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76 伝説としたい事

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「これが……城にいるという亡霊達……」

「何千年も凝り固まった者達……」

 そんな風に言ったらお姉様方の心象が悪いだろうに……俺、しーらないっと。死霊術を学んだ人たちはこの城にたくさんいる亡霊達を見ることが出来るようになった。そして声も聞けるだろう。

「……なるほど、ナナ様は彼らに王になるように勧められているのですね」

「うん。俺が王様になったとしても国の事なんて何にもわからないから……無理だって言ってるんだけど、全部やってくれるっていうし」

「やってくれる……?」

「何年前にいた人か知らないけれど、宰相の職に就いてた人もいっぱいいるみたいだよ?」

「まさか、伝説の剛腕宰相シュリージェ?鋼血のデーゾン?」

「名前聞いてないけど……」


 呼んだか?ナナちゃんよ
 ワシか?

「……両方ともいるみたいだけど」

「そ、その両名がナナ様に力を貸すと……?」

 任せろ!
 久々に腕がなりますなあ!
 おっと、我々もいるからな!毒花のヴェルワーとはわしのことじゃ!

「うん……毒花のヴェルワーさんもいるって言ってるけど」

 ざわりと集まった会議場の人達が揺れたから有名人なのかな??

「こ、これは謀殺された方々ですね……名を上げればキリがない程でしょうか」

「全部聞くのはめんどくさいから個別に聞いてよ。もっと頑張ればお話できるようになるでしょ?」

 ならないかなぁ……。死霊術の使い手のイアン様だって俺の部屋に入らないと王様とお話できなかったもんな。嫌でも待てよ……あの城でイアン様は亡霊の姿をでも、この城で付け焼刃の死霊術師たちは亡霊を認識している。なら話も聞こえるんじゃないかな?

「うん、頑張ってね!」

 これ以上めんどくさい事はしたくないな。


 もう一回お偉いさん会議が開かれるというので、俺とフォーリはまた帰らせてもらった。

「ねーねーナナちゃんはしたいことないの?」

「うーん……死体を片付ける仕事は続けていきたいけど、そのほかは特にないんだよね」

「えーー欲がないの、ナナちゃんは!」

「良く分からないんだ。今まで仕事しかしてなかったし……別に欲しい物も特にないし、死にたくないだけで生きて何かしたいって事もないんだ。ただ、毎回母親に殺される運命を変えたかったそれだけ」

「ふーん……何かしたい事見つけたら?何にもなかったらやっぱり俺と結婚しよう。ほら、尻尾触り放題だよ」

「やめてよ~その尻尾ほんとにクラクラしてくるんだから!」

「あはは!」

 フォーリと笑いあっていると、亡霊の一人が声をかけて来た。

 ナナチャン様。どうです?皆、賢くもない額をつき合わせてくだらない会合をしておりまする。この隙にこの城の宝物庫など覗きに行ってみては?狐殿と一緒ならばきっと誰かに襲われることもありますまいよ。

「ちょっとだけ興味あるかも」

 俺はフォーリを宝物庫見学に誘ったのだった。


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