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78 その中間で

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「こちらが纏まらないのであれば、ナナ様は今一度グレイアッシュへお戻り頂き、戴冠式の準備をお願い致します」

「なにおう?!ナナ様はグレイデールの王!そちらには仕方なく出向いてやっておるのだ!」

 俺を排除する為に暗殺者を差し向けるのに、国から出て行くのは嫌だとか。俺、どうしたら良いんだろうね?

「まだ殺し屋を向けられてるしねぇ」

「グレイアッシュの方はまとまったの?向こうでもまた命狙われるようなら俺、嫌なんだけど……」

 グレイアッシュの使者が毎日顔を出して、グレイデールの重鎮と激しく言いあっている。

「はぁ……宝冠とやらを見つけて誰かに押し付けたらいいんだろうけど、亡霊達みんなが嫌だっていうし……。かといって王様になってどうしようって感じだし」

「……そうだなあ、やっぱり俺がどこかに攫って行こうか?どこか遠くでさ、二人で暮らそうよ……やっぱ無理デスハイ」

 狐ちゃん何を言っているのかしら?
 面白い冗談ね?狐ちゃん
 悪いお口はここかしら?ふふふ

 お姉様方に囲まれて真っ青になってるよ。分かってるはずなのに、どうしてそんなこと言うのかなぁ?でも少し良いなと思ってしまった。誰も知らない場所で俺はまた死体漁りをするんだろうか?フォーリは嫌がるけれど、俺のすることは許してくれる気がする。文句を言いながらそれでもそばにいてくれるんだろう。そして夜はフォーリと……。
 あれ、待てよ?なんでフォーリと一緒に居なきゃいけないんだ??俺、一人で逃げれば良いじゃん!ずっと一人で生きてたんだし、フォーリと一緒に暮らす必要ないだろう!尻尾か!尻尾のせいか!!

「あぶね、騙される所だった」

「ナナちゃああんーーーたすけてぇ!」

「暫くお姉様方に遊んでもらいな!」

「イヤアアアア!!」

 とにかく暗殺者を向けられる危険のある場所ではフォーリと一緒に居ないと危ないけれど、逃げてしまえばいいんだと結論が出た。どこでどうやって逃げる?城の中にいては無理だろう……そうだ、グレイアッシュへ来いと言われているんだ。その途中でこっそり消えてやれば良くないか?無理でもどこに何があるか覚えておけば次の行き来で逃げ出す事ができるかもしれない。
 なんせグレイデールとグレイアッシュは俺をどちらに置くかでずっと揉めている。きっと何度も何度も行き来することになる。

 城にいれば亡霊達が絶対に王になれと逃がしてくれないけれど、外なら違う。最初はフォーリと一緒に逃げればいい。そしてのちのちフォーリも置いて一人で気ままに行けばいいんだ。

「そうだ、そうしよう」

 俺は自分の考えたとてつもなく素晴らしい事だと思い込んだ。実現できるかどうかはさておきとして……。
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