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我、出荷される
23 即売れじゃった
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「なのにどうしてこうなっておるのじゃ……」
「うるさい!だまれ!奴隷のくせに!」
我はたくさんの奴隷どもと一緒の馬車に詰め込まれガタゴトと出荷されておる途中であった……。おかしい。
まず誤算は、次の日に気がついた。
「あれ?」
体が怠くて重くて、ベッドから立ち上がれなかったのである。
「あ、忘れておったわ……」
我、一人で船に乗ったのであった。そう、誰も連れずに1人で!ずっと誰かと寝ていたから、すっかり忘れていたが、我は誰かとやらねば病弱なのであった。
「ぬかったわ……」
しょうがない。着くまでベッドで過ごすかと思ったら。
「か、海賊ですーー!うわぁーーーっ!」
目の前で船員は切り捨てられ、1人でまともに歩けさえしない我はささっとまとめられて、袋に詰められ奴隷行き。
誰かと一発出来ればと思うも、海賊は統率が取れておった……。
哀れ我らは売られてゆく。どっちにしろ我は肉体労働でも夜の肉体労働じゃ。さすれば逃げ出すのも容易かろう!ふはは!鉱山などに売られてもスコップ一つまともに握られぬわ!
「これを買おう」
「へい!今日来たばかりですぜ!」
我、売れた。即売れじゃった。しかもかなり高値じゃった!流石我!
「では、隷属の首輪を」
なんじゃと?!想定外である!
「や、やめるのじゃー!嫌じゃ!」
「今更何言ってんだ!押さえつけろ!」
「ぎゃーー!」
奴隷とはとても辛いのじゃな……我は奴隷には気を遣ってやろうと心に決めた。
「スン」
我を買ったご主人様とやらは、貴族のようであった。歳は我と同じくらい。どうやら我はこのご主人様の話し相手として連れてこられたようであった。
「お前、名前は?」
「リジー」
「どうして奴隷に?」
「船で移動してたら海賊に捕まった」
「お前、弱いな」
「うむ、今の我はとても弱い。何とかして欲しいが、何とかしたところでこの首輪があっては逃げられぬ……」
悔しいのう……主人に逆らうとぎゅっとしまって最後には首がもげてしまうタイプの首輪じゃなぁ。
「我はまだ死にたくないのう」
「お前、頭悪いって言われるだろう?」
「?!何故わかったのだ?!お前は天才か!?」
「……ああ、俺は天才だ」
我はぶるりと震えた。
「かような天才の元から我はどうやって逃げたら良いのじゃ……むう」
「逃げたいのか?誰か待っているのか?」
セリの顔が悲しく歪んで見えたが、気のせいであろう。
「うむ!誘拐されての。2年ぶりに兄に会いに行く途中であったのだ。それが奴隷とは……ついてないのう、我も。クロードは心配しておるだろうなぁ」
会えると思ったらのじゃがのう……クロードのアレに。会いたいのう!アレに。アレに!
「何をにやけている?」
にやけてなどおらんわ!ちょっと思い出して疼いておっただけじゃ!
「うるさい!だまれ!奴隷のくせに!」
我はたくさんの奴隷どもと一緒の馬車に詰め込まれガタゴトと出荷されておる途中であった……。おかしい。
まず誤算は、次の日に気がついた。
「あれ?」
体が怠くて重くて、ベッドから立ち上がれなかったのである。
「あ、忘れておったわ……」
我、一人で船に乗ったのであった。そう、誰も連れずに1人で!ずっと誰かと寝ていたから、すっかり忘れていたが、我は誰かとやらねば病弱なのであった。
「ぬかったわ……」
しょうがない。着くまでベッドで過ごすかと思ったら。
「か、海賊ですーー!うわぁーーーっ!」
目の前で船員は切り捨てられ、1人でまともに歩けさえしない我はささっとまとめられて、袋に詰められ奴隷行き。
誰かと一発出来ればと思うも、海賊は統率が取れておった……。
哀れ我らは売られてゆく。どっちにしろ我は肉体労働でも夜の肉体労働じゃ。さすれば逃げ出すのも容易かろう!ふはは!鉱山などに売られてもスコップ一つまともに握られぬわ!
「これを買おう」
「へい!今日来たばかりですぜ!」
我、売れた。即売れじゃった。しかもかなり高値じゃった!流石我!
「では、隷属の首輪を」
なんじゃと?!想定外である!
「や、やめるのじゃー!嫌じゃ!」
「今更何言ってんだ!押さえつけろ!」
「ぎゃーー!」
奴隷とはとても辛いのじゃな……我は奴隷には気を遣ってやろうと心に決めた。
「スン」
我を買ったご主人様とやらは、貴族のようであった。歳は我と同じくらい。どうやら我はこのご主人様の話し相手として連れてこられたようであった。
「お前、名前は?」
「リジー」
「どうして奴隷に?」
「船で移動してたら海賊に捕まった」
「お前、弱いな」
「うむ、今の我はとても弱い。何とかして欲しいが、何とかしたところでこの首輪があっては逃げられぬ……」
悔しいのう……主人に逆らうとぎゅっとしまって最後には首がもげてしまうタイプの首輪じゃなぁ。
「我はまだ死にたくないのう」
「お前、頭悪いって言われるだろう?」
「?!何故わかったのだ?!お前は天才か!?」
「……ああ、俺は天才だ」
我はぶるりと震えた。
「かような天才の元から我はどうやって逃げたら良いのじゃ……むう」
「逃げたいのか?誰か待っているのか?」
セリの顔が悲しく歪んで見えたが、気のせいであろう。
「うむ!誘拐されての。2年ぶりに兄に会いに行く途中であったのだ。それが奴隷とは……ついてないのう、我も。クロードは心配しておるだろうなぁ」
会えると思ったらのじゃがのう……クロードのアレに。会いたいのう!アレに。アレに!
「何をにやけている?」
にやけてなどおらんわ!ちょっと思い出して疼いておっただけじゃ!
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