世界の人間になっていた。
しかもそれは腐男子な自分が好きなキャラクターがいるゲームの世界!?
でも自分は名前も聞いた事もないモブキャラ。
そんなモブな自分に話しかけてきてくれた相手とは……。
主人公がいるはずなのに、攻略対象がことごとく自分に言い寄ってきて大混乱!
だから、…俺は主人公じゃないんだってば!
暴君王子の顔が良すぎる!
すももゆず
BL
気がついたら異世界で生きていたジェード。現実世界での記憶はあるものの、特に困ることなく平和に過ごしていた。
とある日、王族のパレードで王子を見た瞬間ジェードは全てを理解した。
あの王子の顔……! 見たことがある……!
その王子はジェードが現実世界で顔に一目惚れした、BLゲームの登場人物、イーディス王子そのものだった。
ここが異世界じゃなくてBLゲームの世界だと気づいたジェードは超ド好みのイーディス王子の顔面を拝むため、城の従者として働くことを決意する。
……が、イーディス王子は見た目からは想像できないほど傲慢でえらそうな暴君王子だった……!?
でも顔がいいから許す!!!
恥ずかしくてゲームは未プレイだったジェードがなんだかんだ初見プレイで王子を攻略していく話。(予定)
悠遠の誓い
angel
BL
幼馴染の正太朗と海瑠(かいる)は高校1年生。
超絶ハーフイケメンの海瑠は初めて出会った幼稚園の頃からずっと平凡な正太朗のことを愛し続けている。
ほのぼの日常から運命に巻き込まれていく二人のラブラブで時にシリアスな日々をお楽しみください。
前作「転生して王子になったボクは、王様になるまでノラリクラリと生きるはずだった」を先に読んでいただいたほうがわかりやすいかもしれません。(読まなくても問題なく読んでいただけると思います)
【完結】三度目の正直ってあると思う?
エウラ
BL
俺には今の俺になる前の記憶が二つある。
どういう訳かその二つとも18歳で死んでる。そして死に方もほぼ同じ。
もう俺、呪われてんじゃね?
---という、過去世の悲惨な記憶のせいで引きこもりがちな主人公の話。
三度目は長生き出来るのか?
過去の記憶のせいで人生を諦めている主人公が溺愛される話です。
1話1話が長いですが、3話で終わる予定です。
R18には*がつきます。
3話の予定でしたが番外編的な1話を足しました。これで完結です。
転生した悪役第一皇子は第二皇子に思うままにされるが気付かない
くまだった
BL
第一皇子であるおれは前世は子持ち40代だった。なぜかキラキラ銀髪の清廉な美貌を持っているステファン10歳に転生していた。平民を嫌っているとか見下しているとか噂が回って国民人気は低い。第二皇子のレオンハルトは黒髪赤目の逞しくも美形で凛々しい弟だ。剣術の腕も強く、すごく優しい。レオンハルトが王になればいいとおれは思うんだ。だけどそう上手くは行かなくて。弟(執着)→→兄(不憫天然)。兄が暴力を振るわれる、死にかけるなどの描写があります。苦手な方は回避してください。
小説なろうにさんで第二皇子視点先行投稿しています。
感想頂けたら嬉しいです
第二王子に転生したら、当て馬キャラだった。
秋元智也
BL
大人気小説『星降る夜の聖なる乙女』のゲーム制作に
携わる事になった。
そこで配信前のゲームを不具合がないか確認する為に
自らプレイしてみる事になった。
制作段階からあまり寝る時間が取れず、やっと出来た
が、自分達で不具合確認をする為にプレイしていた。
全部のエンディングを見る為に徹夜でプレイしていた。
そして、最後の完全コンプリートエンディングを前に
コンビニ帰りに事故に遭ってしまう。
そして目覚めたら、当て馬キャラだった第二王子にな
っていたのだった。
攻略対象の一番近くで、聖女の邪魔をしていた邪魔な
キャラ。
もし、僕が聖女の邪魔をしなかったら?
そしたらもっと早くゲームは進むのでは?
しかし、物語は意外な展開に………。
あれ?こんなのってあり?
聖女がなんでこうなったんだ?
理解の追いつかない展開に、慌てる裕太だったが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる