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15 外道アーマー
しおりを挟む「そうですね、諸々の諸経費で500万ゴールドで如何でしょう?」
「そ、それは高過ぎる!」
「この国の未来のためなら安いものでは?」
私は王に今回の件の必要経費を伝えてみた。これでも安く見積もった方だったのだが、振られてしまった。
「そうですか。ならば200万ゴールドでよろしいです。流石にこれ以上は負けられません」
「む、むむむ……」
国家の安全にそれくらい出してくれても良かろうと思うのだが。王は渋々ながら200万ゴールド支払ってくれた。後は用はない。
私は最後に兄貴に挨拶をして帰ることにした。最終チェックですといえば安置されている倉庫に案内してくれた。
「帰ります、兄貴」
〈おう、ご苦労さんだったな。〉
「王は正規ユーザーになるのを拒否しました。繰り手の秘密は話してません」
兄貴はかかか、と笑ってから呟く。
〈どっちにしろこの国にはまともな錬金術師はいねぇ……。いや、まともじゃねぇな? イカれた錬金術師の間違いだ! 俺に乗る人間の手足を切って義手義足に付け替える馬鹿を作る馬鹿なんてよ!〉
「そうですね」
そう、鎧人形ヘルクリムゾンの繰り手は本当は大人なんだ。大人の両手両足を膝と肘下辺りから切り落とすとちょうど良い。そんな設計になっている。なんて馬鹿な条件にしたのか……それがディアマンテという男らしい。設計図をみて、吐き気を覚えたのを忘れない。
〈怪我で退役を余儀なくされた騎士なんか立候補してたぜ。俺の最後の相棒もそうだった。〉
「手足がない、処置された死体があったらすぐバレますからね」
〈おう。だから相棒は俺と別に流れたんだ。〉
人形使いの技を使えば人間の手足を切って義手義足にすることは可能だ。そしてその手足が鎧人形に乗る時には外せて、処置を施した切断面をリンクさせて自在に人形を操れるようにするなんて。
どちらにしても外道の技ではあるが、子供を使うより少しはマシではないかと提案したんだがなぁ。流石に拾ったディアマンテの作品を使い続ける国にはこれ以上譲歩はない。
上流から流されてきた鎧人形を拾ったこの国は幸だったか不幸だったかは分からない。ただ、繰り手として生まれた王の子供達は不幸ではあるだろうけれど。
「まだ自分の子を差し出しているのが救いですかね?」
〈俺としちゃあ、青っちょろいガキンチョを差し出されても楽しくもなんともねーんだけどな。〉
兄貴のぼやきはさもあらん。だから兄貴の相棒は川に流された時の騎士で止まってるいるんだろう。この国に流れ着いてから死んでいった子供達では相棒にはなり得ない。
〈ナカにガキぶっ込まれても楽しくもなんともねーっつーの! やっぱ、大人のぶっといのじゃねぇとなぁ?〉
「……結局、あんたもそっちの人か」
〈けけけけっ!〉
私達だってあの頭のぶっ壊れたディアマンテが生み出した頭のぶっ壊れた人形ってことなんだろう。
〈じゃあな、弟よ。会えて良かったぜ……もう二度と会うことがないのを祈ってるよ。〉
「ええ、クリムの兄貴。次は廃棄場で」
〈ちげぇねぇ! 人形は壊れりゃ捨てられる、当たり前だな!〉
そうしてまた一人歩いて行く。人形に子供の涙の味なんてわからなくても大丈夫だろうから。
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新しい物語をありがとうございます😊
でも、いきなり最終話⁇
そうです、最後まで主人公は独りの予定です。暗い……(´ω`)